「ジェットコースターのような下げ相場」は2022年まで続く:数週間前に市場の大暴落を警告し売り抜けていたマクロ・エコノミストが予測
NYダウは33年来の最大の下げ幅を記録し、1987年の大恐慌以来の大暴落を記録している。このような不安定な市場を見極めようと、各投資銀行は経済モデリングの修正に追われている。
今週3月16日、大手投資銀行のゴールドマンサックスは、「株式市場は今年前半が終わるまでに完全回復するだろう」と発表している。その翌日、クレディ・スイスも同様の見通しを発表しており、市場は力強いV字回復をするだろうと予測している。
こうした強気な予想が行われる理由は、アメリカ政府が多額の救済予算を投入し、経済刺激策を行うだろうという期待があるからだ。しかしこのような強気の予想を行うのが、セルサイドの大手投資銀行ばかりというのがその予想の信憑性の低さを物語っている。
一方、バイサイドであるAxiCorp.の主幹マーケット・ストラテジストのスティーブン・インズ氏は顧客に対して次のようにアドバイスしている:
2008年(の金融危機)との比較で見落とされがちなのは、リーマン・ショックが起きた際、金融セクター以外では日常生活が継続したということだ。基本的にレストランは予約を取り続け、タクシーは顧客を乗せ、小売店は忙しく回転していた。しかし今回、全世界が完全閉鎖の瀬戸際にある。
そして株式市場が過剰な楽観論に踊っていることを数ヶ月前に警告し、持ち株の90%を売り抜けていた「予想屋」が、マクロ経済学に基づくリサーチ会社Lamoureux & Co.の社長を務めるイブ・ラムリュー氏だ。同氏は2018年に起きたパニック売りを正確に予見していた。2019年10月末には、ラムリュー氏が『グローバル金融危機2.0』と呼ぶ事態が迫っていると語り始め、昨年12月に株を売却し始めていた。そして1月末にはこの先伸びると考えられる「わずかな優良投資先」を絞り込んでいる。
ラムリュー氏は、この先起きる下げ相場(ベア・マーケット)について次のように予想する:
過去10年間、(金融市場は)ステロイド剤が打たれたような状態だったため、今の市場は非常に脆いと言える。私はこの上げ相場(ブル・マーケット)を追い出すのが何かを見極めようとしていた。このウィルスはそのバブルを弾けさせる針となった。
ラムリュー氏は、現在の大量売りが終わりに近づいている可能性があると確信している(ただし大量売りは、過剰に借金を抱える企業や消費者たちが債務不履行に陥るリスクをもたらす)。同氏は、大量売りが終わりに近づいているため、慎重に優良企業を選び投資する機会が訪れるだろうと言う。しかし下げ相場は終わってはいない。
ラムリュー氏は次のように続ける:
さらなる(大量売り)が来年、そしてさらに2022年にも起きるだろう。つまり、3回の巨大な暴落の波があると私は予想している。こうした暴落の後には、大量の買いが入るため株価は大きく跳ね返る。こうした値動きは感染の波によって引き起こされるだろう。
カナダのコンコルディア大学で微生物学を学んだ経歴があるラムリュー氏は、このウィルスがさらに強さを増してあと数回、再発生を繰り返し、そのたびに株式市場は打撃を受けると言う。
売り込まれた株の中でどれに厳選投資すべきかに関して、同氏は安全な株はないと警告する。例えば、航空会社のような企業の株価が反発して上昇に転じるという保証はどこにもない。ラムリュー氏は、生命科学分野の企業の株式を購入している。同氏が保有している株式の中でその投資金額が最大の一つがシュレーディンガー(Schrödinger 米シンボル:SDGR)である。同社は、製薬企業が新薬やワクチンを開発したり試験するのを支援するためのソフトウェアを開発している。
「これこそが、まさに我々が今、必要としていることだ」とラムリュー氏は語っている。
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