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米連銀がコマーシャルペーパー(CP)の買い取り開始を発表か:リーマン・ショック時の2倍にのぼる12兆ドルの「ドル不足」に対応するため

The Federal Reserve Building

先週木曜、米連銀は5兆ドルという巨額の流動性資金をレポ取引市場に投入すると発表した(実質上の第5弾の量的緩和=QE5)。さらにその翌日、フリーズしかかっている国債市場で6回の緊急的POMO(恒久的公開市場操作を行うとも発表している。金曜に行われた、プライマリー・ディーラーからの370億ドルの国債クーポン購入は、2009年第1四半期以来、1日のPOMOとしては最大

 

しかし2日連続で発表した巨額の金融政策は不発に終わっており、市場心理を改善することにはつながっていない。実際、金曜時点のFRA/OISスプレッド(銀行間取引でのドル供給能力の指標。LIBOR/OISスプレッドのフォワードに相当)は連銀の「バズーカ砲」には反応しておらず、それどころか2008年の金融危機以来の高騰を記録している

 

これほど巨額の金融政策に市場が反応しないのはなぜか?その理由は、世界中でドル不足が深刻化しているためである。前回の金融危機からこのドル不足は解決されるどころか2倍に膨らんでおり、JPモルガンが行った計算によると、世界のドル不足は現時点で12兆ドル(米国GDPの約60%)にのぼる。

 

実際、2008年にリーマン・ブラザーズとAIGが破綻した際、世界の金融市場では巨額のドル建てマージン・コール(追証)が発動され、世界中がドル不足に陥った。国境を超えた銀行間の資金調達メカニズムはフリーズし、米連銀は巨額のドル資金を市場に注入することを余儀なくされた。

 

現在、金融不安が再燃している中、米連銀はさらなる市場介入策としてコマーシャル・ペーパー(CP)を直接ディーラーから買い取る計画を、早ければ本日(現地時間の日曜夜)に発表する予定であるとバンク・オブ・アメリカのアナリストたちが報告書に記している。コマーシャル・ペーパー(CP)は、企業が短期融資を借り入れるために利用する資金調達方法。

 

連銀によるこの『CP 資金供給ファシリティー(Commercial Paper Funding Facility=CPFF)』は、2008年の金融危機の際にも連銀が起債者から直接CPを買い取る手段として活用された。

 

バンク・オブ・アメリカのアナリストたちは、その報告書の中で次のように記している:

 

我々は、迫りくることが予想される巨額の資金流出(マネー・マーケット・ファンド=MMFからの流出)が発生し、(企業が)資金を調達するために(CPを)起債する必要が生じるという前提で、連銀がこうしたファシリティーを日曜夜に発表することは必須であると考えている。もし連銀の判断が遅すぎとなる場合、(MMFからの)流出圧力は上昇し、(MMFへの)大規模な取り付けリスクが高まるだろう。

 

ロイター通信社の問い合わせに対して、連銀は報道時点でコメントしていない。

 

【追加情報】

https://twitter.com/BFidr/status/1239303802836135937?s=20

https://twitter.com/BFidr/status/1239304718377259008?s=20

https://twitter.com/BFidr/status/1239313194436513792?s=20

https://twitter.com/BFidr/status/1239384131257204742?s=20

https://twitter.com/BFidr/status/1239459687948529665?s=20

https://twitter.com/BFidr/status/1239304125432676353?s=20

 

ニューヨークより一足早く週末が明けたヨーロッパ市場は、軒並み大幅下落となっている。「連銀の金融政策が失敗したため、欧州株は再び下落」とブルームバーグ通信社は報じている。

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