「ロシアゲート疑惑」が仕組まれたものであったこを示す新たな証拠eメールが明るみに|電撃解任されたバーマン・ニューヨーク州連邦検事正は2018年にバイデン父子のウクライナ汚職疑惑の情報を受け取っていたにもかかわらず、捜査に着手していなかった
最近解任されたジェフリー・バーマン連邦検事が、2018年にジョー・バイデンと彼の家族に関するウクライナ疑惑について追跡捜査を行っていたとしたら、(ロシアゲート疑惑の)弾劾裁判スキャンダルは回避できていただろうか?
これは、2018年秋に、アメリカ人弁護士とマンハッタンの連邦検事正(バーマン連邦検事)の間でやり取りされた複数のeメールから提起される興味深い疑問である。Just the Newsがこのeメールを入手した。
このeメールのメモでは、ウクライナの検察官たちが、2018年10月にとあるアメリカ人弁護士を通してニューヨークにあるバーマンの連邦検察局に最初にアプローチしていたことが示されている。その目的はバイデン親子や、2016年の大統領選挙に(ウクライナやロシアが)介入したとされる疑惑について議論するためであった。これは、2019年にウクライナの検察官たちがトランプ大統領の個人弁護士であるルーディ・ジュリアーニに連絡をとるよりもかなり前のことである。
このメモは、アーカンソー州リトルロックのバド・カミンス弁護士(彼自身も元検察官)が、当時のウクライナ検事総長のユリー・ルトセンコとの会談を設定するために、2018年10月に少なくとも5回にわたってバーマン連邦検事正に連絡をとっていたことを示している。
(トランプの)弾劾裁判スキャンダルにおいて鍵となる人物となっているルトセンコ氏は、ニューヨークにおける連邦検察官らと内々に証拠を共有することを希望していた。彼が持っていると語っていた証拠は、バイデン親子の不正行為の疑惑や、(トランプ大統領の選対本部長であった)ポール・マナフォートの腐敗捜査において違法行為があったことを示しているとされている。
「ユリー・ルトセンコ検事総長は、ウクライナ国内で行われた捜査の成果物を、アメリカの法執行機関の上層部と共有するために渡米することを提案している。ウクライナ国内の捜査の結果、基本的に2件の犯罪容疑に対する証拠が得られている」と、2018年10月4日、カミンス弁護士はバーマン(連邦検事正)に対して記している。これは、この2人がこの犯罪容疑について電話で会話した翌日のことである。
この犯罪容疑には、ジョー・バイデンの息子ハンターとそのビジネス・パートナーであるデボン・アーチャーがウクライナのガス会社(ブリズマ社)の取締役会に就任し、「彼らに多額の資金が支払われた」後、ジョー・バイデンが「ブリズマ・ホールディングスを守るために影響力を行使した」ことが含まれているとカミンス弁護士は記している。
2014年にハンター・バイデンとデボン・アーチャーがブリズマ社(の取締役会)に就任した当時、同社はイギリスとウクライナの両国でそれぞれ汚職疑惑の犯罪捜査対象となっていた。英国における捜査は2015年に却下され、ウクライナでの捜査案件は、オバマ政権の末期の数日間になってようやく決着している。
ジョー・バイデンは、2018年に公の場に登場した際、ルトセンコ検事総長の前任者であるビクター・ショーキン氏を自らが解任させたと自慢している動画が撮影されている(以下の動画)。当時、ショーキンはブリズマ社に対する捜査を主導していた。バイデンは、この捜査がショーキンを解任させることにした自身の判断に影響を与えたことを否定している。
ハンター・バイデンとデボン・アーチャーが設立した企業は、2014年〜2016年の間にブリズマ社から300万ドル以上を受け取っている。FBIが入手した銀行記録からこれが判明している。
国務省が最近公表した記録もまた、ハンター・バイデンとデボン・アーチャーが、2015年と2016年にジョン・ケリー国務省長官やトニー・ブリンケン国務副長官を含む国務省当局者と連絡を取っていたことを示している。
さらに、情報公開法に基づき国務省が開示したメモの中で、ブリズマ社の米国における代理人たちは、汚職疑惑を揉み消すために、ワシントンDCの国務省やキエフにある米国大使館に対してロビイ活動を行なっていたことが示されている。
