河野防衛相がFT紙との独占インタビューに応じる:中国の軍事的脅威が高まっていることを西側読者へ伝える
10月1日の国慶節で、中国は超音速ミサイルやステルス・ドローン、第5世代戦闘機などを披露した。世界のスーパーパワーとして台頭する中国について、こうした動きは世界に不安を引き起こすと河野防衛相はフィナンシャルタイムズ(FT)紙とインタビューの中で語った。
国慶節の軍事パレードの様子を伝えるツイート:
China Military Parade feat. The Proclaimers, 500 Miles. You’re welcome. #banger #soundon 🔉 pic.twitter.com/5HF56CfvdK
— Matt Roberts (@ACTcameramatt) October 2, 2019
先週、河野防衛相はFT紙との独占インタビューに応じ、東シナ海、南シナ海、日本海、そしてそれを囲むより広範囲の太平洋地域における地政学上の変化について語った。また、河野防衛相は、中国が進化した兵器を開発・配備しており、周辺諸国の間で恐怖に拍車をかけていると警告している。
しかし河野防衛相は、アメリカ政府が日本を射程に含んだ中距離ミサイルを配備することを日本政府は許可しないということも明言した。こうした動きは、中国との関係が悪化している日本にとって危険すぎるものでリスクが高い。(安倍首相は、日中関係が良好であることを押し出しているが。)
河野防衛相のこうしたコメントは、東アジア地域で地政学的な緊張が高まっていることを西側(英語圏)に広く伝える役割を果たしている。特に、日本政府はアメリカ政府に追随しながらも、中国政府を怒らせないという、絶妙な均衡を保つバランス外交を行なっているということを印象付けた。
「(中国の)予算、政策、兵器システム、彼らの兵器システムの配置場所、そして彼らの組織は透明ではない。我々は、中国に対して説明を求めている・・・しかし彼らの透明性について改善は見られない。そのため、これらの新たな兵器システムは、単純に世界の不安を高めるだけである」と河野防衛相は語った。
先月、中国は進化した軍事兵器を世界にお披露目した。中国は、次の10年間でアメリカを抜き、世界一のスーパーパワーになる計画を立てている。
現在の成長スピードが続けば、「パックス・アメリカーナ」を潰すという中国の野望が達成される可能性は高い。それに対し、アメリカ政府は経済戦争をしかけ中国の台頭を阻止すべく反撃に打って出ている。その結果、世界における緊張/不安定性は過去最高レベルにまで高まっている。
月別による世界の経済政策不確実性指数
(Source: Economic Policy Uncertainty)
月別による中国の経済政策不確実性指数
(Source: Economic Policy Uncertainty)
河野防衛相は、新たな軍用装備品を公表したり、サイバースペース関連能力を拡張し、国防産業の基盤を強化しすることで日本政府が自衛隊の近代化に努めていると語った。河野防衛相はまた、米国からロッキードマーチン社製のF-35戦闘機も引き続き購入すると語った。しかしその一方で、2020年台初頭には、日本は国産の第5世代戦闘機を開発する準備を進めているとも語った。
アメリカの国防総省は、過去数年間、中国の周辺地域でF-35戦闘機を配備する友好国を構築してきており、中国をアメリカ製のステルス戦闘機で効果的に囲い込むことに成功している。
この進行中の覇権争いは、「トゥキディデスの罠」と呼ばれている。新興国(中国)が覇権国(アメリカ)に取って替わろうとするとき、新興国は派遣国にとって脅威として立ち現れるため、二国間での戦争が不可避となることを指す。これが、まさに中国が軍事力を増強している主な理由である。中国は、米国との戦争が不可避であると感じている。
河野防衛相がFT紙と行なったインタビューで、世界がこの先10年間で直面している運命、つまりは米中間で「殴り合い」が起きる運命にあることを河野防衛相自身が判っていることを西側の読者たちに伝えている。
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