パンデミック対策に関する加盟国の権限をWHOに集約する協定に米共和党上院議員らが反発——「WHOはコロナパンデミックへの対応で大失敗したのに、米国の主権をそんな組織に明け渡すべきではない」ロン・ジョンソン上院議員
世界保健機関(WHO)の加盟国は来週スイスに集まり、新たなパンデミック発生時に各国の国内政策に関する権限をWHOに集約する協定の最終交渉に臨む。しかし米国の一部の共和党上院議員たちは、条約を承認する議会の権限を強化することでこの動きに対抗しようとしている。
エポックタイムズは2月21日、次のように報じている(太字強調はBonaFidr):
194カ国の加盟国すべてに「法的拘束力」を持つこの協定案は、パンデミックを宣言する権限をWHOに与え、さらに加盟国は、パンデミックがいったん宣言されれば、ロックダウン、治療、医療供給体制、監視、「デマ情報と偽ニュース」などの分野で「国際保健業務に関する指揮・調整機関としてWHOに中心的役割」を委ねるとしている。
ロン・ジョンソン上院議員(ウィスコンシン州選出・共和党)を中心とする17人の米国上院議員は、2月15日に「上院の承認なしにWHOパンデミック対策条約はなし法(“No WHO Pandemic Preparedness Treaty Without Senate Approval Act”)」の法案を提出した。同法案は、このパンデミック協定は条約とみなされなければならず、そのため上院の圧倒的多数の承認、つまり3分の2にあたる67人の議員の同意を必要とすると明記している。WHOが米国保健福祉省(HHS)のハビエル・ベセラ長官の協力を得て交渉した協定の「ゼロ・ドラフト(草稿0版)」と呼ばれるものを、WHOは2月27日に全ての加盟国に提示し、最終的な条件に合意するために準備を進めている。そうした中、この法案は提出された。
(中略)
ジョンソン上院議員は次のように語っている:
「WHOは、アメリカ連邦政府の保健機関とともに、新型コロナへの対応で大失敗した。この失敗に褒美を与えるべきではなく、アメリカの主権を犠牲にしてWHOの権力を増大させるような新しい国際条約を結ぶべきではありません」。
しかし、この法案がたとえ承認・可決されたとしても、ジョー・バイデン大統領がWHO協定に署名してしまえば、この法律では協定の発効を止めることはできないだろうと疑問視する声がある。
イリノイ大学のフランシス・ボイル教授(国際法)はエポック・タイムズの取材に対し、「法案のスポンサーである議員の方々には申し訳ないのですが、それでは目的は達成できないでしょう」と語る。その理由は、WHOの協定は上院の承認プロセスを回避するために特別に起草されているからだとボイル教授は言う。そのため、米国議会は直ちにWHOへの拠出金を差し止め、米国をこの組織から脱退させるべきであると同教授は言う。
現在、WHOの67.2億ドルの予算の最大の拠出国は米国であり、そのうち12.5億ドルは「医療に関わる緊急事態」のための予算となっている。ビル&メリンダ・ゲイツ財団は、2021年にWHOの予算の9%を拠出する2番目の巨額出資者であり、チャイナは3番目となっている。
バイデンはWHO協定に上院の承認を必要とするか?
バイデン政権がWHO協定を発効させるために上院の承認を必要とするかはいまだ不明である。加盟国に対してそれは「暫定的に」発効し、法的拘束力をもつと協定自体は記しており、それが署名された時点で、各国の議会が承認する前に有効となる。
ボイル教授は次のように言う:
「バイデン政権は、ただ単にこの条約に署名しただけでそれは暫定的に発効することを表明することができます。したがって、上院がこの条約に助言と同意を与えるかどうかを決めるまで、それはここ米国で暫定的に発効することになる。私は個人的に、米国でこのような条約など他に聞いたことがありません。米国の上院が条約に助言と同意を与えるか否かがペンディング(保留中)となっている間、暫定的にそれは適用されると定めた条約などというものを。
(以下省略)
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