カナダの老人介護施設で新型コロナのアウトブレークが発生——スタッフや入居者は高いワクチン接種率だったにもかかわらず
北米では新型コロナ(武漢ウイルス)の新規感染者数が急速に減少する中、カナダ西海岸にあるブリティッシュ・コロンビア州の老人介護施設で、新たなアウトブレーク(感染者数の急増)が発生したと報じられた。この老人介護施設で勤務するスタッフと入居者たちの多くが、ワクチン接種を受けていた。
カナダ放送協会(CBC)の報道によると、ブリティッシュ・コロンビア(BC)州のインテリア・ヘルスが管轄する地域にあるコットンウッズ・ケア・センターで、新たに新型コロナのアウトブレークが発生したと宣言された。同州政府の公衆衛生担当官は、昨日、このアウトブレークが発生したことを認めていた。
ライブ放送されたニュース・カンファレンスで、同州の公衆衛生官であるボニー・ヘンリー博士は、ワクチン接種を受けてもウイルスの感染が止まるわけではないことを強調した。そして、高齢者がいる施設や介護施設では、決して警戒を怠ってはいけないことも強調した。
ヘンリー博士は、コットンウッズ・ケア・センターで2人のスタッフと10人の入居者が陽性の検査結果が出たと語った。同施設は長期介護施設であり、公的資金によって運営されるベッドが221床ある。ヘンリー博士は、この介護施設で働く全てのスタッフと入居者たちへはワクチンが提供されており、その接種率は非常に高いと語った。今回、感染が判明した人の中には、2度のワクチン接種を終えた人も含まれていた。
ヘンリー博士は次のように語っている:
完全にワクチン接種を終えた人でも、ウイルス感染が起きる可能性がある。病状は軽いように見え、感染はそれほど多くは起きない。(そのため)急速で爆発的なアウトブレークは観察されないだろう。
今回アウトブレークが発生したが、ブリティッシュ・コロンビア州は、コットンウッズのような長期介護施設での訪問者の受け入れ上限を増やすことを許可する予定である。ヘンリー博士は、これに関する新たなガイドラインを、今月末までに発表する予定であると語っている。
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ワクチン接種率が高い人口でも、なぜアウトブレークがいまだに起きることがあるのか?と、世界中で疑問を持つ人たちが増えている。国民の間でのワクチン接種率が極めて高い小国イスラエルもまた、そのような疑問を国民の多くが抱いている国の一つである。そのような小国イスラエルのエルサレム・ポスト紙が、3月9日、「完全にワクチン接種を受けた人の中で、それでもコロナに感染する人がいるのはなぜか?」とタイトルの付けられた記事を掲載し、国民の疑問に答えている。
同記事は、ワクチン接種を受けた人でも、検査結果で陽性と出たり、感染して症状が悪化する場合がある4つの理由を紹介している:
テルアビブ大学シュムニス生体臨床医学およびガン研究スクールのジョナサン・ガーショニ教授によると、ワクチン接種後にCOVID-19を発症する理由はいくつかあるという。
第1の理由は次の通りである。ジョンズ・ホプキンス大学によると、モデルナとファイザーの臨床試験では、ワクチンは95%の防御効果があることが示されているが、それはワクチン接種を受けた20人に1人は防御されず病気になる可能性があることを意味している。
防御効果は、ワクチンを接種した人の総数ではなく、臨床試験で実際に感染した人の数に基づいて計算されている。
また、95%の有効率というのは、ファイザー社の臨床試験で5%の人がコロナウイルスに感染したということではないことにも注意が必要だ。Live Scienceが掲載した論文によると、その割合ははるかに少なく、約0.04%だった。
第2の理由は変異種である。
ファイザーとモデルナのワクチンは、チャイナの武漢で発見され、遺伝的な配列決定が行われたオリジナルのコロナウイルス株に基づいて開発された。発生以来、ウイルスは複製され、何千もの異なる変異体に変化しており、そのうちのいくつかへはワクチンの効果が低い可能性がある。
「イスラエルでは、現在、感染の大部分が英国の変異型によるものであることがわかっている」とガーショニ教授は語った。
これらのワクチンはすでに英国の変異型に対して高い効果があることが証明されているが、南アフリカの変異型に対してはそれほど効果的ではないとガーショニ教授は語っている。さらに、同教授は、ワクチンによりいっそうの耐性を持つ他の変異型が存在する可能性があるとも付け加えている。
第3の理由は、免疫が「数字のゲーム」であることだ、とガーショニ教授は説明している。
この感染病——あるいはそれに対するワクチン——は、私たちの体に新型コロナウイルスに対する抗体を作らせる。しかし、ある人が非常に高いウイルス量を持っており、その勢いあるウイルス量を発散してしまうと、その大量のウイルスが既存の防御を突破して、その人を感染させてしまう可能性がある。しかしこの場合、症状は軽症化する可能性が高い。
最後の第4の理由は、人はそれぞれ個性的であり、分子レベルで独自の免疫学的構造を持っているということだ。
「感染症に対して非常に頑丈で耐えられる人がいる一方で、他の人の中には感染症にやや敏感に反応する人がいることを私たちは知っている。イスラエルで500万人の人々にワクチン接種を行うということは、その中には様々なレベルの免疫力を持つあらゆる種類の人々がいるということだ」とガーショニ教授は語っている。
しかし、この「画期的な感染症」に関して議論する場合、2回目のワクチン接種を受ける前、あるいは1回目の接種を受ける前に、このウイルスに感染してしまうこともあると、ガーショニ教授は注意を促している。
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