アメリカ帝国とメディア、その頂点に君臨するシンクタンク「外交問題評議会(CFR)」|スイス・ポリシー・リサーチ(Swiss Policy Research)
スイス・ポリシー・リサーチ(Swiss Policy Research)|2020年11月20日掲載(太字強調は原文のまま)
ジョー・バイデン:外交問題評議会(CFR)への回帰
ジョー・バイデンが大統領になるということは、「平常に戻る」ということを意味する。なぜなら、それは単純に米国の外交問題評議会(CFR)が戻ってくることを意味するからだ。
2008年、バラク・オバマは、選挙に当選する1ヶ月も前に、外交問題評議会(CFR)の上級研究員(そしてシティーグループの銀行家)であるマイケル・フロマンから、将来の(オバマ政権の)全閣僚の名簿を受け取っていた。このことは、後にウィキリークスのeメールが暴露している。その結果当然のように、オバマ政権の主要閣僚のポストは、ほぼ例外なく外交問題評議会(CFR)のメンバーによって占められていた。これは第2時世界大戦以降、ほとんどの政権閣僚についても同じであった。もちろん、オバマの2008年選挙の共和党対抗馬、今は亡きジョン・マケインもまた、外交問題評議会(CFR)のメンバーだった。マイケル・フォルマンは、後にTPPとTTIPという国際貿易協定を交渉し、その後、外交問題評議会(CFR)に特別研究員として戻った。
2017年、外交問題評議会(CFR)にとって悪夢であるドナルド・トランプ大統領は、すぐさまこれら貿易協定を破棄した——その理由は彼がそれらをアメリカ国内産業にとって有害であるとみなしたため——このことはチャイナに独自の国際貿易協定を完了させることを許し、最近、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を発表している。この貿易協定は、14カ国、世界貿易の3分の1を包括している。トランプはまた、他の外交問題評議会(CFR)の実績を破棄している。多国間によるイラン核合意や、国連の気候(変動)および難民・移民に関する合意などだ。そして彼は、大部分は失敗しているが、米軍を東アジア、中央アジア、中東、欧州、そしてアフリカから撤退させようとした。そのため、外交問題評議会(CFR)とその5000人にのぼるエリート・メンバーたちが何十年もかけて築き上げたグローバルな米国帝国を深刻な危機にさらしている。
当然、ほとんどのアメリカのメディアは、その所有者や編集者たち自身が外交問題評議会(CFR)のメンバーである。そして彼らはトランプ大統領のことを好ましく思っていない。これは、欧州のほとんどのメディアについても当てはまることだ。彼らの所有者および編集者たちは、ビルダーバーグ会議のような国際的な外交問題評議会(CFR)の関連組織や、第2時世界大戦中に欧州を征服した後に外交問題評議会(CFR)の理事たちにより設立された三極委員会(デービッド・ロックフェラーが中心となり、日米欧の緊密な連携を目的として1973年に創設した民間の委員会[参考])のメンバーである。さらに、CIAとメディアの協力関係をより緊密なものにすることを1996年に提唱したのは、他ならぬ外交問題評議会(CFR)であった。これは、有名なCIAの「モッキンバード作戦」である。歴史的に、ウィリアム・ドノバンとアレン・ダレス以来のOSS(戦略諜報局)とCIAの長官たちは、常に外交問題評議会(CFR)のメンバーである。
ジョー・バイデンは、米国史上、「最も多様性のある閣僚」を組織すると約束した。これは、肌の色とジェンダーという点においては真実かもしれないが、彼の将来の重要閣僚メンバーのほぼ全員が、一つの共通点を持っている:彼らは実際に外交問題評議会(CFR)のメンバーだ。
これが当てはまっているのは、アンソニー・ビルケン(国務省)、アレハンドロ・マヨルカス(国土安全保障省)、ジャネット・イェレン(財務省)、ミシェル・フラワーノイおよびジェ・ジョンソン(国防総省の候補)、リンダ・トーマス=グリーンフィールド(国連大使)、リチャード・ステンゲル(米グローバル・メディア庁——ステンゲルは、2018年の外交問題評議会のセッションで、プロパガンダは「良いことだ」と発言したことは有名である)、ジョン・ケリー(気候担当特使)、ネルソン・カニンハム(通商担当候補)、そしてトーマス・ドニロン(CIA長官候補)である。
バイデンの国家安全保障担当補佐官(に指名されている)ジェイク・サリバンは、まだCFRのメンバーではないが、サリバンはカーネギー国際平和基金(「米国による活発な国際関与を促進している」シンクタンク)の上級研究員であり、米国ジャーマン・マーシャル財団の「民主主義保護のための同盟(“Alliance For Securing Democracy” )」のメンバーである。(「民主主義保護のための同盟」は、トランプ大統領の足を引っ張った「ロシアゲート疑惑」であるデマ情報キャンペーンを大々的に煽ったところである。)カーネギー国際平和基金も米国ジャーマン・マーシャル財団もともに、CFRの上級メンバーによって運営されている。
バイデンの「CFR検査」をパスした指名候補者たちのほとんどは、アフガニスタン、イラク、リビア、シリア、そしてイェメンに対する最近の米国の戦争と、ウクライナの2014年の政権交代を支持していた。当然、ネオコンのマックス・ブート(CFRの国家安全保障研究における上級研究員であり、トランプ政権に対して最も声をあげて対立していた人物の1人)は、バイデンの将来の閣僚たちを「アメリカのAチーム(精鋭部隊)」と呼んでいる。
つまり、4年間にわたる「ポピュリズム」と「孤立主義」の後、バイデン大統領の時代は、外交問題評議会(CFR)へ回帰し、70年以上続く伝統を継続することを意味する。実際、CFRは、ウォーレン・ハーディング米国大統領と米国上院議会が孤立主義に転じ、第1時世界大戦後に米国のグローバル・リーダーシップを放棄した「1920年のトラウマ」に反応して1921年に設立された。2016年、ドナルド・トランプの「アメリカ第一主義」キャンペーンは、この100歳になる外交政策のトラウマを復活させた。
2020年大統領選挙は、一部が主張している通り、「盗まれた」のだろうか?主要な民主党が運営するスウィング・ステート(接戦州)で、重大な統計的異常の印があるのは確かだ。これらが選挙結果(の反転)を狙った意図されたものであったかについては、裁判所が決めることになるのかもしれない。いずれにしても、ジョー・バイデンは、大統領に就任する前から、すでに国際的な汚職に関与していることが知られている最初の米国大統領になるのかもしれない。
なぜ、米国および国際的なメディアのほとんどが、このことについてほとんど興味を示さないのか?いや逆に、彼らが興味を持つべき理由などないのだ。
外交問題評議会(CFR):アメリカ合衆国の帝国会議
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