SoftBankが過去14年間で初の損失を計上:WeWorkの大惨事を経て孫社長が「判断を誤った」と認める
水曜朝、SoftBankグループは過去14年間で初めて四半期損失を報告した。1000億ドルの資金を調達したビジョンファンドが行なった、テクノロジー企業への投資の失敗が大きく影響した。
SoftBankグループは、そのビジョンファンドについて第3四半期、65億ドルの損失を計上した。同ファンドは、WeWorkへの投資から46億ドルの損失が発生した。シェア・オフィス企業のWeWorkは、数ヶ月前には470億ドルの企業バリュエーションをつけていた。しかし数週間前、資金がショート直前に追い込まれ事実上の破産状態に陥っていた。
そしてWeWork(正式名はWe Co.)は、先月、SoftBankにより救済された。SoftBankは同社を破産から救済するために100億ドルを投入している。
SoftBankの孫社長(62歳)は、投資コミュニティーの間で、投資先企業のバリュエーションやWeWorkでの企業統治の問題について見逃していたのではないかと疑問を投げかけられている。黒字化していないスタートアップ企業に多額の投資資金を投入するという孫社長の投資判断には、大きな疑問符がついている。
WeWorkやUberなど、投資先企業のバリュエーションが次々と暴落したことが、SoftBankの利益の伸びを大きく傷つけた。
ブルームバーグは次のように報じている:
9月30日締めの3ヶ月間で、営業損失は7044億円に達したと、東京が拠点のSoftBankは声明の中で発表した。アナリストたちによる予測の平均値である2308億円を軽々と上回った。1年前、同社は7057億円の利益を計上していた。その代名詞とも言えるビジョン・ファンド(スタートアップ投資のために集められた単一の資金プールとしては世界最大)は、同四半期、9703億円の損失を報告した。
SoftBankのビジョン・ファンドは、黒字化していないテクノロジー系スタートアップ企業に対して高いエクスポージャーを抱えており、それら企業は約776億ドルのバリュエーション評価を受けていた(ビジョン・ファンドのポートフォリオには約88社のスタートアップ企業が含まれている)。
ビジョン・ファンドが投資するテクノロジー系スタートアップ企業のほとんどは、世界的な同時経済回復のサイクル外で活動したことがない。実際ドットコムバブルがはじけた際、孫社長はほとんど破産に近い状態に陥った。
現在の世界的な同時経済減速や、世界的な景気減退により、投資家たちは投機的な格付けの企業から、安定したキャッシュフローをもたらす企業へ投資を転換している。これが、投機的な格付けの企業に対するバリュエーションをリセットする引き金となっており、そうした投機的格付けのスタートアップ企業を数多く投資先として抱えるビジョンファンドは、その全責任を負わされ、大きな頭痛の種となっている。
今週水曜、孫社長は「真っ赤っかの大赤字。3ヶ月の四半期決算でこれだけの赤字を出したのは創業以来のことではないかと思います」と述べ、「私自身の投資の判断がいろんな意味でまずかったと大いに反省している」と語ったと報じられている。
しかし反省はこれで終わりではない。ビジョン・ファンドの投資先は、またこの先も一社、また一社とバリュエーションの崩壊が待っており、さらなる評価損の計上が今後も行われるだろう。
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