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インターネット広告予算を大幅削減するとIAC会長が発言:FANG株にとって大打撃となるのは必至

インターネット広告予算を大幅削減するとIAC会長が発言:FANG株にとって大打撃となるのは必至

IACのディラー会長(Screenshot via CNBC)

通称FANGと呼ばれるアメリカの大手IT企業の株価を足した合計が、2月につけた過去最高値を更新した。(FANGは、Facebook、Amazon、Netflix、Googleの頭文字。後にAppleが追加されFAANGとも呼ばれるようになった。)

*個別の株価(下のグラフ)を見ると、NetflixとAmazonの株価が暴落前の最高値を大きく更新しFANGの株価を牽引しているのがわかる。一方、FacebookとGoogleの株価は暴落前の高値までは戻していない。

特にFacebookとGoogleの主要ビジネスは広告プラットフォームである。広告収入が稼ぎ頭であり、ビジネスの成長の柱である。もしこの稼ぎ頭である広告収入の成長率が減速、あるいは大幅減少することになれば、FANGの売り上げ、ひいてはその企業価値が直撃を受けることになる。

そしてメディア・インターネット企業であるIAC、その会長であるバリー・ディラー氏は、傘下に持つオンライン旅行予約サイト大手のExpedia Groupが今年のオンライン広告予算を大幅に削減すると語った。

ディラー会長はCNBCに出演し次のように語った:

例えばExpediaでは、年間50億ドルを広告に費やしている。今年、我々は10億ドルも費やすことにはならないだろう。・・・全社的に予算の削減が行われる。

このように語り、あらゆる広告予算が今年第2四半期に大幅削減されると語った。しかし不思議なのは、Expedia、Hotels.com、Trivago、Orbitzといった多くの旅行予約サイトを保有するExpedia Groupの株価が年初来50%近く下落しているにもかかわらず、Expedia Groupがオンライン広告を出稿する広告プラットフォーム企業がその影響をあまり受けていないことだ。

ディラー会長はCNBCの番組の中で、コロナウイルス・クライシスの下での経済状況が「大変動を起こす」と言い、「こんなことは今まで起きたことがない・・・これと比べられるようなことは何一つない。我々は把握しているいくつかのことはあるが、実際は何もわかっていない」と語った。

【訳】「こんなことは今まで起きたことがない」とIACのバリー・ディラー会長は語り、この「コロナウイルス・クライシスの下で彼は「大変動を起こす」経済状況を目にしていると語った。

さらにディラー会長は次のようにも語っている。

【訳】「我々はあまりに恐怖にさいなまれている。我々はこれを乗り越えなければいけない。さもなければ、何もかもが変容してしまうだろう」。

【訳】バリー・ディラー氏は、9・11直後にExpediaを買収した。彼は今の状況が(当時よりも)ずっと悪いと言う:「当時、私は、人がいれば旅行をすると語っていた。今でもそう信じているが、しかし今回は当時起きたのとは異なる事態となっている・・・9月、10月、11月まで元のような生活が本当に戻ってくるとは思わない」。

そして最後に、ディラー氏は次のように語った:

【訳】今の株式市場で適正価格はどういったものか?(という質問に対して)「一体どうすれば私にそれがわかると言うんだ?そんなことなど誰にもわからない」。

大手オンライン広告プラットフォームを含むFANG株が大きく株価を戻している一方で、そこに予算を費やす広告主たちはこの先数ヶ月にわたって広告予算を大幅に削減する計画である。特に旅行業界の企業にとって、世界中の人々に自宅待機命令が出されている中、広告費用をかける理由はほとんどない。

CNBCは、Expedia Groupやその同業者であるBooking Holdingsがこれまで多額の広告予算をGoogleに投じてきたと報じている。多くの旅行者たちが、「ロンドン行きのフライト」や「サンフランシスコのホテル」というようなキーワードで検索するためだ。しかし今年2月に行われた昨年第4四半期の収益報告会で、ディラー会長は、ExpediaがGoogleにとって最大の広告主の一社であることに言及し、さらにExpediaは「GoogleおよびMetasearchへの依存」から脱却するつもりであると語った。同社は、顧客たちとより直接的な関係を構築する予定だという。昨年11月、Expediaの株価が年初来の最安値をつけた際、同社はGoogleが検索アルゴリズムを変更したため、検索結果におけるExpediaの順位が下がり、そのため有料広告への依存度が高まる結果を招いたと語っていた。

MediaRadarが3月に発表したレポートの中で、旅行業界における広告支出が減少していることを、「車が事故になりそうなのを察知してブレーキを踏んでいるような状態」と表現している。

Ezoicによると、ここ数週間のあいだにCPMが急落している(以下のグラフ)。

インタラクティブ・アドバタイジング・ビューロー(Interactive Advertising Bureau=IAB)は、先月、アメリカ国内における広告支出に関係している400人近くの広告プランナー、バイヤー、そして企業ブランド関係者にサーベイ調査を実施している。その調査結果によると、回答者のうちの74%が、2008年〜2009年に起きた金融危機よりもコロナウイルスのほうが米国内における広告支出に多大な影響を与えるだろうと確信していると回答した。そして回答者の4分の1近くが、(残る)第1四半期および第2四半期における広告予算を全額凍結したと語った。

このニュースは、遅かれ早かれFacebookとGoogleの株主も気が付くことになり、これら企業の株価に反映されることになるだろう。

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