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【オピニオン】なぜ米国は“フォース・ターニング/第四の節目”へと向かうのか?——「50年後、米国はもちろんほとんどの国が現在の形で存在することはないでしょう」

Image via Doug Casey’s International Man

ダグ・ケイシー筆|2023年4月|Doug Casey’s International Man掲載

(太字強調はBonaFidr)

 

インターナショナルマン: 経済的、政治的、社会的、そして文化的状況は、米国、より幅広く言うと西欧諸国でますます不安定になっているようです。これは特殊な状況なのでしょうか、それとも繰り返される歴史的サイクルの一部なのでしょうか?

 

著者のウィリアム・ストラウスとニール・ハウは、彼らの著書『フォース・ターニング【第四の節目】』の中でポピュラーとなった理論を紹介し、アメリカの歴史を通じて発生してきた繰り返される世代サイクルの概要を説明しています。

 

あなたはこれについてどうお考えですか?

 

ダグ・ケイシー: ストラウスとハウの最初の本『ジェネレーションズ』が1992年にリリースされたときに、私はそれを読みました。素晴らしいと思いました。

 

『ジェネレーションズ』と『フォース・ターニング』の両方を皆さんにお勧めします。どちらの本も、歴史の周期性について非常に学術的ですが、読みやすく、先見の明のある見方を提供しています。そして、非常にもっともらしいと思われる2020年代についての予測を提供しています。

 

歴史は、マルクス主義者やアブラハムの宗教(主にユダヤ教・キリスト教・イスラム教)が考えるような、あらかじめ定められた終わりに向けて直線的に進むのではなく、周期的であると考えるのが最善です。『伝道の書』には、「太陽の下に新しいものはない」という有名な言葉があります。

 

プラトンは『国家』の中で、若い世代が先祖の道徳的価値観に立ち向かえないということを語っています――これは紀元前4世紀の話です。

 

高齢者世代は、若い世代は十分に(自分たちのレベルに)達することができないと常に考えてきました。最近のアメリカの歴史でも、若い世代は、 50 年代ではビート族、60 年代ではヒッピー、そして80 年代ではヤッピーだったことを思い出してください――そう、それは卒業パレード(卒業生を送り出す儀式のようなもの)です。高齢者世代は、世界が下り坂になっていると考える傾向があります。(高齢世代にとって)新しいものは何もありません。しかし、常に再生(ルネサンス)はあります。

 

ニッコロ・マキャヴェリはその著書『フィレンツェ史』の中でこう 言っています:

美徳は静けさを生み、静けさは余暇を生み、余暇は無秩序を生み、無秩序は破滅を生むそして同様に、破滅から秩序が生まれ、秩序から美徳が生まれ、美徳から栄光と幸運が生まれる。

肝心なのは、社会は道徳的な強さによって貧困から脱却するのです――そしてそれが社会に繁栄をもたらします。しかし、その繁栄は傲慢さをもたらし、そして傲慢さは怠惰をもたらします。そしてそれは弱さと道徳の低下をもたらします。その後、彼らは再び奴隷制と貧困の状態に陥ります。変化とは、唯一不変のものです――人間の本質を除いては。

 

米国を見てみると、アメリカ文化のピークはテディ・ルーズベルトが大統領に就任する直前だったように思います。テディは確かに最悪の大統領トップ 5 に入ります。その称号をめぐる競争にはたくさんの候補者がいますが。

 

彼は真に「進歩的(プログレッシブ)」な最初の大統領でした。彼は、政府が生活のあらゆる分野に積極的に関与することを望んでいました。

 

しかしそれは、テディ・ルーズベルトが本当に素晴らしい飲み仲間、キャンプに行くのに素晴らしい人、知的な会話ができる楽しい男ではなかったと言っているわけではありません。彼には立派な個人的価値観がたくさんありました。しかし、彼は国粋主義者(ナショナリスト)であり、国家主義者(ステイティスト)であり、戦争を挑発する主戦論者(ウォーモンガー)でもありました。だから私は彼がひどい大統領だったと言うのです。

