大手製薬会社は医学研究論文に「犯罪的な」圧力をかけている|医学雑誌『ランセット』と『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の編集長らが非公式会合で発言
世界で最も権威ある総合医学雑誌と言われる『ランセット(The Lancet)』と『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(The New England Journal of Medicine:NEJM)』の各編集長が、巨大製薬会社が医学論文にもたらしている影響力が「犯罪行為(criminal)」と嘆いていたことが暴露された。
フランスの元厚生・社会保護大臣であり、2017年には世界保健機関(WHO)事務局長候補にもなったフィリップ・ドスト=ブラジ(Philippe Douste-Blazy)氏が出演したテレビで両編集長の会話内容を暴露した。ドスト=ブラジ氏によると、2020年、英国のシンクタンクである英国王立国際問題研究所(通称「チャタムハウス」)で両編集長は非公開ディスカッションを行い、その際、彼らの雑誌に掲載した巨大製薬企業に有利な複数の論文に虚偽データがあったとして、これら論文を撤回したことがあると語ったという。
この非公式ディスカッションで、雑誌『ランセット』のリチャード・ホートン編集長は次のように語ったという:
もしこのようなことが続けば、我々は今後これ以上、臨床研究データを掲載することができなくなる。なぜなら、今日、製薬企業があまりに金銭的に強力な権力を握っているため、様々な手法を駆使して見た目は明らかに整然と完璧な論文に仕上げることができるため、我々は受け入れざるを得ないからだ。しかし現実には、彼らは自分たちが好きなように結論を導くことができる。
フランスの元厚生・社会保護大臣ドスト=ブラジ氏によると、巨大製薬会社が医学論文に対して駆使する影響力について、両編集長は「犯罪行為にあたる(criminal)」とまで語ったという。
ドスト=ブラジ氏が出演したこのテレビ番組の動画は、ユーチューブに掲載され、それがツイッターに投稿されている(以下)。
Leaked meeting between editors-in-chief of Lancet & NEJM show pressures from big pharma…described as "criminal."
Of course, shortly after the meeting, papers by both NEJM & Lancet with outcomes favorable to big pharma were retracted for fraudulent data.https://t.co/BKMjOgGTdK
— James Todaro, MD (@JamesTodaroMD) June 9, 2020
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ジェームス・トダロ医師:
『ランセット』と『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』の両編集長の間で行われた会合がリークされた。その内容によると、巨大企業から圧力があること・・・(それは)「犯罪行為にあたる(criminal)」と説明されている。
当然、この会合の直後、巨大製薬企業にとって有利な結果となっている複数の論文が、虚偽データを理由に撤回されている。
クリス・ヘルド医師:
巨大製薬企業に有益な結果を導くために科学データを意図的に操作するという知的不誠実さが行われる一方で、患者は損害を被る。我々医師は、電子カルテを「有意義に活用」し、データ・ハーベスティングを行うことについての潜在的な違法性について警告し続けてきてきた。『メリットベースのインセンティブ決済システム(MIPS)』や『メディケア・アクセス及び CHIP 改正法(MACRA)』で要求されているように。