中国人科学者らが「新型コロナウィルスはおそらく武漢の研究所が起源」と論文で発表
武漢ウィルス(COVID-19)はどこで発生したのか、その起源についてはいまだ解明されていない。ホワイトハウスが米国の科学者らに対して、新型コロナウィルスの起源について調査するよう要請したニュースが報じられて1週間たっても、アメリカの主流メディアや公人で「新型コロナウィルスは人工的に作られたものなのか?」という疑問について触れたのは、金融系テレビ局のCNBCと有力上院議員のトム・コットン議員しかいない。
それどころか、アメリカの主流メディアのほとんどは、新型コロナウィルスが人工的に作られたものであるという疑惑をたんなる陰謀論として一蹴する記事を掲載している。彼らはまるで中国共産党のプロパガンダ機関であるかのように、その「火消し」に必死であるようにすら見える。
- ワシントンポスト紙:『専門家は中国のコロナウィルスが兵器研究に関係しているという非主流派の理論を誤りであると証明』(英語による原文記事)
- サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙:『新コロナウィルスは中国と米国どちらが作り出したのか?世界的パンデミックの可能性がある中、地政学的ライバルである2つのスーパーパワーの間で陰謀論が話題』(英語による原文記事)
- フォーリン・ポリシー:『武漢ウィルスは研究所で作られた生物兵器ではない』(英語による原文記事)』
最近、このように単なる陰謀論であると一蹴する流れに加わったのがファイナンシャル・タイムズ(FT)紙だ。シアトルにあるフレッド・ハッチンソン癌センターのトレバー・ベッドフォード氏が、「中国科学院武漢ウィルス研究所(Wuhan Institute of Virology)か中国国内にあるそれとは別の場所においてCOVID-19が作られたとするソーシャルメディア上で拡散している話をこき下ろしている」と先週金曜、FT紙は報じている。しかしベッドフォード氏は感染源である武漢に直接足を踏み入れて情報を収集したわけでもなく、その根拠はあいまいである。
一方、新型コロナウィルスが人工的に作られたものであることを発見したとする論文が新たに発表された。この医学論文は、Harvard to the Big Houseが1月31日に最初に報じている。この論文は、広東省・広州市にある名門、華南理工大学の科学者が発表した。バタオ・シャオ氏とレイ・シャオ氏が共同執筆したこの論文は、査読前の原稿(プレプリント)が公表されており、その論文タイトルには『The possible origins of 2019-nCoV coronavirus(2019-nCoVコロナウィルスの考えられる起源)』と付けられている。この論文の要旨には以下のように記されている:
【訳】2019-nCoVは、研究所が確認した感染者数だけで2万8060名という流行病を引き起こしている。その中には2020年2月6日までに中国国内だけで564名の死者が含まれている。今週「ネイチャー」に掲載されたこのウィルスに関する2つの説明では、患者たちから検出されたゲノム配列が、(コウモリ由来の)Bat CoV ZC45コロナウィルスとほぼ同一であると示されている。この病原体はどこが起源であり、どのようにヒトに感染したかを研究することが重要である。「ランセット」に掲載された論文では、感染者41名のうち27名が武漢にある華南海鮮市場と接触があったことが判明している。我々は、コウモリのコロナウィルスについて研究を行っていた研究所が武漢には2箇所あることを記した。そのうちの1箇所はこの海鮮市場からわずか280メートルの距離にある。我々は、これら研究所の歴史について簡単な調査を行ったが、このコロナウィルスがおそらくその1つの研究所が起源であると提案する。我々の提案は、このコロナウィルスが自然の(遺伝子の)組み替えと中間宿主により発生したということに加えて、それとは異なる別の起源を提供する。
【原文】The 2019-nCoV has caused an epidemic of 28,060 laboratory-confirmed infections in human including 564 deaths in China by February 6, 2020. Two descriptions of the virus published on Nature this week indicated that the genome sequences from patients were almost identical to the Bat CoV ZC45 coronavirus. It was critical to study where the pathogen came from and how it passed onto human. An article published on The Lancet reported that 27 of 41 infected patients were found to have contact with the Huanan Seafood Market in Wuhan. We noted two laboratories conducting research on bat coronavirus in Wuhan, one of which was only 280 meters from the seafood market. We briefly examined the histories of the laboratories and proposed that the coronavirus probably originated from a laboratory. Our proposal provided an alternative origin of the coronavirus in addition to natural recombination and intermediate host.
さらに暗たんとなる結論部分には以下のように記されている:
【訳】結論として、誰かが2019-nCoVコロナウィルスの進化と絡み合った。自然の(遺伝子の)組み替えと中間宿主が起源であるということに加えて、この殺人鬼コロナウィルスはおそらく武漢の研究所が起源である。(太字強調は訳者)
【原文】In summary, somebody was entangled with the evolution of 2019-nCoV coronavirus. In addition to origins of natural recombination and intermediate host, the killer coronavirus probably originated from a laboratory in Wuhan.
この論文を執筆した1人バタオ・シャオ教授の経歴は、華南理工大学の公式ホームページに掲載されている。それによると、バタオ・シャオ教授は、アメリカの名門ノースウェスタン大学で博士号を取得し、現在は華南理工大学の教授を務めている。彼の研究分野は、細胞および分子に関する生体工学(cellular and molecular biomechanics)、1分子生物物理学(single molecule biophysics)、および生物工学。
しかしさらに興味深いのは、彼らが執筆したこの論文が、中国国家自然科学基金(National Natural Science Foundation)の支援を受けているということだ。もし中国共産党が、この論文の研究結果が中国にとって都合が悪い真実を語っていると判断すれば、今後、隠蔽をはかりこの論文は日の目を見ない可能性がある。
もしくは、仮に中国共産党が、新型コロナウィルスが武漢にある研究所で人工的に作られたものであるという事実をこれ以上隠蔽できないと考えているとすれば、諸外国、そして中国国内の人民からの怒りの矛先を変えるために、武漢の研究所でこの新型コロナウィルスの開発に関わった科学者たちに責任を押し付ける可能性がある。北京の中央政府が、感染拡大を招いた初動の悪さは武漢市長にあると、彼1人に責任をなすりつけようとしたように。
バタオ・シャオ教授らが執筆した論文は、ここに掲載されている。
念のため、ここでも同じ論文のPDF版を掲載する:
【関連ツイート】
https://twitter.com/BFidr/status/1239717042095296514?s=20
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