 

アメリカの海外における帝国主義という長期的な傾向は、米西戦争に始まり、キューバ、プエルトリコ、フィリピン、そしてハワイでの海外アメリカ帝国の構築、そして第一次世界大戦が続きました。

 

米国は非干渉主義から、今や世界中に何百もの基地を持ち、世界中のあらゆる国に命令を下そうとするようになりました。そのような傲慢さは必ず悪い結果に終わります。

 

文明として――文化として――米国は、約120 年ほど前から加速度的に下降線をたどっています。科学技術が一般的な生活水準を大幅に向上させてきたとはいえ、それは事実です。生活水準の向上と道徳的価値観の向上を混同するのは間違いであり、マキャヴェリが話していたのはそういうことです。

 

その傾向が変わるかどうかは私は疑問に思っています――少なくとも私たちが真の危機に直面するまでは。なぜこの傾向は変わらないと思うのか?なぜなら、社会がどのように行動するかの多くは、子供たちの育てられ方、つまり幼い頃に植えつけられた価値観に由来するからですそして子供たちはますます間違った価値観を教え込まれています。

 

17 世紀に聖イグナチオはそう言い、20世紀にはレーニンがこの言葉を繰り返しています。「誰かを若いうちに教化すれば、その人の一生を左右するような世界観になる可能性がある」と二人は言っています。

 

文化的マルクス主義者は現在、米国の教育制度を完全に支配しており、数世代にわたって支配しています。これは大学だけでなく、高校や小学校でさえそうです。子供たちは、幼い頃から社会主義者、エコ戦士、社会正義の戦士、そして「woke(意識高いリベラル)」になるように教えられているのです。これは本当に深刻なことです。

 

そして、それは周期的な現象ではありません。これは、私が『フォース・ターニング』に異論を唱えている数少ない分野の 1 つです。集団主義と国家主義へ向かう傾向は、長期的なトレンドであり、今もなお加速しているようです。

 

明るい話題もいくつかあります。例えば、リバタリアン(民主党にも共和党にも属さない自由主義者)は、以前よりもいくらか目立つようになりました。しかし、社会の流れが反対であることに直面しながらも、リバタリアンが個人の自由を信じているという事実は、彼らが実は遺伝子変異体なのではないかと私は考えたくなります。彼らは人口のほんの一部であり、彼らの気質(「生まれ」)は現在支配的な教育(「育ち」)に反抗しています。

 

私がそう思うのは、部分的には私自身の経験によるところが大きい。私は、冗談めかして人食いデス・カルト教団と呼ばれることもあったところで育ち、通っていた学校の修道女や神父から様々な種類の奇妙な観念を植え付けられました。私はそれらを直感的そして知的に拒絶しましたが、それらは今でもタールのように付着しています。幼いころに教え込まれたことを洗い流すには、何年もかかるのです

 

しかし、私は他の人よりも独自路線をいく一匹狼です。ほとんどの人は、子供の頃に教えられた善悪を、反射的かつ自動的に信じ続けています。ですから、アメリカ文化の方向性が大きく変わる見込みはあまり期待できないと思います。少なくとも大規模な危機が発生するまでは、それ(アメリカの教育制度)がもたらす結果は疑わしいものです。

 

インターナショナルマン なるほど。それが長期的な傾向ですね。私たちは今、世代交代サイクルのどのあたりにいるのでしょうか?私たちはフォース・ターニングに突入し、危機に向かっているのでしょうか?

