アメリカ大手IT企業6社は2019年までに10兆円以上の税金を回避:Fair Tax Markが調査報告書を発表
「シリコン・シックス」と呼ばれる、フェースブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル、そしてマイクロソフトの大手IT企業6社は、2018年の1年間で合計8000億ドル以上の売り上げがあった。これら企業の時価総額は、合計で4兆5000億ドル以上にものぼる。
そしてこれらアメリカの大手IT企業6社は、2010年〜2019年の間に1000億ドル以上(10兆円以上)の租税回避を行っていると、イギリスのFair Tax Markが調査報告書を発表した。Fair Tax Markは、適正な納税を行っている企業を認定している機関。Fair Tax Markは、アメリカ政府機関に提出された10K年次報告書を分析し、各社の税引当金を比較した。税引当金は、企業が将来の納税のために準備している現金であり、政府に実際に支払われる金額を示している。
また、これら6社の臨時税の合計は、2010年末の89億ドルから、2019年には470億ドルに増加している。同時期に、6社に対して追加で57億ドルの罰金および利息も発生している。
「法人税を回避するという行為は、大きな波となり国際的にますます広まっている。デジタル売上税を導入することで、巨大な多国籍テクノロジー企業による利益移転に対抗するという考えは、多くの国で定着してきている。投資家は、これが企業のバリュエーションや所得の流れにもたらす将来の影響について改めて見直す必要がある」と Fair Tax Markのチーフ・エグゼクティブであるポール・モナガン氏は語った。
特にこれら6社の中でも、アマゾンによる租税回避が最も深刻であると同報告書は指摘している。アマゾンは、2010年以来、利益のわずか12.7%、34億ドルの所得税しか納めていない。一方、分析が行われた8年間のうち7年間については、米国の法人税率は35%だった。「同社(アマゾン)は、そのほとんどの売上に対して税金を納めておらず、それを背景に世界中で市場支配を強めており、より責任あるアプローチを取っている地元企業に対して不公平な競争をしかけることが可能となっている」と同報告書は記している。
アマゾンに次いで2番目に多額の租税回避を行っている企業として、同報告書はフェースブックを挙げている。フェースブックは、2010年以降、利益に対してわずか10.2%しか税金を納めていない。これら6社の中で、現金で納税された税金としては最低税率である。フェースブックは、外国法人税の課税額についても、2010年以降、利益のわずか5%と6社の中で最低である。
「シリコン・シックス」は、アメリカ国内よりも外国における税法の抜け道をうまく活用しているようだ。Fair Tax Markの報告書は、2010年以降の外国法人税の課税額が、外国で認定された利益のわずか8.4%であることから、税法の抜け穴のほとんどがアメリカ以外の国にあると指摘している。Fair Tax Markは、企業の利益が、バミューダ、アイルランド、ルクセンブルク、そしてオランダのようなタックス・ヘイブン(租税回避地)に引き続き集約されていると指摘している。
こうした調査結果は、決して目新しいニュースではなく、また租税回避は「シリコン・シックス」に限った行為ではない。株主に価値を生み出すために、企業はここまで行うというその一例を示しているにすぎない。
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