イベルメクチンの二重盲検臨床試験は、新型コロナの感染期間と感染力の両方を減少させることを示す——エルサレム・ポスト紙
イスラエルで行われた二重盲検臨床試験の結果、大村智博士が発明し、1981年から広く利用されている抗寄生虫薬のイベルメクチンは、新型コロナに感染した患者の感染期間と感染力の両方を減少させることが示された。エルサレム・ポスト紙が8月2日(月曜)に報じた。
同研究は、イスラエル・テルハショマーにある「シェバ医療センター」の旅行医学・熱帯病センター創設者であるイーライ・シュワルツ教授が行った。コロナウイルスに陽性反応が出た18歳以上の基準を満たしたボランティアで、国営の新型コロナ(COVID-19)感染者用ホテルに滞在している89人を対象とた。彼らは2つのグループに分けられた後、半数はイベルメクチンを、残りの半数はプラセボ(偽薬)を投与された。それぞれの患者へ、食事の1時間前に3日間連続して薬が投与された。
今回の試験の参加者の83%が、試験採用時に症状があった。13.5%の患者が、心血管疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患、高血圧、がんなどの併存疾患を持っていた。患者の年齢の中央値は35歳で、年齢の範囲は20歳〜71歳だった。
▼ 結果
治療は3日目に停止され、その後2日ごとに患者を観察した。6日目には、イベルメクチンを投与された患者の72%がウイルスを陰性化したのに対し、プラセボを投与された患者で陰性化したのは50%だった。一方、6日後に他人に感染させることができたのは、イベルメクチン投与群ではわずか13%だったのに対し、プラセボ投与群では50%と、約4倍の差があった。
▼ 入院
プラセボ投与群では3名の患者が呼吸器系の症状で入院したが、イベルメクチン投与群では1名の患者が試験開始日に息切れのため入院した。しかしその1日後には退院し、「良好な状態でホテルに送り返された」と同論文は記している。
シュワルツ教授は次のように語っている:
今回の我々の研究では、何よりもまず、イベルメクチンに抗ウイルス作用があることが示されました。また、4~6日でほぼ100%の確率で非感染性になることも示されており、これらの人々の隔離期間を短縮することにつながるでしょう。これは、経済的にも社会的にも大きな影響を与える可能性があります。
この研究は、MedRxivのプレプリント(査読前の原稿)サーバーに掲載されたもので、まだ査読は行われていない。とはいえ、シュワルツ教授は、同様の研究(ただし全ての研究が彼の研究と同じ二重盲検法とプラセボ法の基準で行われたわけではない)でも、この薬剤の良好な結果が示されていると指摘している。(本サイトでも、今年6月、イベルメクチンが新型コロナの死亡者数を最大75%減少させたことを示す新論文を紹介した。)
イベルメクチンは、マラリア、疥癬(かいせん)、シラミなどの寄生虫感染症の治療薬として世界中で広く使用されており、驚くほど安価である。バングラデシュでは、イベルメクチンのコストは5日間の治療で約60円〜200円であるとエルサレム・ポスト紙は伝えている。イスラエルでは、1日あたりのコストは最大10ドル(約1100円)。
シュワルツ教授の研究では、すでに陽性と判定された人にはイベルメクチンの有効性が認められたものの、COVID-19に感染するのを防ぐことにも効果がある予防薬であるか、また入院の可能性を減らすことにも効果があるかは明らかにされていない。
エルサレム・ポスト紙は他の研究結果について次のように紹介している:
例えば、「Front Line COVID-19 Critical Care Allianceによるレビューで、COVID-19感染症の予防と治療に対するイベルメクチンの効果に関する27の研究から得られた知見がまとめられており、イベルメクチンはCOVID-19に対して『治療効果の強いシグナルを示す』と結論づけられている」と、今年初めにAmerican Journal of Therapeutics誌に掲載された研究は指摘している。
「最近の別のレビューでは、イベルメクチンが死亡者数を75%減少させたことが明らかになった」とも同研究は記している。
しかし、新型コロナ治療薬としてのイベルメクチンは、世界保健機関(WHO)、米食品医薬品局(FDA)、そして製薬会社が大きく反対していると同紙は伝えている:
「FDAはイベルメクチンをヒトにおけるCOVID-19の治療または予防に使用することを承認していない」としている。
「イベルメクチンの錠剤は、いくつかの寄生虫に対して非常に特定の用量で承認されており、アタマジラミや酒さ(ロゼーシア)のような皮膚疾患のための局所(皮膚)製剤がある。イベルメクチンは抗ウイルス剤(ウイルスを治療する薬)ではない。この薬を大量に服用することは危険であり、深刻な被害をもたらす可能性がある」とFDAは発表している。
イベルメクチンに関しては、ビッグテック企業がバイデン政権と協力して、この薬について議論するだけで検閲したり、利用停止にしている。
さらに、1980年代にイベルメクチンを製造していたメルク社もまた、新型コロナの治療にイベルメクチンを使用することに真っ向から反対している。今年2月、メルク社のホームページにはこう書かれていた:
当社の科学者は、COVID-19の治療にイベルメクチンを使用した場合の有効性と安全性の証拠を得るために、入手可能なすべての研究と新たな研究の結果を慎重に検討し続けています。重要なことは、現在までのところ、当社の分析では前臨床試験からCOVID-19に対する治療効果の可能性を示す科学的根拠は得られておらず、COVID-19感染症の患者における臨床活性または臨床効果を示す意味のある証拠はなく、大半の試験で安全性データが不足していることが懸念されています。
エルサレム・ポスト紙は、メルク社がイベルメクチンに関する独自の研究を1件も行っていないことを指摘している:
「メルク社は、イベルメクチンがコロナの患者に役立つかもしれないと聞けば喜んで研究しようとすると皆さんは思うでしょうが、彼らは最も声高にこの薬を使うべきではないと宣言しているのです・・・10億人がそれを服用した。彼らがこの薬を10億人に与えた。(それなのに)本当に残念なことだ」とシュワルツ教授は語っている。
(太字強調はBonaFidr)
シュワルツ教授の研究チームは、次のように論文を締めくくっている:
新薬の開発には何年もかかる。したがって、COVID-19に対して(本来の用途とは違うが)再利用でき、数十年にわたって使用されてきたためすでに安全性が確立されている既存の医薬品を特定することは、SARS-CoV-2のパンデミックを抑え、さらには終息させるために重要な役割を果たす可能性がある。
世界の人口の多く、特に低・中所得者層がワクチンを接種するのには、数ヶ月、場合によっては数年かかる可能性があるため、本来の用途とは違うが再利用可能な医薬品を使用することは特に重要になってくるのかもしれない。
BonaFidrをフォロー