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【連載】エプスティーン事件Part 2:単なる性的搾取事件ではなくスパイ事件

なぜ今回の再逮捕?

2008年の判決内容は、エプスティーンが犯した罪に対してあまりに軽い13ヶ月の禁固刑という量刑であった。しかもこの13ヶ月の受刑期間中、週に最大6日、1日最大12時間の外出が認められ、エプスティーンは自身のウェストパームビーチのオフィスで勤務することが許可されていた

もしエプスティーンが犯した罪をまともに償うとすれば、彼は一生を壁の中で過ごすことになる。しかし、彼が終身刑になるというくらいでは、この「古いニュース」が全米を揺るがす大ニュースになることはない。ニューヨーク南部地区担当の地方検察局は、エプスティーンを足がかりに、彼の政界・財界・芸能界に広がる知人たちを検挙するつもりである可能性が指摘されている。そうなれば、この事件は一大スキャンダルに膨れ上がる。

 

「エプスティーン事件Part 1」を読む

 

この事件が、“ニューヨーク南部地区担当地方検察局の、「公的汚職部門(Public Corruption Unit)」の担当になっている”という事実がこの事件の複雑さを物語っている。

「エプスティーンの起訴を担当しているのが、ニューヨーク南部地区担当地方検察局の公的汚職部門(Public Corruption Unit)であることは何を意味しているのか?短く回答すると、これを解釈するには時期尚早だということだ。これが意味することは、公職にある人物が捜査されているのかもしれないし、公職にある人物がエプスティーンと共に起訴されるのかもしれない。その人物は小物かもしれないし大物かもしれない。ニューヨーク南部地区担当地方検察局は、2008年にエプスティーンが行なった司法取引に不正行為があったことを捜査しているのかもしれない。もしくは、これらのいずれにも当てはまらないことかもしれない」。

 

2008年の有罪判決を受けた後、エプスティーンは心を入れ替えていたのだろうか?その答えはノーだ。連邦政府職員が彼のニューヨークの自宅を強制家宅捜索した際、“大量の”写真が証拠として没収された

「検察官は、エプスティーンを逮捕後、彼のマンハッタンの豪邸を家宅捜索した際、未成年女性のものと思われる“大量の”ヌード写真が出てきたと発表した。法廷に提出された文書で、検察官は、写真にはいくつかのCDに保存されていたものも含まれると報告している。そのCDのラベルには、“その他ヌード1”、“少女の写真ヌード”、そして個別の若い女性の名前などが記載されていた」

 

過去に報じられた内容によると、エプスティーンは昔、「彼が豪華な自宅でVIP向けに主催した乱行パーティーの様子をゲスト・ベッドルームの壁に仕込んでいた隠しカメラで」記録していたと報じられている

しかし、その記録映像が今でも残っているのかや、政府当局がエプスティーンの自宅を家宅捜索した時にそれを入手したかについては公表されていない。

いずれにしても、エプスティーンを再び有罪にする証拠は山ほどある。エプスティーンが終身刑を逃れるためには、政府との司法取引に応じるしか手段はない。

元連邦検事のエリー・ホーニック氏は、エプスティーンの元友人であるハリウッド、ウォール・ストリート、そしてワシントンDCの富豪や有名人、政治家らは、戦々恐々としているだろうと指摘する

「エプスティーンが政府当局に協力するかは不明だが、もしそうするなら、他の人たちの犯罪が巻き込まれることになる可能性が非常に高い。起訴状によると、エプスティーンと協力して彼の係る性的人身売買ビジネスを運営していた、もしくはそれに参加していた人がいることは明らかだ。今後の訴訟や法廷に提出される書類、そしてこれと関係する別の訴訟やさらなる起訴で、こうした人たちの少なくとも数人の名前が明らかになるだろう。そして注目すべきは、エプスティーンの案件がニューヨーク南部地区担当地方検察局の公的汚職部門(Public Corruption Unit)によって管理されていることだ。私の経験から、人身売買の事案は通常、検察当局の別の部門が担当する。このことは、公職に就いている人物が容疑者として捜査されていることを示唆している。どのような形であれエプスティーンに加担した人たちは全員、弁護士を雇う必要があるし、戦々恐々としているはずだ」。

 

エプスティーンは自身を犠牲にして彼の知人を守るという選択を取るかもしれないが、その可能性は低い。エプスティーンの弁護士は、すでにニューヨーク南部地区担当地方検察局に対して、彼の罪状を軽くする見返りに、エプスティーンは捜査に協力するつもりであると発表していると、ジャック・ポゾビエックは報じている

 