 

ダグ・ケイシー: ストラウスとハウは、およそ80年間、4世代にわたって周期的な視点をとっています。

 

彼らの理論を非常に簡単にまとめると、「高揚」、「覚醒」、「分解」、「危機」という4 つの「節目(ターニング)」があります

 

ここ数十年にわたって、私たちは古い価値観が崩壊する「分解」を経験してきました。次に、ストラウスとハウは、2015年頃から始まる「危機」を予測しました。これは、社会の存在そのもの(少なくとも社会のあり方)が試されるような危機です。

 

彼らは、世代を単に「リベラル」か「保守的」かで見ることを超越しています。ストラウスとハウによると、「節目(ターニング)」に対応する 80 年の周期 ——1 世代あたり 20 ——で続く 4 つの世代の原型があります。

 

詳細は省きますが、彼らはベビーブーマーの世代を「預言者」世代と見ています。彼ら著者たちはイデオロギー指向 —— 「地獄の責め苦」タイプ——で、左派のバーニー・サンダースや右派のドナルド・トランプに非常に似ています。聖書の黙示録的な性格の持ち主です。

 

ジェネレーションX のタイプをいわゆる「遊牧民/流浪」世代と彼らが定義したことは、非常に正しかった。彼らは、自分の面倒は自分で見ることを学んだ子供たちであり、彼らの考え方はそれほどイデオロギー的ではありません。

 

ミレニアル世代は、今この瞬間と関係ある世代です。ストラウスとハウの見解では、彼らは第二次世界大戦世代に相当します。彼らはこれから起こる危機や紛争で最前線の兵士になるでしょう。

 

インターナショナルマン: 危機の後はどうなりますか?その先は前向きでポジティブな道が待っているのでしょうか?

 

ダグ・ケイシー: 歴史的には、「ほぼ絶対にない」というのが答えです――短期的には。最近の最も良い例は、フランス革命です。ロベスピエール(当時のバーニー・サンダース)とそれに続くナポレオンで状況は悪化しました。または、ロシア革命の例を考えてみましょう。ニコライ2 世を排除する必要があったのと同じくらい、レーニンで事態は悪化し、そしてスターリンでさらに悪化しました。しかし、これらの場合ですらも、フランスとロシアは回復しました。

 

米国が今後10 年間ですべてがうまくいかなくなった場合、この2 つの革命は雛形になる可能性があります。民主党の指導者たちの考え方を見て、彼らの発言に耳を傾けてみてください。彼らはロベスピエールとレーニンの意見をそのまま繰り返しています。

 

共和党員も、それよりずっとマシというわけではありません。というのも、彼らは平和と個人の自由について話すことはあっても、それを実行することはほとんどないからです。米国の 2大政党、そして赤い共和党のカウンティー(郡)と青い民主党のカウンティー(郡)の人々は、お互いを本当に憎んでいるようです

 

それは社会学的にかなり醜いことです。相容れない違いがあります。それは、私たちが財政破綻に向かっているという事実によってさらに悪化しています。それは間違いないでしょう。

 

数年前、ジェネレーションXタイプ(X世代)の間で行われた世論調査がありました。その結果では、彼らが社会保障を受給できるようになるというよりも、宇宙人が侵略するだろうと信じる人の方が多かったということが判明しました。人々はもはや「支配体制」、社会、または政府をほとんど信じていません

 

20世紀初頭にさかのぼるとこの国は本当に政治色が薄かったのです。人々は自分の生活、自分の家族、そして自分の地域社会のことを心配していました。アメリカ人は共通の文化、信念、価値観を共有していました――今ではもはやそうではありません。現在、この国は非常に政治化されてしまいました――誰もが大きな発言権を持ち、投票を武器にして隣人を攻撃しています。ここは、たちの悪い「おせっかいな暇人」の国になっています。

 

そのため、次の混乱は革命のようなものになるのではないかと思っています。それは非常に険悪なものになる可能性が高い。なぜなら、経済的大惨事、政治的混乱、そして社会的・人口動態的混乱が同時に起こることに私たちは直面していて、そしておそらく軍事的状況も発生するからです。政府はしばしば、戦争は国をまとめるための手段であると考えます。

 

では、これから何が起こるのでしょうか?

 

私は、50年後、米国はもちろんほとんどの国が現在の形で存在することはないだろうと推測しています。最良の解決策は、平和裏に小さな政治的分派に分裂することです。それとは反対なのが内戦です――内戦は、中央政府の支配権をめぐって1つまたは複数のグループ間の争いとなります。

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