米空軍の偵察機がチャイナの沿岸まで過去最も接近 チャイナのシンクタンク「南シナ海戦略情勢探索イニシアチブ」が公表
米空軍が運航する偵察機が、3月22日(月曜)、チャイナの沿岸まで25.33海里(約47km)という過去最も接近する飛行を行った。北京にあるシンクタンク、「南シナ海戦略情勢探索イニシアチブ」(South China Sea Strategic Situation Probing Initiative=SCSPI)が明らかにした。
南シナ海戦略情勢探索イニシアチブは、米空軍のボーイングRC-135偵察機がチャイナの沿岸まで過去最も接近する飛行を行ったとツイッターに投稿した。また、同偵察機は、月曜、バシー海峡を通過して南シナ海に侵入し、チャイナの南岸地域で偵察活動を行ったと発表した。
偵察機は飛行中、チャイナの沿岸から25.33海里(約47km)の距離まで接近し、これは新記録であるとも同シンクタンクは発表している。通常、米空軍の偵察機は、50〜70海里(約92〜130km)の距離を保って飛行する。
南シナ海戦略情勢探索イニシアチブが公開した画像:
(Photo via SCSPI)
南シナ海戦略情勢探索イニシアチブの公式アカウントによる投稿:
USAF RC-135U Combat Sent #AE01D5 just set a new record of 25.33NM, the shortest distance US reconnaissance aircraft have reached from the China's coastlines, based on public data so far.
— SCS Probing Initiative (@SCS_PI) March 22, 2021
In addition, there was also a P-8A & an EP-3E spotted over the #SouthChinaSea, March 22. pic.twitter.com/uLv49u70Gv
米空軍の偵察機が、チャイナの沿岸に過去最も接近するという出来事は、アラスカでバイデン政権の代表団がチャイナの代表団と初めて会談を行った直後に発生した。同会談では、冒頭から非難の応酬となり、その後、欧米の同盟国が連携して、天安門事件以来の制裁をチャイナに対して行う事態へと発展している。
奇しくも、3月23日(火曜)、ジョン・アキリーノ太平洋艦隊司令官(海軍大将)は、インド太平洋軍司令官に指名されたことを受けて行われた上院軍事委員会の指名承認公聴会で、チャイナによる台湾の侵攻と併合は、ほとんどの人たちが考えているよりも早く起きるとの私見を語った。
3月9日(火曜)、インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン司令官が「チャイナは台湾侵攻を6年以内に行う可能性がある」と上院軍事委員会で証言したばかり。しかし、アキリーノ太平洋艦隊司令官はデービッドソン司令官のこの予測には同意しないと語り、チャイナによる台湾侵攻のタイミングについては「様々な予測があり・・・本日から2045年まで」どのタイミングでも起きうると証言した。
一方、ブリンケン国務長官は、NATO本部で3月24日(水曜)に行ったスピーチの中で、「米国は、我々の同盟国に対して、チャイナについて『私たちか彼らか』という選択を強制しない」と語った。しかし「チャイナによる強制的な行動は、我々の集団としての安全と繁栄に脅威をもたらしていることは疑いようがない」ということを強調した。
Blinken and NATO pledge fealty while Russian and Chinese ministers team up | Just The News https://t.co/LFa8mFk526
— John Solomon (@jsolomonReports) March 24, 2021
【訳】ブリンケンとNATOは忠誠を誓った一方で、ロシアとチャイナの大臣はチームを組んで協力。
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英国の民間調査機関「経済ビジネスリサーチセンター(Centre for Economics and Business Research=CEBR)」は、チャイナが2028年に米国を追い抜き、世界最大の経済大国になるだろうと昨年12月に予測している。これは、以前予想されていたよりも5年も早まる計算。チャイナが米国よりもコロナ・パンデミックの経済的ダメージを受けていないことが理由。
チャイナが経済(GDP)だけでなく軍事力でも米国を追い抜こうとしていることは、今後、米中間の競争を加速させ、軍事紛争を見越した軍事力の近代化が進むことが見込まれる。
これまでにも世界の覇権国が栄枯盛衰を繰り返してきたように、米中両国も「トゥキディデスの罠」に陥ることは避けられないのかもしれない。戦争シミュレーションでは、米国にとって分が悪いようだ。
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