「ルトセンコ検事総長たちが掲げた容疑は、駐ウクライナのマリー・L・ヨバノビッチ米国大使、ジョー・バイデン、およびジョン・ケリーが、(ウクライナにある米国大使館という)地方政府において、誰が正義で誰が不正義かを勝手に結論づけたというものである。ルトセンコ検事総長たちは、ハンター・バイデンとデボン・アーチャーが(ブリズマ社から)支払いを受け取っていたために、バイデンとケリーが特定の意思決定――特にブリズマ社に利するもの――に影響力を行使したと確信している」と、カミンス弁護士はウクライナの検察当局者からの申し立てを伝達する中で記している。
これだけでなく、ロシアの支援を受けたウクライナの政党から(トランプの対戦本部長)マナフォートに対して複数の支払いが行われたことを示しているとされる帳簿が2016年にウクライナで発見されていたが、実はこの帳簿が改竄されていたという証拠をルトセンコ検事総長が持っていることもカミンス弁護士はバーマン連邦検事正に伝えていた。また、カミンス弁護士は、米国側がこの帳簿が改竄されたものであることを知っていたともバーマン連邦検事正に伝えていた。この帳簿が「発見」されたことで、マナフォートはトランプの対戦本部長を2016年8月に辞任しており、さらに最終的に彼はこの帳簿がきっかけとなり資金洗浄と脱税の罪で有罪判決を受けている。
「上記の2つ目の申し立ては、(ウクライナにある)米国大使館とFBIが、2016年の(大統領)選挙結果に影響を及ぼすために、強引にウクライナ政府当局者に圧力をかけ、マナフォートについての証拠を偽造しそれをメディアにリークさせたというものである」とカミンス弁護士はバーマン連邦検事正に記している。
インタビューの中で、カミンス弁護士は、彼がウクライナ案件についてバーマン連邦検事正と2018年10月、電話で1回、そして4通のeメールで連絡を取ったと語った。しかし、バーマンの連邦検察局は、ルトセンコ検事総長によるワシントンDCを訪問し証拠を提示するという提案を受け入れなかった。
「彼らから2度と返事はなかった。司法省がこれら懸念事項について非公式に対処する絶好の機会だったが。もしニューヨーク州南部地区連邦検察が、ただ単純に追跡捜査を行なっていたら、歴史はどのようになっていただろうか?」とカミンス弁護士はバーマンの連邦検察局について語った。
しかしバーマンは逆の行動を取った。元ニューヨーク市市長でトランプの個人弁護士であるジュリアーニが、ウクライナの検察官たちが抱き続けてきた疑惑について公表すると、バーマン連邦検事正はジュリアーニの2人のスタッフを選挙資金と他の容疑で起訴した。
今週月曜、ニューヨーク連邦検察局の広報官であるジェームス・マーゴリン氏に対して、カミンス弁護士が2018年に連絡していた「(汚職容疑の)事前情報」についてコメントを求めたが、同広報官は返答することを拒否した。
カミンス弁護士は、ルトセンコ検事総長が自分のクライアントではなく、彼の代理人弁護士としてニューヨークの連邦検察局に連絡をとったわけではないと語っている。むしろ、ウクライナ系アメリカ国民として、(ウクライナの)検事総長が情報を米国当局者の手に渡すことを支援しようとしただけであると語っている。
カミンス弁護士のeメールには、なぜルトセンコ検事総長がバーマン連邦検事正に会いたがっていたかを記している。その理由は、(バーマンの)ニューヨーク連邦検察局が、2018年初旬、複数の別の容疑で同連邦検察局がデボン・アーチャーを起訴し有罪に持ち込んでいたためである。しかしアーチャーに対する有罪判決は裁判官によって覆され、バーマンの連邦検察局は本件を再起訴することはなかった。
カミンス弁護士がルトセンコ検事総長とバーマン連邦検事正の間の面談を設定しようとしていたことは、ルトセンコ検事総長の部下である副検事総長の1人、コンスタンティン・クリックが認めている。クリックは、昨年、ウクライナ政府当局者たちが繰り返し、アメリカ人による違法行為の可能性を示す証拠を米国司法省に提供しようとしたが、その試みは全て妨害されたと語っている。
昨年行われたインタビューの中で、ルトセンコ氏は、米国の司法省の人間に話を聞いてもらおうとするカミンス弁護士の努力が失敗した際、ルトセンコ氏は彼が抱いている容疑を捜査してもらうために異なるチャンネルを模索してジュリアーニ弁護士に連絡を取ったと語っている。
