米最新雇用統計:複数の仕事を掛け持ちする人口が増加
米労働統計局は、7月5日、最新の雇用統計を発表した。ウォール街の楽観的な予想を上回る結果となり、6月の農業部門を除く雇用者数は22万4000人増加。失業率は3.7%という低水準を維持した。特に専門職、医療、運送・倉庫関連の職種で雇用者が増大した。
米失業率の推移
(グラフ:米労働統計局より)
しかし一見「良いニュース」である雇用統計が発表されるも、今日のニューヨークの株式市場は前日よりもやや値を下げて取引が終わった。
その理由は、複数の仕事を掛け持つ雇用者が、先月の785万5000人から815万6000人へと急増したためだ。1ヶ月で30万1000人の増加は、2018年7月以来最大。つまり、米労働統計局の調査に含まれている雇用者数には、複数の仕事を掛け持ちしている雇用者が二重、三重にカウントされているということであり、彼らを除いた実質の雇用者数は、最新の統計データが示すほど優れてはいないということになる。
とは言うものの、雇用者数が1ヶ月で22万4000人も増えたというのは特筆するべきで1月以来最大の増加数となっている。
米労働統計局は、フルタイム労働者が45万3000人増加したとも発表している。これは、1月〜5月に21万8000人分のフルタイム労働者が減ったことから反転したことを示している。
結論:全米における6月のフルタイム労働者数は、過去最大の1億5700万人に達した。しかし、6月の労働人口の増加数はそのほとんどすべてが第2、第3の仕事を得た労働者人口である。つまり、1つの仕事では生活していけない労働者人口がそれだけ増えていることを意味している。米国株式市場は今週、過去最高値をつけたが、米国労働市場が示すデータはそれほど楽観視できる数字とはなっていない。
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