(訳)スクープ:エプスティーンの弁護士が、すでにニューヨーク南部地区担当地方検察局に対して司法取引を提案。エプスティーンは、最長5年を超えない刑期とすることと引き換えに、金銭を支払って未成年の少女と関係を持った個人名を提出することを含め、捜査に協力することに合意するつもり。

 

エプスティーンの証言の可能性に加え、数日前には、これと関連する、“複数のアメリカの大物政治家や、大企業幹部、外国の大統領、有名な総理大臣、その他の世界的指導者たち”による「性的虐待」が行われていたとする訴訟について、その訴訟と関連する記録を公開するよう判事が命じた

「この(エプスティーン再逮捕の)ニュースは、エプスティーンと彼の共犯者であるとされるギスレーン・マックスウェルが、いかに未成年の少女を人身売買していたかを明らかにする可能性がある民事訴訟に関した、2000ページ近くにものぼる記録を公開するよう判事が命じた数日後に起きた。

公開される予定の文書は、エプスティーンがとある18歳未満の少女を売春行為に従事させた勧誘と教唆の罪1件に対して有罪を認める答弁を行ない結審した名誉毀損訴訟からのものである。

この名誉毀損訴訟における記録には、エプスティーンによる性的虐待の詳細情報を含んでいるだけでなく、“複数のアメリカの大物政治家や、大企業幹部、外国の大統領、有名な総理大臣、その他の世界的指導者たち”による性的虐待に関する新たな陳述が含まれている」。

 

アコスタ氏の証言:エプスティーンは諜報機関の人間

 ここで話を少し戻そう。前オバマ政権からトランプ政権への移行チームが政権を引き継ぎ、アコスタ氏を労働省長官の候補として検討していた際、この2008年のエプスティーン裁判の件でアコスタ氏がマイアミの地方検事として彼の量刑を大幅に減刑していたことが問題として取り上げられていた

トランプの政権移行チームは、「エプスティーンの事案は、(労働省長官の指名に関する上院公聴会において)問題になるか?」とアコスタ氏に質問している。その時、アコスタ氏はこの質問を深刻に捉えることなく、次のように回答した。「私はエプスティーンが諜報機関に所属していると聞かされた。そのため、彼の事件には触れるなとも」。

アコスタ氏は、トランプの政権移行チームの面接官らにこのように答え、彼らもまた、この回答によりなぜアコスタ氏が2008年のエプスティーン裁判で彼を大幅に減刑する判断をしたのか納得し、彼をトランプ政権の労働省長官として任命する判断を下した

アコスタ長官のこの発言が公になり、単にエプスティーンが、有力者の弱みを握っていたから「触れられざるもの(untouchable)」として野放しになっていたわけではなく、彼が諜報機関の代理人として組織的にそうした情報を収集していたからとする見方が広まってきている。

 

(訳)わお!アコスタはエプスティーンが「諜報機関に所属していた」と主張し、彼の案件から手を引くよう言われていた。そう考えると全てのつじつまが合う。

エプスティーンの裏の顔を全て暴くことができれば、この世界の権力者たちがどのように世界を動かしているか相当のことが人々の知ることになり、またなぜ権力構造がこんなに腐って汚職まみれなのかもわかる。

 

保守派コメンテーターとして有名なアン・コルター氏も、この疑惑に同調しており、ジェフリー・エプスティーンの背後には「政府機関の支援者」がおり、彼の売春ビジネスは有力者たちの弱みを握り脅迫に使うためではないかと発言している。

以下は、コルター氏がラジオ番組790 KABCに電話で出演し発言した内容:

「二人の少女の証言からすると、エプスティーンは彼女らに権力者たちと性的関係を持つよう指示し、さらに性行為の後、彼らが行なった具体的な行為やどういった性的嗜好を持っていたかを彼に報告するよう指示していたとある。しかもエプスティーンは彼の豪邸中に隠しカメラを設置していたことからしても、これは明らかに脅迫を目的にしたものと言えるでしょう。

私には、この裏にはより巨大な何かがあるように見えてしょうがない。おそらくは、政府機関による支援があったのではないかと。相当権力のある存在(略)

ここで起きていることの裏には、とてつもない巨大な権力が動いているように思えてなりません。これがどういう結論に至るのかわからず不安になります。この事件は未解決のまま無理やり収束されてしまうのではないかと」

 

彼女の出演部分はここで視聴できる:

 

これはアコスタ労働省長官が、11年前のエプスティーン案件で、自身が地方検察官として下した判断は正当なものであったと記者会見で弁明している様子。この2日後に、アコスタ氏は急遽、長官の辞任を発表した。

 

エプスティーン事件Part 3」へ続く。

 

Screenshot via Bloomberg

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