ヒラリー・クリントンが大統領候補者タルシー・ギャッバードに対して「ロシアのスパイ」と陰謀論を発言:両者の間でツイッター戦争に発展
ハワイ州選出のタルシー・ギャッバード下院議員は、今週、民主党から大統領選挙に出馬している上位候補者によるテレビ討論会で視聴者に好印象を与えた。今週の討論会では彼女が「勝者」だったと報道する記事もあり、そのことを示す世論調査の結果が報じられている。そのことが気に食わなかったのか、ヒラリー・クリントンが今朝、ネット番組に出演し、(ギャッバード議員は)「ロシアのスパイ」と発言した。
ギャッバード議員は国家陸上警備隊として2004年7月から12カ月間、イラクに派兵された従軍経験を持つ。戦争に参加したことがある軍人だからこそ、ギャッバード議員は不干渉主義を外交政策に掲げており、好戦主義で知られる有力シンクタンクのAtlantic Councilやディープ・ステートと言われる官僚機構、それを支援するNYタイムズやCNNなどの主流メディア(MSM:main stream media)などからこれまでにも攻撃を受けている。
沈黙を破ったヒラリー
今朝、ヒラリー・クリントンは「デービッド・プルッフとの選挙キャンペーン本部(Campaign HQ with David Plouffe)」という名のポッドキャストに出演した。デービッド・プルッフ氏は、2008年にオバマ氏の選挙キャンペーンのマネジャーを務めた人物。ヒラリーはプルッフ氏と対談を行い、その中で、ギャッバードという名前こそ言わなかったものの、明らかに彼女だとわかる次の発言を行なった:
私は(選挙について)何の予想もしないが、現在、民主党予備選に参加しているとある人物について注意しなければいけない。彼らは彼女を第3番目の党の候補者として仕込もうとしている。彼女はロシアのお気に入りだ。・・・ジル・スタイン(*)は(出馬を)諦めると想定してのことだが。なぜなら、彼女もロシアのスパイだからだ。
(*)ジル・スタインは、第3の党である緑の党(グリーン・パーティー)から2012年と2016年の大統領選挙に出馬した。アメリカの医者であり活動家。
ヒラリーがこの発言を行なった後、ヒラリーの広報担当者がCNNに出演し、「マトリョーシカ人形が全てきれいにはまるなら(疑いの余地はない)」と、ヒラリーによる陰謀論を再確認する発言を行なっている。
ヒラリーによるこの発言を受けて、ツイッターではすぐさま反発する声が挙がった:
https://twitter.com/AaronBlake/status/1185196559941722113
【訳】ヒラリー・クリントンは、単にロシアがタルシー・ギャッバードを第3党の候補者として支援していると予測しているだけではなく、彼女はジル・スタインのことを「ロシアのスパイ、完全にそうだ」と発言。
These people are sick pic.twitter.com/zQ9EGDEW2t
— Michael Tracey (@mtracey) October 18, 2019
【訳】彼らは病んでいる。
このインタビューの前半で、ヒラリーは、トランプ陣営がいまだに「ロシアと連絡をとっている」と言い、「彼らにとってうまくいったのだから、彼らはそれを止めるつもりはないと私たちは想定していなければいけない」と発言している。
ヒラリーはさらに次のように発言している:
ドナルド・トランプは、ウラジミール・プーチンにとって夢が叶った存在。私はプーチンがトランプのどんな弱みを握っているのかは知らない。個人的なものなのか、金銭的なものなのか、どちらかだとは思うけれど。しかしそれ以上に、トランプは世界の独裁者たちに媚びへつらっているというのは奇妙なことだ。
さらにヒラリーは、司法省によりロシア政府による2016年大統領選挙への介入はなかったという結論にもかかわらず、「(ロシアは2016年の)選挙結果に影響をもたらした」と今朝のインタビューの中で主張した。
これに対するツイッターの反応:
Hillary Clinton is a conspiracy theorist https://t.co/mjgzwfV6k3
— Will Chamberlain (@willchamberlain) October 18, 2019
【訳】ヒラリー・クリントンは陰謀論者だ。
Husband Bill Clinton takes $500,000 from Russians for a speech in Moscow?
— Undercover Huber (@JohnWHuber) October 18, 2019
*NOT* a “Russian asset”
Political opponents Jill Stein and Mike Flynn just sit next to Putin at a dinner and Carter Page gives a free speech in Moscow?
100% “Russian assets”
Okay @HillaryClinton 🤔
【訳】夫ビル・クリントンはロシアからモスクワでの講演料として50万ドルを受け取っている?
これは「ロシアのスパイ」では『ない』
政敵であるジル・スタインおよびマイケル・フリンがただ単に夕食会の席でプーチンの隣に座り、カーター・ペイジが無料でモスクワで講演を行なった?
