巨大テック企業の言論検閲がついに連邦最高裁判事にまでおよぶ——アマゾンは保守系クラレンス・トーマス判事のドキュメンタリー映画を配信停止
米国のアマゾンは、今月、クラレンス・トーマス連邦最高裁判事に関するドキュメンタリー映画を突然配信停止にした。保守系ニュースサイトのザ・フェデラリストやブライトバート・ニュースなど複数メディアが報じた。
トーマス判事は、保守系であるだけでなく、唯一アフリカ系の連邦最高裁判事。2月22日に、連邦最高裁が2020年選挙に関する訴訟ケースで裁量上訴を棄却した際、トーマス判事はこの連邦最高裁としての判断に「反対意見」を表明し、トランプ支持者たちの間から称賛の声が多く上がっていた。
連邦最高裁に残された最後の良心の一人ともいえるトーマス判事であるが、彼に関するドキュメンタリー映画“Created Equal: Clarence Thomas in His Own Words”(訳:平等に創られた:自身の言葉で語るクラレンス・トーマス)が2020年、全米で公開されていた。アマゾン・プライムでもこのドキュメンタリー映画を配信していたが、毎年恒例の「黒人歴史月間」である今年2月に、「あなたの地域でこの動画を視聴することはできません」と表示され、突然全米での配信が停止されている。
(Screenshot via Amazon.com)
アマゾンでは同映画のDVDも販売しているが、現在は在庫切れと表示されている。
ブライトバートニュースによると、リベラル系の公共テレビ放送であるPBSがこの映画を昨年4月に全米放送し、映画の評判サイトであるRotten Tomatoesではユーザたちから99%の支持を得ていた。
現在、米国アマゾンのサイトでこの映画のタイトルを検索しても表示されない。DuckDuckGo.comやpresearch.orgなどの独立系検索エンジンで調べると、アマゾン・プライムに残っているこの映画の配信ページが表示される。
ザ・フェデラリストがアマゾンに問い合わせたが、なぜこの映画の配信を停止したかの理由について、記事の掲載までに回答が得られなかったと報じている。
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昨年の大統領選期間中から、トランプ大統領(当時)は、民間企業のツイッターやフェースブックから度重なる言論検閲を受けていた。そして1月6日の議事堂襲撃事件を理由に、ツイッターやフェースブックなどの大手テック企業は、トランプ大統領のアカウントを無期限凍結にした。ツイッターのCFOに至っては、たとえトランプ前大統領が再選しても2度とツイッターを利用させないとテレビで公言している。
そして今回、巨大テック企業による言論検閲は、大統領のみならずついに連邦最高裁判事にまで及んでいると報じられ、巨大テック企業の傍若無人ぶりはとどまることを知らない。
FOXニュースでも、アマゾンがクラレンス・トーマス判事のドキュメンタリー映画を配信停止したことについてコメンテーターたちが取り上げ懸念を表明している:
そして全米で着々と進む巨大テック企業による言論統制は、左派リベラルの間でも懸念が徐々に広がっている。左翼ジャーナリストのジョーダン・シャリトン記者が、保守の言論検閲を呼び掛けた自身のツイートを後悔していることはここでも紹介した。クリントン政権でアドバイザーを務めたナオミ・ウルフ氏は、先週FOXニュースに出演し、バイデン政権下でアメリカが全体主義国家になりつつあると語り、手遅れになる前に反撃をと、民主・共和関係なく国民全体に訴えた。
そして有名政治コメンテーターで、歯に絹着せない発言で人気のコメディアンでもあるビル・マー氏が、自身の冠トークショー番組で、キャンセルカルチャー(言論統制やポリコレ)の波がリベラルにも向かっていると警鐘を鳴らしている。ビル・マー氏は、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンを推していたことで有名な左派リベラルを代表する言論人。
ついに左翼のビル・マー氏が、キャンセルカルチャーが自分たちにも向かっていると警鐘を鳴らしたと、FOXニュースのコメンテーターたちが取り上げている:
巨大テック企業とバイデン政権がタッグを組んで進める言論統制とキャンセルカルチャーは、もはやリベラル対保守、民主党対共和党の問題ではなく、支配する側と支配される側の問題となっている。
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