全米の大学が次々と海外留学制度をキャンセル:CA州ソノマ郡では初の市中感染か
イタリア国内では新型コロナウィルスの感染者数が合計528名(執筆時)と爆発的な拡大をみせている。そしてイタリアへ渡航歴がある人物などがドイツ、フランス、そしてスペインなどで発症するケースが増えている。こうした事態を受けて、全米の大学は留学プログラムを次々とキャンセルしている。
少なくともアメリカの7つの大学が、イタリアへの留学制度を停止したとFox Newsが報じている。多くの場合、すでに渡航している学生たちにも影響が及んでおり、数百人にのぼるアメリカ人学生たちへ留学を切り上げて米国へ早急に帰国するよう促している。
特にアジアへの留学制度がある大学は、渡航制限を慎重に見極めようとしているところもあれば、留学制度そのものを停止したところもある。フロリダ国際大学(Florida International University)は火曜、イタリア、日本、韓国への包括的留学制度を停止している。
同大学のケニス・G・ファートン副学長は、声明を発表した。その中で、「これら国々への海外教育春季プログラムはキャンセルされた。同時に、これらの国々にいる学生もしくは職務で渡航している大学職員たちは即刻、米国へ帰国しなければいけない」と記している。
またこの声明で、これらの国々へ最近渡航した大学関係者たちは「自宅で自身を隔離し、大学キャンパスには来ないように」と指示している。
学生がヨーロッパやアジアの各国で短期もしくは長期にわたって留学する制度をもつ全米の大学は、そうした留学制度に対して不安を抱えている。
ノースカロライナ州にあるイーロン大学グローバル教育学部のウッディー・ペルトン学部長は、「これは大学にとって難しい決断だった。こうした留学中の学生たちはすでに重要なグローバル体験の最中だった。しかし学生の健康と安全が我々の最優先事項だ」と、ニュース・リリースの中で記している。同大学は、現在、21名の学生と1人の教員がイタリア・フィレンツェで教育・研究を行っているが、今週、フィレンツェでの交換留学プログラムをキャンセルしている。
Given the rapid spread of the coronavirus in Italy, Elon will suspend its study abroad program in Florence for the semester. Details – https://t.co/k6d447FRCu pic.twitter.com/aXLaLBRMXY
— Elon University (@elonuniversity) February 25, 2020
【訳】イタリアで新型コロナウィルスが急速に拡散している現状を考え、イーロン大学は今期セメスターにおけるフィレンツェへの留学プログラムを停止する。
ニューヨーク州にあるシラキュース大学では、現在、数百人にのぼる学生がイタリアに留学している。しかし少なくとも342名の同大学の学生たちは、イタリアから早期帰国するよう調整しているとCNNが報じている。
Fox News によると、最近、海外留学プログラムをキャンセルしたアメリカの大学には、シラキュース大学、ニューヨーク大学(NYU)、フェアフィールド大学、イーロン大学、スタンフォード大学、南カリフォルニア大学(USC)、ニューヘイブン大学などが含まれている。
https://twitter.com/Twittterpated/status/1232704589603971072
【訳】スタンフォード大学は、本日、海外へ留学中の学生たちへ全員帰国するよう電話した。知人の娘は、「可能なうちに出国しろ」という電話で今日の早朝、叩き起こされた。
現在留学中の学生たちは、その多くが事前の予告もなく留学を途中で切り上げて帰国しなければいけない状況への不満をソーシャルメディア上で発散している。
ワシントン州のゴンザガ大学も、水曜午後、同大学のイタリアでの留学プログラムを停止すると発表している。
今後、感染が広がる国々への留学をキャンセルする大学は増えることが予想されるが、米国内でも初の市中感染が疑われる感染者が発生した。米保健福祉省(HHS)のエイザー長官は、ワインの名産地として有名なカリフォルニア州ソノマ郡にある病院で、感染経路が不明な感染者が見つかったのは「市中感染」が米国でも始まったサインである可能性があることを本日認めている。ソノマ郡が、アメリカにおける爆発的な感染源となる可能性がある。
.@CAPublicHealth says the first possible community transmission of coronavirus in California involved an individual who lives in Solano County in the Bay Area.
— Stephanie K. Baer (@skbaer) February 27, 2020
"The individual had no known exposure to the virus through travel or close contact with a known infected individual." pic.twitter.com/w1I8ibI1OS
【訳】カリフォルニア州公衆衛生局は、カリフォルニア州内で初の市中感染の可能性がある人物がベイエリアのソラノ郡在住の人物であると語った。
「この人物は、渡航歴も感染が確認されている人物との濃厚接触もなく感染経路が不明である」
一方、この感染者を治療した数十人のカリフォルニアの病院スタッフたち(カリフォルニア大学デービス校メディカルセンター)は、今後発症しないか観察下に置かれていると複数のメディアが報じている。当初、この患者が別の病院から搬送されてきた際、病院スタッフたちは新型コロナウィルスの感染を疑いCDCに検査を要請したが、この患者はCDCが規程する検査条件に適合しなかったためCDCは即時に検査を行わなかったと、カリフォルニア大学デービス校は当時の詳細を説明する声明を発表している。当時、サクラメント郡もカリフォルニア州公衆衛生局も新型コロナウィルスの検査を実施しておらずCDCに要請するしか検査の方法がなかったとその声明で記している。
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