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リーマンブラザーズの悪夢が再来?:週明けにも独銀行が大量解雇か

Garth-Ritchie

巨額な負債を抱え企業運営が危ぶまれているドイツ銀行だが、同行の投資銀行部門のトップを長年勤めたガース・リッチー氏(写真)が退社すると、今日ドイツ銀行が発表した。同行のCEO、クリスティアン・ゼーヴィング氏は、今週末の日曜に役員会議で大規模な再構築プランを発表する予定で、特に投資銀行部門で人員の大量解雇が行われる見込みであることがすでに報道されている。

ドイツ銀行の発表では、リッチー氏の退社は「両者(会社と本人)の合意」に基づいて行われた。リッチー氏は、ドイツ銀行で20年以上勤務していた。

しかし、ドイツ銀行の大量解雇はまだ始まったばかりだ。

リッチー氏の解雇は事前にメディアに伝えられたが、ドイツ銀行は2016年に既に同行を揺るがすニュースに襲われている。司法省がドイツ銀行に巨額な課徴金を課すのではないかという不安が投資家たちを襲い、その不安から投資を引き上げる騒ぎが起きている。

この2016年後半に起きた騒ぎでは、複数のヘッジファンドがドイツ銀行と行なっていたデリバティブ取引を解消し、同行に預託していた余剰キャッシュと取引ポジションを引き上げた。そしてここ数ヶ月の間に、ドイツ銀行の最大顧客の一つである巨大ヘッジファンドのRenaissance Technologiesは、同行のプライムブローカレージ口座から現金を引き出していると、本件について詳しい複数の人物からの話として報じられている。

ブルームバーグによると、秘密主義で知られる巨大クオンタムファンドのRenaissance Technologiesは、密かに取引事業をドイツ銀行からバークレイズ、バンク・オブ・アメリカ、その他の銀行に移しているという。この件について、ドイツ銀行もRenaissance Technologiesも取材を拒否している。

ここ数年、ドイツ銀行からのヘッジファンドの流出は続いている。事情に詳しい複数の人物の話として、昨年末までにドイツ銀行がヘッジファンドの顧客に対して行なったトレードおよび証券貸付業務の手数料収入は、2015年と比べて3分の1以上減少したという。

2016年に起きたヘッジファンドの流出騒ぎにより、ドイツ銀行のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS:信用リスクの移転を目的とするデリバティブ取引の一種)の価格は急騰している。

今週のガース・リッチー氏退社のニュースは、ドイツ銀行のCDS価格に大きな影響を及ぼしていないが、間も無くこの価格が大きく変わる可能性は十分ある。

あさって日曜に行われる予定の、ドイツ銀行CEOクリスティアン・ゼーヴィング氏による再構築プランの発表には、50億ユーロ(約6091億円)にものぼる大規模なコスト削減と、2万人の社員削減(同行の6人に1人を解雇)することが含まれる見込み。クリスティアン・ゼーヴィング氏自身はリテールバンクの出身であるが、投資銀行部門トップが退社したことにより、専門外の投資銀行事業も主導して運営していかなければいけない。

efinancialcareers.comによると、 リッチー氏は昨年820万ユーロの報酬を受け取っていた。これはCEOであるクリスティアン・ゼーヴィング氏の報酬金額よりも多い。昨年、リッチー氏は法人および投資銀行部門の立て直しを命じられていたが、今年、目標とする数字の80%しか達成できなかったという。そのため、リッチー氏は引責辞任をするという噂が何ヶ月も前から出ていた。

ドイツ銀行の取締役会は、今週末日曜、CEOであるクリスティアン・ゼーヴィング氏の再建プランを承認すると見込まれており、同行の米国株式事業、そしてその他の不採算事業の閉鎖もしくは売却が含まれる見通し。特に投資銀行部門での大量解雇が予想されており、半数近い行員が解雇されると言われている。

ドイツ銀行の大量解雇は、徐々に来年にかけて行われるのではないかという見方があるが、ドイツ銀行の元常務取締役(MD)によると、早ければ週明けの月曜に、リーマンブラザーズで起きたような一度の大量解雇がニューヨークやロンドンのオフィスで起きうると述べている。

efinancialcareersが入手した、リッチー氏の退社を告げる社内メールで、リッチー氏はドイツ銀行の法人・投資銀行部門が同氏にとって「私のほぼ半分の人生でホームであり、ほぼ全ての職業人生を捧げた場所だった」と述べている。

もしCEOクリスティアン・ゼーヴィング氏の再建プランが失敗すれば、ドイツ銀行はそう遠くない将来においてリーマンブラザーズのような倒産に追い込まれることになる。

 

Photo courtesy of Deutsche Bank

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