日本が中国を抜き米国債保有率トップに
米中貿易戦争の終わりが見えない中、中国の中央銀行に当たる中国人民銀行の元副総裁チェン・ユアン氏は、対抗策として中国政府が保有する米国債を大量に売却する可能性を示唆している。
これまで、米国以外の投資家としては、中国が米国債の最大の保有者であった。しかし最新のトレジャリー・インターナショナル・キャピタル(TIC)のデータによると、今年6月に日本が中国を抜いて米国債の最大の保有者になったことが明らかとなった。これは中国が米国債を売却したからではなく、日本が急速に米国債を購入したため。
中国政府は、今年3月〜5月の3ヶ月間は米国債を売り越していたが、6月は23億ドル分の純増で追加購入しており、米国債の合計保有金額が1兆1130億ドルとなっている。一方、日本は6月に219億ドル分の米国債を新規購入しており、5月と6月の2ヶ月間に購入した米国債が589億ドルにものぼっている。これは2013年6月以来の大規模購入となっている。
米国以外で、日本が米国債の最大の保有者であったのは2017年5月。
一方、米中貿易戦争の終わりが見えない中、中国政府が対抗策として米国債を大量に売却するのではないかという憶測が流れている。先週末には、中国人民銀行の元副総裁チェン・ユアン氏が次のような発言を行っている:
地政学的な観点に立って見ると、中国が米国債を保有していることにより、米国は中国によって封じ込められていると信じている。つまり、これが意味することは、米国は完全に弱みがないというわけではないということだ。
米中貿易戦争の交渉を進める中で、当然、中国は「核のオプション」も持っているが、まだそのカードを使っていない。
最新のデータから、少なくとも米国債の最大の保有者は、現在(アメリカ国民以外としては)日本の年金基金となっている。
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