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新型コロナウィルスに「HIVのような変異」を科学者らが発見:この変異によりSARSよりも100倍〜1000倍感染力が高まる

新型コロナウィルスに「HIVのような変異」を科学者らが発見:この変異によりSARSよりも100倍〜1000倍感染率が高まる

新型コロナウィルス (Photo via Flickr)

大手メディアが引用する科学者たちは新型コロナウィルスが人工的に作られたものではないと主張しているが、中国と欧州で新たに発表された研究で、このウィルスには「HIVのような変異」が発生していることが明らかとなった。この変異により、SARSウィルスよりもヒトの細胞への感染力が最大1000倍も高まるとサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙が報じた

 

1月末には、インドの科学者たちが新型コロナウィルスにHIVの遺伝子と同じゲノム構造を持つタンパク質が挿入されていると主張する論文を発表し物議を呼んでいた。

 

 

それから約1ヶ月後となる今回、中国天津市にある南開大学の研究チームが新たに行った研究では、新型コロナウィルスには「HIVのような変異」があり、この変異によりヒトの細胞粘膜にあるACE2受容体と結合することで人体に素早く進入することが可能になっていると結論づけている。

 

HIVやエボラを含む他の非常に感染力が高いウィルスは、フューリン(Furin)と呼ばれる酵素を標的にする。この酵素は、人体の中でタンパク質活性化因子として機能する。多くのタンパク質は、生成された時点では不活性もしくは休眠状態であり、その様々ある機能を活性化するためにはある時点で「切断(cut)」されなければいけない。

 

天津市にある南開大学のルアン・ジショウ教授と彼の研究チームが新型コロナウィルスのゲノム配列を調べた際、SARSには存在しない変異した遺伝子の一部分を発見した。しかもその変異した部分はHIVおよびエボラに見られるゲノム配列に類似していたSCMP

 

 

今月Chinaxiv.orgに掲載されたこの論文には、「この発見は2019-nCoV(新型コロナウィルス)が、感染経路の観点からしてSARSコロナウィルスとは大きく異なっていることを示唆している。・・・このウィルスは、HIVのような他のウィルスからのパッキング・メカニズムを利用している可能性がある」と記されている。Chinaxiv.orgは、中国科学院が利用するプラットフォームで、査読前の研究論文が公開されている。

 

この最新の研究論文では、新型コロナウィルスは確かにHIVに固有の特徴がありそのため非常に感染力が強くなっている可能性があるが、それは特異な「変異」が起きているせいであると主張している。つまり、この論文を執筆した中国人科学者チームは、武漢の生物研究所が空気感染するHIVを開発したというような世界をパニックに陥れる結論は導き出していない。ただ単に、「変異」が起きてしまったことが問題の原因であると論じている。

 

これまでに分かっている背景情報として、この新型コロナウィルスは、20年〜70年コウモリの体内に存在していることが知られていた。しかもコウモリの体内では休眠状態で悪さをしない。しかしこのウィルスは別の未確認生物(センザンコウの可能性が指摘されている)を経由して、種を超えてヒトに感染した。そして安全性が最高レベルであるP4の生物科学兵器研究所からわずか280メートルしか離れていない武漢の食肉市場で、それは出現した。

 

さらにこの生物科学兵器研究所では、エボラおよびHIVはコウモリの体内では発病せず休眠状態にあるのはなぜかというテーマを扱っていた。

 

この新たに発表された研究結果によると、今回発見された「変異」は、新型コロナウィルスのスパイクタンパク質に「切断部位(cleavage site)」として知られる構造を生み出すことができ、「同研究によると、SARSの侵入経路と比べて、この結合方法は100倍〜1000倍も効率的である」とSCMPは報じている。

 

 

このウィルスは宿主の細胞に付着するための手足となるスパイクタンパク質を利用する。しかし通常、このタンパク質は不活性である。切断部位(cleavage site)が持つ構造の役割は、ヒトのフューリン(Furin)タンパク質をだまし、スパイクタンパク質を切断し活性化することでウィルスが(ヒトの)細胞粘膜に「直接融合(direct fusion)」することができるようにすることである。SCMP

 

 

ちなみに、中国科学院武漢ウィルス研究所( Wuhan Institute of Virology)のジョウ・ペン博士が最近発表していた研究論文タイトルは、「コウモリを宿主とするSARSのようなコロナウィルスにおけるスパイク糖タンパク質の免疫原性」である。

 

SCMP紙の報道によると、華中科技大学がこの南開大学の研究結果を追跡研究したところ、同じ結果が確認できたという:

 

この変異はSARS、MERS、そしてBat-CoVRaTG13(今回の新型コロナウィルスと96%の遺伝子が類似しその起源であると思われているコウモリを宿主とするコロナウィルス)にも見つけることができなかったと記されている。

 

このことが、「SARS-CoV-2(新型コロナウィルス)が他のコロナウィルスよりも感染力が強い理由」である可能性があるとChinaxiv.orgに日曜掲載された論文の中でリー氏は記している。

 

一方、エクス=マルセイユ大学のフランス人科学者エティエンヌ・デクロリー(Etienne Decroly)氏もまた、2月10日の科学誌『Antiviral Research』に論文を発表し、その中で(新型コロナウィルスには)その他の類似のコロナウィルスには存在しない「フューリン(Furin)のような切断部位(cleavage site)」を発見している。

 

 

この中国とフランスの科学者たちがそれぞれ個別に行った調査で「変異」を発見したというニュースは、先日、WHOが発表した内容を真っ向から否定する。中国入りしていたWHOの専門家チームは、今週月曜、記者会見の中で「新型コロナウィルスのゲノムに大きな変異は起きていない」と発表していた

 

中国人科学者らは、フューリン酵素を標的にする薬が、このウィルスがヒトの体内で増殖することを妨害できる可能性があるという仮説を立てている。リー氏の研究によると、現在、検討されている薬には、「一連のHIV-1感染治療薬であるIndinavir、Tenofovir Alafenamide、Tenofovir Disoproxil、およびDolutegravir、そしてC型肝炎治療薬のBoceprevirやTelaprevir」がある。

 

リー氏らが導き出した結論は、新型コロナウィルスに感染してしまった医師たちが、自身に対して抗HIV治療薬を処方した結果得られた効果とも符号している。しかしこの仮説を証明する臨床試験はまだない。

 

大手メディアの御用学者たちは、WHOが発表した「大きな変異は起きていない」という見解を支持するか、またたとえ新型コロナウィルスに「変異」が起きていることを認めたとしても、それは偶然が重なった自然発生によるものだと主張するのだろう。

 

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