チャイナ版「リーマン・ブラザーズ」の恒大集団、「デフォルトの可能性高い」=フィッチ——2009年のIPO価格を下回った同社を3段階格下げ
数ヶ月前から債務超過の危機に瀕していたチャイナの不動産開発最大手、恒大集団に対して、9月7日(火曜)、格付け会社のフィッチが3段階の格下げを行い、同社とその子会社2社の外貨建て長期発行体デフォルト格付を「CCCプラス」から「CC」に引き下げたと発表した。
フィッチは「CC」の格付を次のように定義付けしている:
CC: 非常に高い水準の信用リスク
一定のデフォルトが起こる蓋然性が高い。
「CC」格付と「D(債務不履行)」格付の間には、まだあと1段階「C」格付(「デフォルトが近い状態」)が残されている。
フィッチは恒大集団の3段階格下げを行ったこの日、次のように声明を発表している:
格下げは何らかのデフォルト(債務不履行)の可能性が高いという当社の見方を反映している。流動性の逼迫、販売契約数の減少、サプライヤーおよび請負業者への支払いの遅れを解消する必要性、資産処分の進展の少なさを踏まえると信用リスクは高いと考える。
フィッチによる格下げ発表の前日、ムーディーズ・インベスターズ・サービスも恒大集団の信用格付を「Ca」へと3段階の格下げを行なっている。「Ca」格付は、「デフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高い、または非常に近い」ことを意味している。恒大集団に対して6月以来3度目の格下げを行なったムーディーズは、同社の流動性と債務不履行のリスクは「高まっている」と発表している。
しかし2008年のリーマン危機の際がそうだったように、これら格付け会社による判断は実情を反映するまで「時差」がある。先週、すでに恒大集団自身が資金調達の努力が実らなかった場合のデフォルトリスクを警告している。ブルームバーグが決算報告書をもとに算出したところによると、上半期の短期借入金に対する現金比率(キャッシュ補償率)は、半年前の47%から36%に悪化したという。同社は昨年1月以降、ドル債を販売していない。
恒大集団の株価は、香港市場での取引で2.8%マイナスの3.47香港ドルとなり、2009年のIPO価格である3.5香港ドルを下回った。巨額の債務不履行問題を抱えた不動産開発会社大手の株価は今年に入ってから約77%も下落しており、同社のドル債の多くは30セント以下で推移している。
負債総額が3000億米ドル超(約33兆1162億円)に膨らんだ恒大集団は、チャイナ最大の不動産開発企業であるだけでなく、最も負債の多いデベロッパー企業でもある。これが、同社が「チャイナ版リーマン・ブラザーズ」と言われる所以である。
すでに9月6日(月曜)には、同社の各種債権がデフォルト騒ぎの中で暴落し、チャイナの証券取引所が取引を停止する事態となっていた。チャイナで最大の負債を抱えた不動産開発会社の社債が、大幅な格付の引き下げによりレポ市場で適格担保にならなくなったため、債権者の間で銀行取り付け騒動が発生している。
そして恒大集団のデフォルト騒動は、ドミノ倒しとなってチャイナ経済に大きく波及する見通しとなっている。
水曜にチャイナの塗料メーカー、三カ樹塗料股フン有限公司(SKSHU Paint Co.,Ltd.)が発表したところによると、恒大集団には8月31日時点で1億170万元(約17億3260万円)の延滞した商業手形があるという。
恒大集団のデフォルトは、もはや時間の問題である。あとは、チャイナ政府がいつ恒大集団の「生命維持装置」を外すかということだ。
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