100%『ロシアのスパイ』
オーケー、ヒラリー
Perhaps Hillary will now surreptitiously fund a Tulsi Dossier to dig up foreign dirt that turns out to be laughable garbage
— Michael Tracey (@mtracey) October 18, 2019
【訳】もしかすると、ヒラリーは思いついたように「タルシー文書」を作らせるために資金提供するかも。その文書で海外での醜聞を探し出そうとするが、結局それはくだらないゴミだと明らかになる。
タルシー・ギャッバード議員による反撃
このヒラリーによる発言を受けて、本人であるタルシー・ギャッバード議員が本日午後、反撃ツイートを連発した。
Great! Thank you @HillaryClinton. You, the queen of warmongers, embodiment of corruption, and personification of the rot that has sickened the Democratic Party for so long, have finally come out from behind the curtain. From the day I announced my candidacy, there has been a …
— Tulsi Gabbard 🌺 (@TulsiGabbard) October 18, 2019
【訳】素晴らしい!ありがとう、ヒラリー。あなたは戦争商人の女王であり、汚職を体現した存在であり、民主党をこんなにも長期にわたって病んだ状態にしてしまった腐敗の張本人。そんなあなたがついにカーテンの後ろから出てきた。
私が立候補を表明したその日から、私の評判を傷つけようと連携したキャンペーンが張られてきている。私たちは、それが誰なのか、なぜなのかと不思議に思っていた。今、それがわかった。それはいつもあなたや、企業メディアや戦争産業におけるあなたの取り巻きや権力を持った仲間たちを使う人たちだった。あなたたちは私が突きつけた脅威に怯えている。
この民主党予備選挙は、あなたと私の間の戦いだと今明らかになった。臆病にもあなたの取り巻きたちの背後に隠れるのをやめなさい。直接、選挙レースに参加しなさい。
今週行われたテレビ討論会で、ギャッバード議員はCNNとNYタイムズ紙に対し、これらメディアを名指しで批判する発言を行なっている:
つい2日前、NYタイムズ紙は記事を掲載し、私がロシアのスパイであり(シリアの)アサドを擁護していると報じた。この他にも様々な報道で私を中傷している。今朝、CNNのコメンテーターは、全国テレビのなかで私はロシアのスパイだと発言した。卑劣極まりない。
ギャッバード議員のツイートに対し、ヒラリー側もすぐさま反応した。CNNのレポーターであるダン・メリカ氏が、ヒラリーの広報担当者ニック・メリルの発言を引用して次のツイートを行なった:
Clinton spokesman Nick Merrill responds to Gabbard’s response/thread: “Divisive language filled with vitriol and conspiracy theories? Can’t imagine a better proof point than this.” https://t.co/MofEisUVrf
— Dan Merica (@merica) October 18, 2019
【訳】ヒラリー・クリントンの広報担当ニック・メリルが、ギャッバードの反応に対して次の返事をした:「辛辣な言葉と陰謀論に満ちた分断する発言か?これより優れた証明は思いつかない」
ただし、この広報担当者の「反撃」はあまり的を射ていない。ヒラリーの方こそ根拠のない陰謀論を発言しており、ギャッバード議員のツイートはそれに対する抗議であり何の証明でもない。
この2人の女性の間で勃発したツイッター戦争に、コーリー・ブッカー上院議員も次のツイートをして「参戦」している。ブッカー議員も、民主党から大統領選挙に出馬しているが、世論の支持は低く当選の可能性は限りなく低い。
https://t.co/wS8OHq1au0 pic.twitter.com/3l6GEm3Wa2
— Cory Booker (@CoryBooker) October 18, 2019
ヒラリーとギャッバード下院議員との間の言い争いは、アメリカの軍産複合体(ネオコン)と、外国の民間人の命を犠牲にしてまでロッキード・マーチン社やレイセオン社、ボーイング社の株価を上げさせようとはしない対抗勢力との戦いである。ネオコンが背後にいると思われる、元アメリカ国連大使のサマンサ・パワーは、ヒラリーによる発言を援護して次のツイートを発信している。明らかにネオコンの代弁者だ:
2016 election was won by 78,000 votes spread among 3 states. Absent 3rd party candidates, @HillaryClinton wd have won & @realDonaldTrump wld not now be harming Americans(& our friends) & aiding autocrats. If @TulsiGabbard runs, it wd be a huge windfall for Trump, Assad, Putin, Xi https://t.co/nTGFl5s4qd
— Samantha Power (@SamanthaJPower) October 18, 2019
【訳】2016年の選挙は、3つの州において7万8000票の差で決まった。もし第3党の候補者がいなければ、ヒラリーが勝っており、トランプはアメリカ人(そして我らが友好国)に害悪をもたらすこともなく、彼が独裁者たちを支援することもなかった。もしタルシー・ギャッバードが(第3党から)大統領選に出馬すれば、トランプ、アサド、プーチン、習近平にとってもうけものの棚ぼただ。
しかしこの元アメリカ国連大使サマンサ・パワーのツイートも的を外している。少なくとも中国の習近平は、米中貿易戦争でトランプにやり込められており、トランプの再選を望んでいないはずだ。ヒラリー側の援護射撃は、ことごとく的外れのツイートをしている。
Photo via FOX News
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