(トランプ大統領に関する)弾劾尋問に拍車をかけたのは、まさにあの(カミンス弁護士が連絡を取っていた)コンタクト先の人間たちだった。この弾劾尋問は、結局、今年1月、上院議会がトランプ大統領に無罪判決を下して結審した。
民主党は、ジュリアーニ弁護士による調査活動が、2020年大統領選挙におけるトランプのライバル候補に対するスキャンダルを暴き出し、ウクライナ政府当局者たちにバイデンを捜査させようとする行為であるかのように描こうと試みている。
しかし、カミンス弁護士のeメールは、ウクライナ政府当局者たちが、バイデン親子がウクライナの法律に違反した容疑で捜査することには興味を持っていなかったことをはっきり示している。むしろ、彼らは(バイデン親子が)アメリカの法律に違反している可能性を示す証拠を内々に提供したいと望んでいた。それはアメリカ政府当局が捜査を行えるようにするためであった。さらに、ウクライナ政府当局者たちは、当初、トランプ政権に関わることには興味がなかった。彼らは、ただ単純に、両国の検察当局間で証拠を共有したいと望んでいた。
カミンス弁護士がバーマン連邦検事正に送ったeメールは、ルトセンコ検事総長が本件の証拠資料を提供する相手として、キエフにある米国大使館やFBIを信用していなかったことを明らかにしている。彼らはあまりに政治的な動きをするとルトセンコ検事総長は恐れていた。
「ルトセンコは、ここ(米国)を訪問するためのビザを取得するのに政治的な障害に直面している。キエフにある(米国)大使館は、彼が過去にビザを取得するのを阻止したことがあると考えられている。その理由として、彼が行なっている捜査の性質について(キエフの)米国大使が知っているため、彼が訪米しそれを共有することを阻止しようとしているためであると彼は確信している」とカミンス弁護士は2018年10月4日にバーマン連邦検事正に宛てたeメールに記している。
その5日後、カミンス弁護士は、ルトセンコ検事総長が重大な証拠を提供する準備があると記している。その証拠には、マナフォートの腐敗事件に関する2つの帳簿のコピーが含まれていた。ウクライナの検察官たちは、これら帳簿が捏造された偽物であると確信していた。
「彼(ルトセンコ検事総長)は、本件と、別の贈収賄疑惑について裏付ける目撃者証言について議論する準備をしてくるだろう」とカミンス弁護士は記している。
バーマン連邦検事正が返信をしなくなると、カミンス弁護士はただ単純に証拠を受け渡しするために、(連邦検事正より)下級のとある連邦検察官にルトセンコ検事総長を面会させる提案を行った。
「(ウクライナの)実際の捜査員数名と面会して情報を受け取るためだけに、最低1名の信頼できる検察官と1名の信頼できる捜査官を紹介していただけないだろうか。一般市民が情報を共有するために連邦検察局を訪問する際であれば、いつもそうするように」とカミンス弁護士は2018年10月18日に記している。
このメールを送信してから、一切の返信はなかったとカミンス弁護士は語った。
ウクライナの政府当局者たちは、バイデン親子がウクライナの法律に違反したとは考えていなかったと語った。むしろ、彼らが米国法によって禁止されている利益相反に関与している可能性があると考えていた。バイデン親子が利益相反に関与しているという懸念は、米国政府関係者も抱いていた。
昨年秋、弾劾審理の中で行われた証言で、ヨバノビッチ(米国ウクライナ大使)とキエフにある米国大使館で彼女の部下であったジョージ・ケント米国務次官補代理は、ハンター・バイデンが、自分の父親が(副大統領として)米国における対ウクライナ政策の責任者であった時にブリズマ社で役職に就任していたことは「利益相反のように見える」と証言した。ケント国務次官補代理は、彼が抱いていた懸念をバイデンの副大統領執務室に対して伝えようとしたが、はねつけられたと証言している。
いかなる連邦政府関係者も、利益相反に見えるような行為を避けることが連邦倫理法によって義務付けられている。
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