アパレル大手Forever 21が昨日破産を申請していたことが判明:日本の全店舗を閉鎖する予定
9月14日、アパレル大手フォーエバー21(Forever 21)が翌日にも破産申請するとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じていた。このニュースが報じられてから約2週間後の昨日日曜、フォーエバー21はデラウェア州で連邦破産法第11章(会社更生手続き)を申請したとブルームバーグ紙が報じた。
破産のカウントダウンが始まっていることが報じられた際、同社は以下のように語り、破産を申請する計画は一切ないと報道を否定していた:
「わが社の店舗は営業しており、米国内の店舗の大多数および国際展開しているいくつかの店舗を引き続き営業していくつもりである。顧客に対して、素晴らしいサービスと、顧客のニーズにあった商品をセレクトして提供していく。わが社の店舗検索サイトを訪問して、最新の店舗リストを閲覧していただきたい。
ブルームバーグ紙は、フォーエバー21がeコマースとの競争にさらされていた上に、H&MやZaraなどのアパレル企業との激しい競争や、高い家賃に苦しんでいたと報じた。
法廷に提出された文書によると、フォーエバー21は(連結ベースで)10億ドル〜100億ドルの負債を抱えていると見積もられている。米国連邦破産法第11章の保護下に置かれることで、フォーエバー21は今後も継続して営業を続けていく予定であり、債権者への返済を行う計画。
破産申請書によると、同社が世界に展開している800以上の店舗のうち最大350店舗を閉鎖する見込み。閉鎖される店舗のほとんどはアジアおよびヨーロッパにある店舗となる。同社は、日本で展開している全14店舗を閉鎖する計画を発表している。そしてメキシコやラテンアメリカ諸国で展開している事業は継続していく予定であるとロイター紙が報じている。
こうした破産計画が意味するのは、同社が抱える3万人の雇用のうち半数近くが解雇されるということだ。
フォーエバー21が破産申告する前から、米国で閉鎖される小売店舗数は、既に直近数年に閉鎖された小売店舗数の合計を超えていた。ある調査機関は、2019年末までに1万2000店舗が閉鎖されると予測している。
ゴールドマン・サックスの複数のアナリストは、2019年に閉鎖されることになる店舗が「在庫一掃セール」を行うため、75億ドル分の「バーゲン・セール」が行われると見積もっている。
さらに、ゴールドマン・サックスは、ますますeコマースへの移行が進むと予想している:
小売店舗の閉鎖件数が過去最大になる中、今年後半を通してeコマースの成長率は加速すると我々は確信している。Amazonは当日配送を行うために8億ドルの投資を行っているなど配送インフラに関するプロジェクトが(各社で)実施されていることや、Etsyが無料配送を行なっていることにより・・・より多くの消費者はオンライン・ショッピングにシフトしていく。
ロサンゼルスを拠点に展開しているフォーエバー21は、米国連邦破産法第11章の保護下で、債権者への返済を行いながら運営を続け、事業の再建を図る。
2017年初旬から、全米では20社以上の小売業者が破産申請している。その中には、小売大手であったSears(シアーズ)、トイザらス、格安靴販売業社のPayless Shoesなどが含まれる。小売業界は多額の負債を抱えており、また消費者がオンラインへ移行しているため苦戦が続いている。
Reorg Researchによると、2019年にアメリカの企業による破産件数が急増している:
2019 chapter 11 filings are up 18% year-over-year pic.twitter.com/IzljmtqPtf
— First Day by Reorg (@ReorgFirstDay) August 30, 2019
【訳】2019年における米国連邦破産法第11章の申請件数は、昨年同期比で18%上昇。
2015年以来、米国の小売業者は80社以上が破産申請しており、その負債総額は450億ドル以上。
Since June 2015, retail chains have accumulated more than $45 billion in aggregate chapter 11 liabilities in connection with over 80 bankruptcy filings: pic.twitter.com/Q1XO9pSWij
— First Day by Reorg (@ReorgFirstDay) August 20, 2019
【訳】2015年6月以来、小売チェーン業界では80件以上の破産申請が行われており、それらに関係した米国連邦破産法第11章の負債総額は450億ドル以上。
しかし、フォーエバー21は複数の融資が受けられるため、同社は会社更生手続きから他社よりも早く脱出できる可能性がある。フォーエバー21は、既にJPモルガンなどの金融機関から2億7500億ドルの融資を受ける確約を取り付けている。JPモルガンは融資を調達する代理人として立ち回っている。さらにフォーエバー21は、TPG Sixth Street Partnersおよびその関連ファンドから、7500万ドルの追加資本を調達している。フォーエバー21は、既に発行しているギフト・カードを利用し続けることや返品の受付を行うことができる見込みであると述べている。
フォーエバー21のエグゼクティブVPであるリンダ・チャン氏は声明の中で次のように語っている:
JPモルガンおよびTPG Sixth Street Partnersから提供された資金により、フォーエバー21は、米国および海外市場おにおいて当社ブランドを活性化しビジネス成長を刺激するため、クリティカルな変革を行うのに必要な資本を手にしている。これにより、当社は引き続き顧客、ベンダー、従業員への責任を果たすことが可能となっている。
フォーエバー21は1984年に設立。破産申請するまでは世界57カ国で815店舗を運営していた。
【関連記事】
アパレル大手Forever 21が明日にも破産とWSJ紙が報道BonaFidrをフォロー