「日本国債がデフォルトを起こさないか懸念している」=エドワード・ダウド氏——「金融パニックは世界中に広がり、FRBや米国財務省を含め誰の手にも負えなくなる」
米国時間の3月18日(土曜)、エドワード・ダウド氏が人気ネット番組War Roomに出演し、日本国債がデフォルト(国家債務不履行)を起こさないか懸念していると語った。
ダウド氏は、世界最大の資産運用会社ブラックロック・グループで株式ポートフォリオ・マネジャーを10年間務めた経験を持つ。
▼▼ 以下はこのインタビュー動画を一部翻訳したもの▼▼
スティーブ・バノン氏:エド・ダウドさん、これは、数ヶ月前にあなたが言った「予告ホームラン」通りの出来事となりました。その時に実際におっしゃったのは、「3月になったらゲームオーバーになるだろう」です。当時、すでに分かっていたことと、現在、状況は思っていたよりも悪いとあなたが考える理由について、説明をお願いします。状況は思っていたよりも悪いとお考えなのですよね?
ダウド氏:その通りです。昨年11月に私のチーム、カルロスと物理学で博士号を持つユーリが経済に関するレポートを作成し、経済は激しい不況を示していること、そして(2023年)第1四半期(1月〜3月期)と第2四半期(4月〜6月期)にそれが猛烈な勢いでやってくるだろうということについてお話ししました。そして現在、私たちはついにその状況に到達しました。
2022年11月に起こったもう一つの悪いことは、M2、つまりマネーサプライ、その前年比成長率が1930年以来初めてマイナスになったということです。
もう一度言わせてください。1930年です。
今回でそれが起こったのは5回目ですが、1868年以降の過去4回は金融パニックを伴いました。
M2とは、基本的にマネーのことです。そしてマネーは、クレジット(信用)です。つまり、信用が収縮しているのです。私たちは今そうした状況に置かれています。
そして、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、186の銀行が経営難に陥っていると報じることで、銀行の経営破綻を煽っているのでしょう。
私たちは今そうした状況に置かれています。そして、これがどのくらいのスピードで進むかは分かりません。彼らは、これを減速させることができるのか、または何が起きるのか、私はわかりません。
バノン氏:ちょっと待ってください。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が書いていることについて、はっきりさせておきたいと思います。WSJ紙は、「FRBがすべての銀行に暗黙の保証を与えたので、銀行取り付け騒ぎにはならない」、と言っています。
率直に言って、問題は、彼らがこれらの預金を保証したことです。そのため、これは史上最も高額な救済措置になることが予想されます。これらの銀行は債務超過に陥っています。シリコンバレー銀行(SVB)の残高・・・SVBの残高を見ると、昨年すでに債務超過に陥っていました。そしてSVBのレバレッジは185対1です。銀行のレバレッジは、3、4、あるいは5対1であるべきです。投資銀行でも8対1です。
2008年の金融危機では、ベアー・スターンズやリーマンブラザーズ、ゴールドマン・サックスなどを彼らが非難したのを覚えていますか?これらの投資銀行は、20~25対1のレバレッジをかけていました。
シリコンバレー銀行は、基本的に、「ヘッジファンドが併設されたカントリークラブ」のようなものでした。それは商業銀行ではありませんでした。なのに彼らはそれ(高いレバレッジ)を許してしまったのです。
世の中には何十もの似たような状況があり、彼ら(WSJ紙)は、186の銀行がそんな状況にあると言っています。保証人がアメリカの賃金労働者なのに、どうやったら金融崩壊しない、なんてことがあり得るでしょうか?
