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中国による国際的な工作活動を暴露すると中国人スパイがオーストラリアのテレビ『60 ミニッツ』に顔出し出演

中国による国際的なスパイ活動を暴露すると中国人スパイがオーストラリアのテレビ『60 ミニッツ』に顔出し出演

人口わずか2500万人のオーストラリアが、とつじょ国際政治の舞台でスポットライトを浴びている。経済的にも軍事的にも急成長する中国と、覇権国家の米国の間で緊張関係が高まっている中、オーストラリアの首都キャンベラが、こうした覇権争いの「戦場」としてその重要性が高まっている。

 

オーストラリアはこれまで、中国との経済的な協力関係を強めてきたが、中国政府がスパイ活動を通して、オーストラリアに対して政治的かつ経済的な干渉を行なっていることを示す深刻な証拠が明るみになったことで、両国の関係が悪化している。

 

オーストラリアの政治体制および諜報コミュニティーに侵入しようとする中国の活動は深刻な問題となっている。それはオーストラリアだけではなく、米国やその他の多くの同盟国にとっても深刻な問題だ。

 

というのも、オーストラリアは、「ファイブ・アイズ(UKUSA協定)」と呼ばれる、英米を中心とした英語圏の5ヵ国の間で結ばれている諜報に関する協定の一角を構成しているためである。あまり広くは知られていないが、アメリカ、カナダ、ニュージーランド、英国、そしてオーストラリアの間で結ばれている「ファイブ・アイズ」協定が国際関係で果たす役割は非常に重要である。しかしこの協定はすでに危機に直面している。ロシア政府が、カナダの諜報機関の高官キャメロン・オーティスを寝返らせた可能性があることを、今年9月にロイターが報じており、ファイブ・アイズの内部情報がロシア政府に漏れているかもしれないためだ。

 

そして先週、オーストラリアの諜報機関は、北京政府がオーストラリアの連邦議員を潜伏スパイに仕立てようとしていた事案について捜査を行なっているとロイターが報じた。オーストラリアのスコット・モリソン首相は、本件を「深く憂慮すべき」策略と語った。

 

 

この中国政府によるオーストラリア政府への侵入工作は、先週末の日曜、オーストラリア国民に広く知られることになった。オーストラリア版の報道番組『60ミニッツ』が、数社の新聞社と協力して中国政府によるスパイ活動について情報をまとめ、報じたためだ。この番組に参加した新聞社の一社にはシドニー・モーニング・ヘラルド紙がある。

 

この報道によると、メルボルンの高級車ディーラーであるボー・‘ニック’・ジャオ氏は、連邦議会選挙に出馬する見返りに、中国の工作機関から「7桁の報酬(100万豪ドル以上)」の提示を受けたという。

 

オーストラリア保安情報機構(Australian Security Intelligence Organisation:略称ASIO)は、この『60ミニッツ』の報道が行われるよりもかなり前から、こうした工作活動について捜査を開始していると発表した。ASIOは、こうした案件を「深刻に」受け止めているとも発表している。

 

「9チャンネルの『60ミニッツ』には、ASIOが深刻に受け止めている疑惑が含まれている。・・・本日報道された事案についてASIOは既に認識しており、積極的に捜査を行なっている。オーストラリア国民には安心して欲しい」とASIOのマイク・バージェス長官は日曜に発表した声明の中で語った。

 

また。モリソン首相はその声明の中で、オーストラリアは自国が直面している工作活動の脅威について「ナイーブ」ではないとも語った。

 

「私は、これら疑惑が深刻に憂慮すべきかつ不安を抱かせる問題だと思っている」とモリソン首相はキャンベラで記者たちに語った。さらに、政府はオーストラリアの法律と安全保障に関わる政府機関を強化しており、外国による干渉への対策を打っているとも語った。

 

「オーストラリアは、自国がより幅広く直面している脅威に対してナイーブではない」とも語った。しかし具体的な疑惑についてはコメントを避けた。

 

外国からの高まる脅威への対応として、オーストラリアは対抗策を強化しており、特に選挙への工作活動への対策として複数の諜報機関の連携を強化している。

 

外国によるスパイ活動がいかに深刻なものかを示す例として、先述の高級車ディーラーであったジャオ氏は、オーストラリアの諜報機関がその工作活動を察知した後、今年3月にホテルの部屋で死亡しているのが見つかっている。彼の死亡については不明な点が多く、あまりに疑わしい状況で亡くなっている。

 

中国のスパイとされているワン・リチアン氏(冒頭の写真)が、彼の妻と家族のためにオーストラリアに亡命することを求めているとメディアが報じてから数日のうちに、こうした疑惑が次々と表面化している。彼とその家族の亡命がオーストラリア政府に認められれば、その引き換えに、北京政府が、台湾だけでなく世界中でどのように内政干渉を行っているかに関する極秘情報を彼は提供すると報じられている。ワン氏もこの『60ミニッツ』に出演した。この番組が報じられると、中国メディアは慌てふためいたように立て続けに彼を攻撃する声明を発表している。

 

中国メディアは、ワン氏のことを詐欺師と中傷している。また、もし彼の主張が真実であれば、オーストラリアの諜報機関はそれらについてメディアにリークしなかったはずだと主張している。中国による工作活動がオーストラリア政府に知られていないと北京政府に信じ続けさせておけば、オーストラリアによる対諜報活動はより効果的だったはずだという論理だ。オーストラリア政府は、中国への対諜報活動を行なっているか否かについてコメントすることを避けた。

 

Rabobankのアナリストたちは、ワン氏による暴露と死亡したジャオ氏に関する報道により2カ国間で論争となっているため、北京政府はオーストラリアから商品を輸入しないと脅しをかけてくる可能性があると分析している。

 

ワン氏の亡命申請の事件は、あらためて中国による工作活動が西側諸国に深く浸潤していることを明らかにした。また、アメリカとロシアだけが国際的に工作活動を行なっている世界のスーパー・パワーではないということを、改めて西側の人々に認識させた。

 

これだけ内部情報を知るスパイが中国を裏切って西側に亡命申請したということは、中国の内部崩壊が一部始まっていることを示していると言えるだろう。ワン氏は、「北京政府が、台湾だけでなく世界中でどのように内政干渉を行っているかに関する極秘情報を提供する」と報じられていることから、日本で繰り広げられている中国による工作活動についても、いずれ具体的な情報が報じられる可能性がある。既にそのカウントダウンは始まっているのかもしれない。

 

どのような強固な組織も、その強度や安全性は、その組織の中で「最も脆弱な部分(weakest link)」にかかっていると言われる。英米の諜報機関は優秀かもしれないが、「ファイブ・アイズ」の構成国であるカナダやオーストラリアは、まさにその「最も脆弱な部分(weakest link)」なのかもしれない。その一方で、中国の諜報機関についても、西側に亡命するスパイや、西側メディアに中国共産党によるウイグル人弾圧の内部文書を漏洩する共産党関係者が、彼らにとっての「最も脆弱な部分(weakest link)」だと言えるだろう。

 

この『60ミニッツ』はここで全編が視聴できる:

 

以下はこの『60ミニッツ』について報じるニュース番組:

 

Screenshot via “60 Minutes”

 

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