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中国政府が米連邦議員の訪中団へのビザ発行を却下:米議員団が台湾訪問を計画していたため

Xinjiang

ここ数週間、米中間では、貿易以外にも文化闘争が起きており、また互いの国民に対するビザの発給停止という応酬が続いている。そんな中でも、今回明らかとなったビザ発給停止は最も深刻な問題だろう。アメリカ連邦議会の超党派議員団が台湾に立ち寄る計画を立てていたため、中国政府は彼らへの訪中ビザ発行を却下し入国を拒否していた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙に掲載された論説記事が明らかにした。

 

先週末日曜版のWSJ紙に、ニューヨーク州選出のショーン・マローニー下院議員(民主党)が論説記事を投稿した。その中で、マローニー議員は、「複数の異なる事例において、もし私が台湾への訪問を取り消せば、私に(訪中の)ビザが発給されるだろうと、中国政府関係者は私のスタッフ達に語った」と、中国政府とのやりとりの内容を公表した。

 

マローニー議員は、これを「ビザによる脅しであり、米国連邦議会が長年、台湾と強力な関係を伝統的に持っていることを止めようとする試み」と呼んでいる。

 

マローニー議員が台湾訪問をキャンセルすることを拒否すると、中国政府関係者らは、中国政府が主張している「一つの中国政策」を認める声明を発表するよう彼に要求した。「一つの中国政府」とは、中国大陸が唯一の主権者であり、「台湾の政治的存在の合法性を認めず、台湾に住む2400万人の人々をさらに孤立される」主張であるとマローニー議員は記している。

 

中国政府は、台湾が体現するもの、つまり明らかに中国式の民主主義が花ひらくことができるということを恐れているのは疑いようがない。台湾が政治的に成功していることは、嘘と弁明まみれの全体主義的な中国共産党への挑戦である。そのため、習近平主席は、経済的支配と軍事的な圧力を利用して、台湾の民主主義を息絶えさせようとしており、中国大陸と強制的に再統一(*)させようとしている。近年では、マリオット・ホテルやユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空などの主要米国企業が、彼らのホームページ上で台湾を一つの国として掲載していることを削除するよう圧力を受けている。

 

最も深刻なのは、中国政府が動員する大々的な虚偽情報キャンペーンと、親中の候補者たちに不法献金を行うことで、2018年に行われた台湾の地方選挙に中国が介入したことだ。中国政府は、2020年1月に予定されている台湾の大統領選挙にも同様の手法で介入しようと試みている証拠がすでに現れている。WSJ

 

(*)マローニー議員は「統一(reunify)」という単語を使っているが、台湾が中国大陸に統一されていたことは歴史上一度もないため、正確には「統一(unify)」と言うべき。

 

マローニー議員によると、中国は、米国による香港のデモ参加者への支援や、新疆ウイグル自治区にある「再教育施設」に収容されている、100万人以上にのぼるイスラム教ウイグル族への支援についても積極的に抑圧しようとしている。中国政府は、アメリカを中心とした国際的なメディアでどのように中国が報じられるかをコントロールしようとしており、また米国が台湾と交流することも制限しようとしている。米国政府が香港のデモ隊や新疆ウイグル自治区の人々を支援するのを抑圧しようとするのも、こうした中国による対外戦略の一部であるとマローニー議員は指摘している。NBAバスケットボールチームの関係者が香港の民主化デモを支援するツイートを行った途端、中国国内でのNBAの試合の放送を禁止する措置を取ったことも、まさにこうした中国政府による対外戦略の一環である。

 

先週、アメリカ国内で香港における民主化デモに対する支援の声が高まったことを受けて、中国外交部の広報官は、NBAを含むアメリカの企業は中国の世論に従わなければいけないと複数回にわたって語った:

 

香港のデモ参加者やウイグルの収容所に強制収容されている人々の評判をおとしめるプロパガンダを発信することで、中国政府はナショナリズムの炎を焚きつけ、中国共産党の路線から果敢にも離脱するアメリカ企業をボイコットするよう呼びかけている。

 

アメリカの企業は、ますます中国市場に依存するようになっているが、企業の利益とアメリカの核心的な価値観との間でどちらを選択するのか迫られている。アメリカ企業は、しばしば中国の要求に屈する。先週、アップル社はHKmap.liveというアプリをアップル・ストアから削除する決定を下した。このアプリは、香港の人々が投稿した情報により香港警察の動きをトラッキングし共有することができるものだった。WSJ

 

マローニー議員は、中国政府がアメリカの議員を入国禁止にしているのは、中国国内の政治に外国が関与するのを阻止しようとする同国の一連の措置の中でも最新の動きであると確信している。しかし、米国と台湾の間で継続した強力な関係を構築することを命じる1979年台湾関係法の下で、米国には法的義務があることを鑑みると、中国政府は自国の措置を再検討することが賢明であるとマローニー議員は語っている。

 

「私の代表団に対して行われたような、不器用で恥もなく強制された圧力キャンペーンは、アメリカ連邦議会による台湾支援に活気をもたらすだろう」とマローニー議員は締めくくっている。

 

* * *

 

先週、トランプ政権は、中国西部でウイグル族を大規模収容していることに関わった中国政府関係者に対するビザの発給を制限すると発表した。

 

米国務省のマイク・ポンペオ長官は、次の声明を発表している:

 

アメリカ合衆国政府は、中華人民共和国に対して、即刻、新疆において行われている抑圧政策を終わらせることを要求する。独裁的に収容された全ての人々を解放し、外国に居住している中国のイスラム教少数派の人々に対して、どういう運命が待っているかも明確にせず中国へ戻るよう強制させる活動を停止せよ。

 

先週月曜、米商務省のウィルバー・ロス長官は、新疆における人権侵害に関わっているとして新たに28の中国企業をブラックリストに掲載する発表を行った。アメリカの企業が、これらブラックリストに掲載されている企業に対していかなる米国製の製品を輸出するためには、特別な許可証を申請する必要がある。この28社には、中国の監視カメラ大手、杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)や浙江大華技術(ダーファ)が含まれている

 

一方、中国政府は、反中国の企業や組織に関わっているアメリカ国民に対して、ビザの制限を厳格化すると発表したと、ブルームバーグ紙が報じている

 

(新たな)中国のルールでは、米国の軍およびCIAと関係した機関や人権団体のリストを起草し、それらの社員をビザのブラックリストに追加することを命じている。匿名を条件に情報源の人物は語った。

 

この(ビザの発行)制限を厳格化する措置は、中国政府による懸念が高まっている中で導入された。米国政府とその他諸外国の政府は、このような組織を利用して反中国政府のデモを中国本土と香港の両方で煽り立てていると中国政府は懸念している。また、中国政府がビザ制限を厳格化したことは、アメリカ政府が中国人の研究者や政府関係者達に対してビザの制限を行ったことに対する報復でもある。最初に引用した情報源の人物が語った。Bloomberg

 

 

 

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