ダウド氏:それで、彼らがやろうとすることは、無駄な抵抗をし、すべての預金を保証し、そしてあなたが言っているように銀行を事実上国有化することになる、ということです。そして、これらの銀行、おそらくシステム上重要な6つの銀行には買い手がつくでしょう。
なので、私たちは銀行を6行に統合することになるでしょう。そして、これが意図された計画かどうかは別として、それがこれから起きることになるのです。
そして、もしそれ(銀行の統合)が、これから起こることを止められるとあなたが思うのなら、違います。それは無理でしょう。それはおそらく遅らせることはできるでしょう。しかし、これ(銀行の統合)が終わるころには、金融資産は大きく下落していることでしょう。どこかで世界的なソブリン債のデフォルト(国家債務不履行)が発生することになるでしょう。私たちは日本を注視しています。私たちは日本について懸念しています。チャイナの動向も気になります。
つまり、これは世界中に広がっていくのです。そして率直に言って、これはFRBや米国財務省を含め、誰の手にも負えないことなのです。
バノン氏:ちなみに、エド・ダウドは真実を語っています。念のために言っておくと、世界最高の銀行家、プラチナ級、最高級の銀行家は、スイスにいると言われています。それをご存じでしょうか?そして私たちが今こうして話している間も、彼らは、スイスの2大銀行であるクレディ・スイスとUBSを一つにギュッと合体させようとしています。彼らは、この2つの銀行を一つにまとめようとしているのです。スイス国立銀行、私たちのFRBに相当する彼らの中央銀行は、週末にこれらの銀行をひとまとめにしようとしています。月曜日に彼らは開店し、「国民的英雄」が誕生するように。スイスでは、今まさにそれが行われています。FRBが、割引窓口を開いて、債務超過の銀行に、たしか1,860億ドルだったかな?をこれらの債務超過に陥った銀行につぎ込んでいる最中に。
各銀行が流動性が必要だと言ったのは、彼らは債務超過だということです。いいですか?シリコンバレー銀行では、銀行の財務状況について嘘と虚偽の説明を行い、取締役会(*)ではピエロ・ショーを行っていました。(*シリコンバレー銀行の取締役の中で、投資銀行の経歴を持っていたのは1人しかおらず、残りは、オバマ元大統領、クリントン元大統領への大口政治献金者だったと報じられている。)
エド、あなたはさらに状況は悪くなると言っていますが、信用収縮とはどういう意味ですか?彼ら(FRB)は(通貨を)あまりに刷り過ぎた。300兆ドルもの借金がある。ルービニ(NYU大学のヌリエル・ルービニ教授)の言う通りだ。これを完済するのは不可能だ。
そのため、ソブリン債の危機を目の当たりにすることになるでしょう。日本や、本当に大国と言われるところが、「もうこれ以上払えない」と言い出すのを見ることになるでしょう。ちなみに、アメリカも同じようなものだということを覚えておいてください。これは例の債務上限問題です。FRBがお金を刷り続けない限り、借金をマネタイズ(国債を貨幣化)し続けない限り、これを完済する方法はありません。不可能なのです。エド・ダウドさん、続きをどうぞ。
ダウド氏:そうですね。つまり、このすべての債務の「解放弁」(債務問題の行き着く先)は、通貨問題と世界的なソブリン債のデフォルトになります。だから通貨戦争がこれから起こるのです。通貨の質が下げられることになり、それがキネティック戦争(弾薬を使った物理的戦争)につながるでしょう。
私は悪いことが起きると予言する人間にはなりたくないですが、これは誰の手にも負えないことなのです。私たちは末端にいて、この状況は自ら崩壊していっています。一旦マネーサプライがマイナスになれば、もう終わりです。
バノン氏:これは、第一次世界大戦後の1920年代後半~1930年代前半にかけて起きた世界恐慌に似ています。それは崩壊しました。彼らはありとあらゆることを試しましたが、1937年から38年にかけて、アメリカでさえも、当時、彼らには手段がなくなり、時間切れとなって、世界的な紛争に発展してしまいました。
あなたは、今の状況が1930年代後半のようだと考えているのですね。これは、世界秩序(ワールドオーダー)の終焉だと。新自由主義、ネオコンの世界秩序が私たちの目の前で崩壊していると。あなたはそう確信していますか?そして、それは崩壊するしかない、と。そして、私たちは、何らかのシステムを、古いシステムの灰から新しいシステムを再構築する、と。
ダウド氏:ええ、それが報道されることはありませんよ。みなさんがそれをテレビで見ることはありませんが、時間をかけてゆっくりと起こっていくでしょう。
そして、私たちはグローバリゼーションの終焉を目にしています。明らかに、グローバリゼーションのピークはしばらく前に過ぎました。今、私たちは多極化へと向かっています。それがこのような物事の本質なのです。
私たちは、国として団結し、この状況を打開する方法を考えなければいけません。なぜなら、キネティック戦争が起きるからです。それを回避する方法が私には見当たりません。今年戦争が起きるでしょうか?私にはわかりません。来年?たぶんそうかもしれない。しかし、この問題を解決しない限りは戦争は来るだろうし、分別ある「大人」が私たちには必要です。
バノン氏:今、ウクライナでキネティック戦争が行われていますが、それが近い物だし、そもそも私たちがこの戦争に資金を提供しています。もし私たちがお金を絶てば、戦争は明日にでも終わるでしょう。私たちは、ウクライナで、全てのウクライナ人が死ぬまでロシアやチャイナと戦争するでしょう。そうですよね?・・・そして、これこそが大きな悲劇です。・・・
ダウド氏:ウクライナでのキネティック戦争は、明らかにキネティック戦争ですが、私が言っているのは、アメリカ国民が戦闘を始めるということです。そして、私はそれを見たくはないですが、いずれかのタイミングで、どうやっても私たちにはそれを回避する方法が見当たらないということになると思います。
(以下省略)
インタビュー動画はここで視聴できる:
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