フォックスコンの株価が上昇:シンセン市でのiPhone製造工場の再開に政府の承認が下りたという報道を受けて
アップルのiPhoneを含む電子機器の受託生産(EMS)で世界最大手の台湾企業フォックスコン(鴻海精密工業)に関して、中国国内にある同社工場が、春節明けの今週、再開するか否か日曜晩に情報が錯綜した。
ロイターは、今週から中国国内にある同社工場での製造再開の認可が中国政府から下りたと報じた。しかし日経新聞がそれを否定する報道を行なった。するとその直後、ロイターが再び更新情報を配信し、世界のiPhoneの半数を製造しているテイシュウ市にある主要工場(35万人の従業員が勤務)の生産再開の認可が下りただけでなく、シンセン市にある同社工場も一部再開の認可が火曜に下りたと報じた。この報道を受け、フォックスコンの株価は上昇している。
これら2つの中国国内工場を合わせると、アップルのiPhoneの製造ラインの大部分を占める。これら2つの工場の再開が延期されることは、世界に出荷されるiPhone台数に多大な影響をもたらすことを意味する。工場再開のニュースが報じられる前、市場調査会社のTrendforceは月曜、iPhoneの製造台数に関して3月締めの四半期予測を下方修正し、10%減の4100万台が出荷されると予測していた。
しかし「製造の再開」が実際に何を意味するのかはいまだ不透明である。というのも、ロイターは別の報道の中で、春節後、シンセン市のフォックスコン工場に戻った労働者はわずか10%であると報じている。
ロイターに情報提供した人物によると、フォックスコンの幹部らは、中国政府当局に対して江蘇省クンシャン市など中国国内のその他の工場についても再開を許可するよう、積極的に交渉を行なっているという。
詳細は明らかにされていないが、中国政府当局がフォックスコンの製造ラインの再開を許可し、サプライチェーンの活動を維持しようとする判断を下したことは、北京政府が新型コロナウィルスを撲滅するのに自信を持っている現れであると市場は解釈している。
ただし、労働力のわずか10%しか工場に復帰していないということに関して、Rabobankのマイケル・エブリ氏は、「(株式の自動取引を行う)アルゴリズムを騙すのには十分だが、サプライチェーンにとっては十分ではない」と核心をつく発言をしている。しかし株価に影響をもたらすには、アルゴリズムを騙すだけで十分である。E-mini S&P 500先物は、取引時間内として最高値圏内で取引されており、史上最高値を更新している。一方、アップル株(AAPL)は月曜、+1.52 (+0.47%)の微増と、321.55ドルで取引を終えている。
電気自動車のテスラについても同様の動きが見られる。テスラが上海政府の協力を受けて中国工場を再開すると、月曜の取引開始直後、同社の株価は8%急騰した。ブルームバーグによると、上海政府の役人らは土曜に行われた記者会見で、テスラを含む主要企業が通常の製造体制に戻れるよう、最善の努力をすると語っている。しかし、テスラ株は先週後半にかけて勢いを失っていた。その理由は、RBC Capital MarketsおよびCanaccord Genuityのアナリストらが、テスラの工場閉鎖が起きれば2020年中に最低50万台を製造するという目標を含む、同社のビジネス・プランにとってリスクとなると警告していたため。
フォルクスワーゲン、トヨタ、そしてホンダを含む自動車メーカーは、中国国内にある工場の閉鎖期間を延期しており、少なくとも2月17日まで生産を再開することはないと報じられている。
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