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オーストラリア第2位のWestpac銀行が反資金洗浄法を2300万回も違反

Westpac

オーストラリアの銀行業界は、かつて清廉潔白なイメージがあった。しかしその評判が崩れてしまった。オーストラリアで第2位の規模を誇るWestpac銀行が、反テロ・反資金洗浄(AML)法に少なくとも2300万回も違反したとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が報じた。この法律では、銀行が国際送金を慎重に個別審査することを義務付けている。しかし、Westpac銀行は2300万件以上の国際送金について、十分なレベルの審査を行なっていなかったと発表した。その金額を合計すると、75億米ドル分の国際送金について十分な審査が行われなかったことを意味する。

 

オーストラリアの銀行法によると、1件の法律違反につき、最大2100万豪ドル(1400万米ドル)の罰金が課される可能性がある。Westpac銀行は2300万件以上の送金を十分に審査しなかったため、オーストラリア国内における金融機関の監視機関であるAUSTRACは、法律上、数百兆豪ドルの罰金を課すことができる。ただし、Westpac銀行がそのような天文学的な金額を支払う能力がある可能性は低いとWSJ紙は報じている

 

Westpac銀行の監視体制にどういった過失があったのかは不明だが、監視機関のAUSTRACは、Westpac銀行が「ハイリスク」の国々や、性的目的の人身売買に関わったという具体的な経歴がある組織・人物による送金を援助していたと糾弾している。

 

ロイターによると、監視機関のAUSTRACは、Westpac銀行よりも規模の大きいコモンウェルス・バンク・オブ・オーストラリア(Commonwealth Bank of Australia)銀行に対しても同法違反で起訴していた。同銀行は、5万3750件の国際送金について同様の個別審査を怠ったことを認め、オーストラリア史上最大の7億豪ドル(4億7600万米ドル)の罰金を昨年支払っている。

 

監視機関のAUSTRACが法廷に提出した起訴内容によると、Westpac銀行は、2013年〜2018年にかけて行われた国際送金を適切に審査することを怠っていた。

 

同起訴状によると、Westpac銀行は、海外の金融機関に関するリスクや、それら金融機関の商品、顧客、送金についてリスク評価を行わずに業務関係を維持していた。また、それら海外の金融機関が「ハイリスク国、もしくはイラク、レバノン、ウクライナ、ジンバブウェ、コンゴ民主共和国などを含む制裁対象国」における金融機関との関わりがあることを開示したにもかかわらず、Westpac銀行は業務提携を続けていた。

 

「Westpac銀行にもたらされたリスクは、これらハイリスク国や制裁対象国が、オーストラリアの決済システムにアクセスできていた可能性があるということである」とAUSTRACは語った。

 

シドニーが拠点のWestpac銀行は、これらリスクの一部について2013年から認識していた。当時、「少額の国際送金がフィリピンおよび東南アジアに頻繁に行われていたことと関連して、幼児虐待リスクの可能性が高いこと」に気がついていたが、Westpac銀行は2019年まで自動検知システムを導入しなかった。

 

児童虐待の罪で収監され刑期を全うしたとある人物は、Westpac銀行でいくつかの疑惑がかけられた銀行口座を開設していた。その一つの口座に疑わしい取引があることをWestpac銀行は検知したが、その人物が保有するそれ以外の口座について検査することを怠っていた。そのため、「この人物は、適切なモニタリングが行われていないルートを通して、少額の国際送金をフィリピンに頻繁に行い続けた」とAUSTRACは記している。

 

AUSTRACはさらに起訴状の中で次のように記している:

 

(この法律違反行為は、)銀行の管理体制、上部経営者層による無関心、そして取締役会による不十分な監督体制における体系的な怠慢の結果である。Westpac銀行は、資金洗浄・テロ資金供与に対してリスク管理と法の順守を行うのに、場当たり的アプローチを採用していたために、こうした違反行為が発生した。

 

* * *

 

一方、オーストラリアの安全保障に関しては、最近、中国による「サイレント・インベージョン」の浸潤を示す報道が立て続けに行われている。Westpac銀行を通して行われた資金洗浄や違法な国際送金には、中国のような「リスク国」も関わっている可能性が十分ある。

 

『中国から亡命希望の元スパイ、豪に膨大な情報を提供 報道』- AFP 

【11月23日 AFP】香港と台湾、オーストラリアで中国のスパイ活動に関わっていた男性がオーストラリアへの亡命を希望し、中国の政治干渉活動に関する膨大な情報を豪当局に提供していたことが分かった。豪メディアが23日、伝えた。

 

『中国が豪政治の「乗っ取り」企図、保安機関元トップが警告』- AFP 

【11月22日 AFP】中国が水面下で狡猾(こうかつ)に組織的なスパイ活動と利益誘導を駆使してオーストラリア政治体制の「乗っ取り」を企てていると、オーストラリア保安情報機構(ASIO)の元トップが豪紙とのインタビューで警告した。

 

これは逆に、中華系オーストラリア人がスパイ容疑で中国政府に逮捕されたというニュース。

『中国、スパイ容疑でオーストラリア人作家を逮捕』- 産経新聞 

【北京=西見由章】中国外務省の耿爽(こうそう)報道官は27日の記者会見で、今年1月に北京市国家安全局が拘束した中国出身のオーストラリア人作家、ヤン・ヘンジュン(本名・楊軍)氏を今月23日にスパイ容疑で正式に逮捕したことを明らかにした。容疑の具体的な内容は明らかにしていない。

 

【更新】

中国国営メディアの編集長で、中国共産党の代弁者として知られるフー・シージン氏は、オーストラリアに亡命した中国人スパイのことを「有罪判決を受けた詐欺師」と呼び、彼の信憑性を下げる努力をしている。

 

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