【Part 2】中国人が中国共産党による資本流出規制を回避し国外へ資産を持ち出す方法:日本は中国人富裕層にとって資産隠しの場所
本日この記事でも紹介したアメリカの投資アドバイザリー企業One River Asset ManagementのCIO(チーフ・インベストメント・オフィサー)、エリック・ピーターズ氏(冒頭の写真)は、いかに中国人が中国共産党による資本流出規制を回避しているか、その手口を紹介している。以下にその抄訳版を紹介しよう。(この記事はPart 1の続きである。)
(Photo via AB’s YouTube)
「資金を中国国外へ持ち出す唯一の方法は、日本企業を設立することだ」と彼は小声で呟いた。
「だからこれほど多くの中国国籍の人間が日本にいる。まず1つ目に、(日本の)ビザが取得でき、永住権が取得できる。そして2つ目としては、日本と中国は税金に関する情報を共有していない。その理由は、両国がいまだに第二次世界大戦について不和を抱えた状態だからだ。そして3つ目として、中国政府の政策が日本には及ばないためだ。中国人のビリオネアーたちは、香港やニューヨークでするように、日本では『蒸発』しない。だから彼らは東京や大阪で住宅を購入しているのだ」と彼は説明した。
「資本規制があっても、人民元の決済を日本円で行うことができる」と彼は続けた。
「あなたはまず日本にペーパーカンパニーを設立し、銀行口座を開設する。そして人民元をあなたの東京にある自分の会社に人民元で送金し、日本円で決済を行う。その時点で、そのお金は(中国政府の目からは)消えたも同然である。銀行口座の名前は漢字で記されている。しかし、この方法は非常に多額の資金の移動には使えないのはほぼ確実だ。アメリカ人にはこの方法は使えないが、中国人はこうした(ペーパー)会社を10万社は設立しているだろう」。
2019年上半期、中国政府による日本国内の資産に対する問い合わせは13倍に急増した。
人民元を回避する方法
ゴールドマン・サックスは、タイカン生命保険会社(Taikang Life Insurance)の4%の株式を売却した。アリアンツは、タイカンの企業価値を200億ユーロと評価し、ゴールドマンに8億ドルを支払った。ゴールドマンは、タイカンを2010年にAXAから購入していた。当時、タイカンは70億ユーロの企業価値があると評価されていた。そしてAXAは、もともと2006年にスイスの保険会社であるヴィンタートゥール(Winterthur:クレディ・スイスの子会社)を統合した際にタイカン株を受け継いでいた。ヴィンタートゥールは、2000年にSoftbankおよびGSICと協力してタイカン株を購入していた。
それ以来、売り手と買い手は人民元を避け、タイカン株を米ドルとユーロに入れ替えている。タイカン社は、1996年にチェン・ドンシェン(陳東升)により設立された。(彼は毛沢東の孫娘と結婚している。)彼が保有する総資産は48億ドル。
(太字強調は訳者)
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