ニュースレター登録

Loading

オールドメディアが伝えない海外のニュース

シーモア・ハーシュ氏、ノルドストリーム爆破のスクープ記事を報じない古巣NYタイムズとワシントンポストを批判——ロシア・ウクライナ戦争がいつ終わるかは時間の問題「ゼレンスキーがあと何人自国民を殺したいと思うか次第」

シーモア・ハーシュ氏(Screenshot via Democracy Now!)

先週、ノルドストリーム爆破はCIAと米海軍の秘密工作だったとスクープ報道を行なった伝説のジャーナリスト、シーモア・ハーシュ氏は、2月15日、自身のSubstackで、ニューヨークタイムズとワシントンポストがこのパイプライン爆破に関する記事について「一言も掲載しない」と非難した。「完全な調査を求める声は、米国のメディアによって無視されている」と、ハーシュ氏は米国のジャーナリズムの著しい劣化を嘆いている。

ハーシュ氏は次のように記している(太字強調はBonaFidr):

ニューヨーク・タイムズ紙は、1972年~1979年まで同紙の調査報道記者だった私が書いたものはすべて――もしすべてではなくてもほとんどを一面に――掲載した。ワシントンポスト紙は、忠実な対立相手としての私のキャリアを追い、20年以上も前に雑誌に私の長い紹介記事を掲載している。両紙とも、現時点ではパイプラインの話については一言も載せておらず、ホワイトハウスが私の報道を否定していることを引用することすらない。同様に、ロシアやチャイナの政府関係者がパイプラインの話について完全な調査を公に求めても、アメリカのメディアは無視したままだ。(パイプラインの記事が掲載された日、ニューヨークタイムズ紙の記者が私に電話をかけてきたことを記しておかねばなるまい。私は、取材は受けないと答えた。すると、1つだけ質問させてくださいと彼は尋ねた。私は承諾した。Substackに記事を掲載することにする前、このパイプラインの記事を私がいくつの出版社・新聞社に持ち込んだかと彼は尋ねた。このような愚かな質問は、アメリカの主流の報道機関が、国家安全保障や戦争・平和に関する事柄よりも、メディアのゴシップに興味を持つようになったことの表れである

 

この冬、安価なガスが欠乏してしまうことを一旦は認めたドイツ政府が、その考えを変えてしまわないようにするためジョー・バイデンが行なった決断については、もっと学ぶべきことがあるやもしれない。

 

乞うご期待。私たちはまだ一塁にしかいない・・・

 

さらに今週、独ベルリナー・ツァイトゥング紙に語ったハーシュ氏は、「アメリカ大統領は、ドイツがウクライナ支援をやめるのを見るよりも、むしろドイツが凍りつくのを見るほうを選んだのです」と述べている。(英語版はJacobin Magazine掲載。)

 

この他にも、ハーシュ氏は、Democracy Now!の取材(以下の動画)に対し次のように語っている(ユーチューブはこの動画に年齢制限をかけて検閲している)。

ハーシュ氏:ニューヨーク・タイムズで私が過ごした素晴らしい年月の後に言うのも恥ずかしいのですが、そもそもこの話をニューヨーク・タイムズに持ち込もうとは思っていませんでした彼らはウクライナ戦争はウクライナが勝つと決めていて、読者が目にするのはそうだと決まっているので、だったらお好きにどうぞ、という感じです。彼らはそう判断しました。だから、私はただ自分の報道をしたまでです。・・・

 

妨害工作(パイプラインの爆破)が起こって以来、マスコミの関心がないことや、議会の関心がないことに私は興味があります。メディアは、あなた方のようにこの件で何が起こったのかを調べようとは全く思っていないようだし、議会でも、疑問を投げかける人は1人もいません。・・・

 

トランプが登場して以来、報道の二極化が進んでいるのは間違いありません。右派と左派、民主党と共和党、あなたがそれをどう表現するにしても、私たちは今、二極化しています。もしあなたがFox Newsを見ていれば、MSNBCは見ない、などです。また、もしあなたがニューヨーク・タイムズを読んでいるなら、右翼が読んでいるものは理解できない・・・保守派は、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストを、カギカッコ付きの「リベラル」的な意見だと言ってずっと非難しています。つまり、二極化が進んでいます。・・・

 

現時点では、民主党の大統領がいます。彼は国内ではある程度良いことをしました。しかし、ウクライナに対する全面的なコミットメントを私は理解できません。この戦争、特に秋から始まったものについて私に入ってくる話は――ちなみに、それは興味深いものに発展するのですが――かなり悲惨なものとなっています。ロシア人は・・・私は、(この戦争が)いつ終わるかは時間の問題だと思います。今はゼレンスキーがあと何人、自国民を殺したいと思うかという問題です。それはいずれ終わるでしょう。

 

そしてNew Left Reviewのアレクサンダー・ゼルビン氏とのインタビューで、ハーシュ氏は次のように語っている:

彼(ジョー・バイデン)がロシアとの戦争を望んでいるかどうか私にはわかりません。彼がチャイナとの戦争を望んでいるかどうかもわかりません。彼が何を望んでいるのかは分からない。しかし、それはものすごく恐ろしいことです。なぜなら、彼自身ですら知らないかもしれないからです。

 

これらアメリカの政府高官たちのIQがもう少し高ければ、鮮明な対比になるんですが・・・しかし、ヌーランドは頭の切れる天才ではありません。例えば、2週間前の上院公聴会では、テキサス出身の上院議員に、ノルドストリーム2が『海の底の金属塊』になったことを政権は喜んでいるとコメントするなど、彼女はうっかり口を滑らす傾向にあります。そしてバイデンももちろんそれをやらかしています。2022年2月7日、ホワイトハウスで(ドイツの)オラフ・ショルツと会談し、その後の記者会見で『もしロシアが侵略してきたら…もうノルドストリーム2は存在しないだろう。私たちはそれに終止符を打つ』と言いました。こうした発言が1月と2月になされたことを考えると、もし私がドイツ連邦議会の議員だとしたら、公聴会を開いて、アメリカの計画について何を知っていたのか、ショルツ政権に問いただしたいと思うでしょう。

 

経済的な理由から、ある段階でショルツはこう言っていたかもしれません――ウクライナはドイツの戦車をもう数台入手できるが、私は国民を暖かくしてビジネスを続けなければいけないので、ガス(パイプ)を開く」と。しかし、ノルドストリームに終止符を打つことで、バイデンはその選択肢を消した。その時点で、もしあなたが米国の国務省で働く理性的な人であれば、この男は長い目で見て本当に損をする選択をした、と思うでしょう。このような行動によって、アメリカは西ヨーロッパでの影響力を維持できなくなるかもしれません。なぜなら、エネルギー価格が高騰し、生活水準が低下しているのを改善することがほとんどできていないため、さまざまな国で極右が人気を集めるのを目にすることになってきているからです。

 

(アメリカは)ヨーロッパの同盟国に液化天然ガスを送っていますが、その代金は3倍から4倍にもなっています。つまり、大統領は基本的に、ドイツとロシアのつながりを断ち切るか、アメリカと我々が最も大切にしているいくつかの国家への政治的支持を失うかの選択を迫られています。これは、諜報機関にいる合理的な人間なら誰しも立ち止まって考えることです。しかし、パイプラインを破壊する能力を開発することが、プーチンへメッセージを送るのに有用であると考える人々がその世界(諜報界)に明らかに大勢いたことは、今回の話が証明しています。

BonaFidrをフォロー

執筆者

error: コンテンツは保護されています。