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日本に仕掛けられた人口動態という“時限爆弾”【オピニオン】——「将来的に安楽死を義務化する可能性が議論に上ってくるでしょう」

映画『トゥモロー・ワールド』(Photo courtesy of Universal Pictures)

ドン・フェダー筆|The Washington Times2023年3月6日号掲載

(太字強調はBonaFidr)

 

【記事タイトル】人口動態の“列車事故”(*)が待っている

日本は老人たちを線路に投げ捨てるのか?

(*原文の“列車事故(train wreck)”という表現は、「予測可能だが避けられない大惨事」という意味で使われる比喩表現。)

 

文明人が、行くべきでない所へ向かい始めるのに時間はかからなかった。イェール大学の日本人教授は、ますます増加する自国の高齢者人口に対する安楽死について話すようになっている。日本の人口の3分の1が、すでに65歳以上となっている。そして5人に1人が一人暮らしをしている。毎年、3万人以上が孤独死している。そして彼らの遺体を取り去る小さな産業が生まれている。

 

日本の高齢者問題は、この国の人口動態の危機がもたらした結果だ。日本は、世界でも有数の低出生率だ――女性1人当たりが出産する子どもの数は平均1.3人だが、人口を安定的に維持するためには2.1人が必要だ。

 

2022年、日本の人口は80万人減少した。2045年までには、さらに30%減少すると予測されている。1980年代、日本経済は無敵に見えた。そして私たちは皆、日本の経営技術を学んでいた。

 

しばらくはうまくいっていた。1990年、日本の国内総生産は4.9%成長した。しかし2019年までに、国内総生産は0.3%に鈍化してしまった。経済の成長を維持し、高齢者をケアするための社会保障を支払う十分な数の若い労働者が足りない。

 

このような状況の中、身も凍る流氷はますます魅力的に映る。38歳の成田悠輔教授は、212日のニューヨーク・タイムズ紙のインタビューにこう答えている――「私には解決策ははっきりしているように感じます。結局、高齢者が集団自殺し、集団切腹するということじゃないですか?」。

 

そして、それは必ずしも任意の自発的行為である必要はない。「将来的にそれを義務化する可能性が議論に上ってくるでしょう」と同教授は発言している。

 

成田氏は、ソーシャルメディアで多くのフォロワーがいる。日本の国会議員の中には、彼が待望の議論を行うための条件を作り出していると言う人もいる。「高齢者が年金をもらいすぎで、若者がすべての老人を支えているという批判があります」と、ある有力国会議員は言う。

 

解決策――切腹以外の解決策は?岸田文雄首相は123日の所信表明演説で、人口動態の悪化に対処するのは「今しかない」と警告した。岸田首相は、保育や子育て支援など、子ども関連の支出を倍増させたいと考えている。それには、保育所や子育て支援の充実など、左側も右側もどちらの政治家も好むような想像力のない解決策が含まれている。

 

しかし、日本はまた、少子化に先行する結婚率の低さも抱えている。日本政府は、エルビス・プレスリーのモノマネ芸人が神父役をしてカップルが結ばれるような、ラスベガス風の結婚式場を設置するだろうか?若いカップルは、賄賂をもらえば子供を産むようになるだろうか?

 

日本だけではない。数十年にわたる破滅的な一人っ子政策の末に、チャイナは自ら作り出した人口動態の災難に直面している。2022年には、毛沢東の大躍進という大量飢餓以来初めて、チャイナは前年から85万人の人口が減少した。そして、それは悪化の一途をたどるのみだ。チャイナの人口は、2050年までに1億人、そして今世紀末までに6億人減少すると予想されている。

 

チャイナの習近平国家主席は、来るべき人口減少に慌てふためき、そのため軍事力のあるうちに領土問題を解決しようとするかもしれない、と指摘するチャイナウォッチャーもいる。

 

足腰が弱っているアジアのドラゴンたちは、21世紀の大災厄の最前線にいる。しかし、欧米諸国も、自分たちの置かれた現状に自己満足するわけにはいかない。米国の出生率は1.6人にまで低下している。過去10年間、毎年生まれてくる赤ちゃんの数が減っているのだ――これは記録を取り始めてから初めてのことだ。

 

洋の東西を問わず、私たちは皆、同じ(高齢化という)病気に悩まされる。各世代で、結婚する人がより少なくなり、そして結婚しても十分な数の子を生まない。

 

私たちは、気候変動や人口過剰という虚構、そして古き良き時代の女性観を嫌悪する思想に突き動かされた「反子供文化」に生きている。

 

高潔な野蛮人(**)の映画『アバター』の監督であるジェームズ・キャメロンは、人口増加は持続不可能であると信じており、宇宙の全生命の半分を消し去ろうとするマーベル映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』の悪役、サノスに「共感できる」とタイム誌に語っている。

(**「高潔な野蛮人」とは、現代文明が失った情熱や直感を、未開文明の人は純粋な形で持っていると考える概念。)

 

私は別のフィクション作品が頭から離れない――「人類の子供たち(原題:The Children of Men」(***)という作品だ。これは英国を舞台にしたディストピア小説で、世界的な不妊症の蔓延で安楽死が強制されるという設定だ。「クワイエタス(Quietus=「死、消滅」「義務からの開放」の意)」と呼ばれる儀式では、老人たちは‘はしけ’に乗せられて沖合に曳航され、その‘はしけ’は沈没させられて人々は溺死する。そして岸に辿り着いた者は、棍棒で殴り殺されるのだ。

(***この小説を元に、『トゥモロー・ワールド(原題:Children of Men)』という映画が2006年に公開されている。)

 

このような恐怖が、文明の終わりを知らせることになってしまうのだろうか?その答えは、政策の変更ではなく、気持ちを変化させることにある。私たちは、「生命の文化」に立ち戻らなければいけない――人生という生まれてから死ぬまでの範囲の両端にある弱者(若年層と高齢層)を犠牲にすることなく、それぞれを神からの贈り物として扱う文化だ。

 

将来を信じている人たちは子を産む。そうでない人たちはそうしない。では、将来を信じるという信仰心はどこから来るのだろうか?それは、より高次の崇高なる力への信仰から来のだ。

 

ドン・フェダーは、The Washington Timesのコラムニスト。

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