米CDCはワクチン防御を突破する「ブレークスルー」感染者数を過少集計していると州政府の公衆衛生当局者たちが懸念——「何が起きているのか把握できていない」
全米各州におけるますます多くの公衆衛生担当者たちが、連邦政府はワクチンによる防御を突破して感染した「ブレークスルー」感染者数に関する正確なデータを十分に収集していないと懸念している。
8月25日(水曜)付けのPoliticoの記事によると、現在、49の州が入院中の「ブレークスルー」感染者の情報をCDCに定期的に送っている。しかし、複数の州政府関係者らがPoliticoに語ったところによると、彼らには入院データと患者のワクチン接種記録を照合する能力がないため、「ブレークスルー」感染の報告を行うためには病院の管理責任者に頼らざるを得ないという。
その結果、集計されたデータは不正確で、感染者がどのワクチンを接種したか、完全にワクチン接種が終わっているかなど、傾向を把握するための重要な情報が欠落していることがしばしば発生していると、12人の州政府関係者は語っている。
Politicoの記事は次のように記している:
CDCと密接に協力してブレークスルー感染の研究を行っているルイジアナ州公衆衛生局の主任疫学者テリーサ・ソコル氏は、次のように語っている:
「わずか数件の地方政府しか(ブレークスルー感染を)報告していない中、(CDCにとって)その結果を解釈したり、データを解釈したりするのは非常に難しいことだと思います。ワクチン接種のデータにアクセスできない地方政府がいくつかあることも知っています。彼らは(ワクチン接種のデータにアクセスするための)権限も許諾も持っていません。
「ブレークスルー感染」に関するデータを収集する上での最大の障害は、州の医療システムが分断されていることが挙げられる。州は、システム上、他の州と直接通信することができない。長年、全米の各州は連邦政府にシステムのアップグレードを懇願してきたが、成果は得られていない。
昨年、CDCは各州のシステムのアップグレードを支援するために少額の資金(Politicoは「数千万ドル」と表現している)を割り当てた。しかし、CDCは、必要なアップグレードには何年もかかることを認めている。
「パンデミックが始まったときから何も変わっていない。私たちは未だにこのパッチワークのような(寄せ集めの)システムを使っており、それにより私たちは失望させられ続けている」と、あるバイデン政権の保健当局高官は語った。
現在、アメリカの保健当局が特に懸念しているのは、デルタ型がどのくらいの速さで広がっているか、ワクチンの効果が低下していないか、より深刻な病気を引き起こしていないか、という点だ。「ブレークスルー感染」を追跡することは、これらの評価を行うための重要なステップである。
CDCは、全米50州の報告ネットワークから得られた入院患者のデータを補完するために、一部の州で小規模な調査を実施しており、病院に搬送されない軽症例を含むすべてのブレークスルー感染を調査している。この小規模な調査に参加している州は、検査報告書とワクチン接種記録を照合する機能を持っているが、独自の入院データに関するデータベースは持っていない。
ルイジアナ州の疫学者ソコル氏は次のように語っている:
「私たちが持っているもの(データ)を報告はしていますが、それは医療機関から直接報告されたものに基づいているため、それは限定的なものでしかないことはわかっていますーー全ての入院患者のデータ・セットを使って、私たちが持っているワクチン接種登録データとマッチングするのとは異なります。
入院については、それができません。病院からの個別の報告に頼っています。うまく報告してくれるところもあれば、そうでないところもあります。そのため、完全ではないことがわかっています」。
(中略)
こうした(州政府の)公衆衛生担当者の一人は、次のように語っている:
「デルタ変異株や、伝播(伝染)、ブースターショットについて、データが実際に何を示しているのか、私たちは明確には理解できていません」。
すでにパンデミック発生から1年半以上が経過しているにもかかわらず、CDCや全米各州の公衆衛生担当者たちがいまだにブレークスルー感染に関するデータを収集するのに苦労しているという事実は、にわかには信じがたい。最近、CDCが発表した調査レポートでは、ワクチン接種から14日未満の死亡者や入院患者を「ワクチン未接種」とカウントしていることから、CDCは意図的にブレークスルー感染者数を過少集計している可能性が高い。
何よりもワクチン防御を突破するブレークスルー感染を過少集計することには「メリット」がある。ブレークスルー感染件数を過少報告することができれば、バイデン政権は実際よりもワクチンの効果が高いように見せることができる。
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