チャイナ国内の失業率は20%以上と発表した証券会社がレポートを撤回|真実の数字は「公式発表」の4倍以上?
中共政府が実際の数字に「化粧」をして公式データとすることは、もはや公然の秘密である。それを熟知しているはずのチャイナ国内の証券会社が、4月24日(金曜)、同国内の真の失業率は政府による「公式発表」の約3.5倍にあたる20%以上とするアナリスト・レポートを発表した。しかし証券会社は、今週月曜、このアナリスト・レポートを撤回している。
山東省を拠点にする中泰証券のアナリストらが4月24日に発表した11ページのレポートによると、コロナウイルス・パンデミックによる予期せぬ影響により、最大7000万人が失業した可能性があるという。この数字から計算すると、チャイナ国内の失業率は約20.5%になる。このアナリスト・レポートを閲覧したブルームバーグによると、失業率の急増は、パンデミックにより特にサービス業と零細企業に未曾有の影響が出た結果であると分析している。これら業態は多くの雇用を生んでいたと報じている。
中泰証券のアナリストらはレポートの中で次のように記していた:
都市部の失業率調査は、(全体の)失業状況を表すには欠陥があるというのは明らかなことである。なぜなら、チャイナでは非常に多くの(農村部からの)出稼ぎ労働者がいるという特別な国内事情があり、都市部の失業率調査では、こうした出稼ぎ労働者たちの労働状況を真に反映することはできていないためである。
今年第1四半期、チャイナ国内では昨年同期比で約5000万人も出稼ぎ労働者が減少していた。彼らは失業率調査に含まれていなかったと中泰証券のレポートは記している。
もし中泰証券のアナリスト・レポートの分析内容が事実であれば、中共政府は武漢ウイルスの発生源や感染者数・死者数について嘘をついているだけではなく、それがもたらした未曾有の経済的な影響についても嘘をついていることを意味する。国内は数千万人もの失業者で溢れかえっているにもかかわらず、中共政府はそんな事実はないという振りをしていることになる。
中国国家統計局による公式の失業率は、3月が5.9%であった。これは今年1月〜2月につけた「史上最高」の6.2%から下がっている。しかしチャイナによる公式発表は、全てが操作されていると考えるのが自然だ。チャイナ政府が発表するGDPやその他のあらゆる経済指標がそうであるように、雇用統計も2016年に初めて導入されて以来、5%前後という狭い範囲内に収まるようはじめから決められている。
いずれにしても、中共政府による公式データを批判することが禁じられているチャイナにおいて、真実を語ってしまった中泰証券のアナリストたちは大きな過ちを犯してしまったかもしれない。特に、その内容が、国内に数千万人もの失業者がいることで社会不安が高まっていることを示すものである場合、それは中共政府の指導層にとって政治的に非常にセンシティブな内容となる。
このアナリスト・レポートは、公開されるとすぐにアクセスできなくなったとブルームバーグは報じている。このレポートの執筆者の1人であるジャン・チェン氏は電話インタビューで次のように語っている:
中泰証券の姿勢は、我々は失業率に関する公式データを信用するべきだというものだ。
これは、「中共は公式データで嘘をついており、真実を語る者は全員検閲されている」ということを暗に認める発言となっている。
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