北京政府は基軸通貨であるドルの崩壊について警告を発す|ブルームバーグ通信
(ブルームバーグ通信のマクロ経済担当Ye Xie記者による記事からの抜粋。)
北京政府は絶対的な基軸通貨「米ドル」の崩壊について警鐘を鳴らす
米ドルが大量に印刷され巨額の借り入れが行われているが、これはドルにとって長い凋落の始まりだろうか?
北京政府の数人の高官は、明らかに頭にそれを思い描いている。中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清(Guo Shuqing)会長は、今週、米国の通貨について激しい警告を発した。
上海で開催された金融フォーラム『Lujiazhui Forum』で行ったスピーチで、郭会長は次の4つのポイントを語った:
1.アメリカの連銀(Fed)は、世界のデファクト中央銀行となっている。その政策目標が自国の経済についてのみ対象としており、その波及効果について考慮しない場合、連銀は、「ドルそして米国の信用を過度に引き出してしまう可能性が非常に高い」。
2.このパンデミックは長期間にわって持続する可能性があり、各国はこの問題を金で解決しようと継続しても、その効果は逓減するだけである。「(これを実行に移す前に)熟考し、将来のためにある程度の政策的な余裕を温存しておくことを勧める」。
3.「無料のランチ(タダでもらえる物)」など存在しない。インフレに注意するべき。
4.金融市場は実体経済から断絶している。このような歪みは「前例がない」。政策の撤退が始まれば、「非常に痛みを伴う」ものになるだろう。
さらに郭会長は次のように語っている:
一部の人たちはこのように言う:「国内の借金(国内債)は借金ではない。しかし対外債務は借金である」。米国にとっては、対外債務ですら借金ではない。このような状況がかなり長期間、続いているように見えるが、今後もこれが長期間持続することが本当にできるだろうか?
チャイナはどうするつもりかについて次のように語っている。
チャイナは従来型の金融政策と財政政策を非常に大切にしている。我々は、金融システムに(流動性を)氾濫させるつもりはなく、また財政ファイナンス(deficit monetization)やマイナス金利を行うつもりもない。
米ドルが持つ「法外な特権」についてチャイナが不満を漏らすのはこれが初めてではない。2008年の金融危機が起きた際、当時の中国人民銀行の総裁であった周 小川(Zhou Xiaochuan)氏は、米ドルに代る主要基軸通貨としてIMFの特別引出権(SDR)を利用することを提案していた。
この提案が受け入れられることはなかったが、現在、チャイナは、従来型ではない金融・財政政策を避けることで準備通過としての地位を強化することを固く決心しているように見える。チャイナが明日、ドルを基軸通貨の座から引きずり下ろすことはないだろうが、チャイナの債権市場に海外からの資金が流入しているということは、そこに明らかな魅力があることを示している。
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