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米サブプライム・ローン市場の破綻を予言したマイケル・ビュリー氏、次の破綻はインデックス・ファンドが引き起こす

2007年から2008年にかけて、米サブプライム・ローン市場が破綻することを予言していた人物がいた。その1人がマイケル・ビュリー氏である。それまで無名の株式投資家だったのが、サブプライム・ローンを証券化したCDO(債務担保証券)に逆張り投資したことで、巨額の富を手にした。

彼を主人公にした実話が書籍『The Big Short』として出版されると、2016年、ハリウッドで同名の映画が公開された。この映画は日本でも『マネー・ショート 華麗なる大逆転』として公開されている。同映画のオフィシャル日本語サイトで、この映画を次のように紹介している:

 

 

映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』とは

映画『マネー・ショート 華麗なる大逆転』は、2008年に起こった「リーマン・ショック」で経済は世界的に大混乱状態になる中、個性派のトレーダーたちはあることに目をつけ、4000億円もの利益を叩き出すという実話を元にしたサクセスストーリーです。

4人のトレーダーたちの「データに基づいた先見の目」と「野生の勘」は、実に「お金稼ぎのコツ」に満ちています。ビジネスマンにとってもギャンブラーにとっても、この映画は最高の指南書となるでしょう。

映画の中で、トレーダーたちは経済の流れを読み、ここぞという時に自分を信じ思い切った投資をすることで成功をなしてゆきます。映画を楽しんだ後、私たちは必ず何かしらの「お金稼ぎのコツ」を習得しているはずです。


私たちの日常でも、ビジネスやギャンブル、オンラインカジノやインターネットカジノでそういった経験を今すぐ積むことは可能です。学んだことをそういった場で生かしてみるのも楽しいでしょう。

本作品は、第88回アカデミー賞「脚色賞」を受賞し、作品賞・監督賞・助演男優賞・編集賞・脚色賞と実に主要5部門にノミネートされた話題作。ストーリー自体非常に楽しめ、学びの多い作品です。

 

 

映画の予告編:

 

 

マイケル・ビュリー氏は、長年、ほとんどメディアに登場することなく沈黙を守ってきた。しかし今週、彼は次に起きる市場の崩壊についてブルームバーグ紙のインタビューに重い口を開いた。

 

インタビューの中で、ビュリー氏はインデックス・ファンド(株式市場全体の動きに連動したETF)に投資するパッシブ運用に懐疑的であり、前回の金融危機以来、投資資金がインデックス・ファンドに大量に流入していることに危機感を抱いていることを語っている。彼によると、2008年の金融危機を引き起こしたサブプライム・ローンから派生したCDO(債務担保証券)と、現在のインデックス・ファンドは類似しているという。

 

ビュリー氏は、これらパッシブ運用に流れる大量の投資資金が、株価と債券価格を歪めていると言う。これは、CDO(債務担保証券)がサブプライム住宅ローンに対して与えた影響と全く同じであるという。最終的に、ある時点を境に流れは逆流し、それが起きると「大変なことになる」と彼は語る。

 

ビュリー氏は現在、カリフォルニア州クッパチーノにある資産運用会社Scion Asset Managementで、総額3億4000万ドルの資産を運用している。「ほとんどのバブル経済がそうであるように、バブル期間が長ければ長いほど、その崩壊は大きなものとなる」と彼は言う。

 

それが一つの理由となり、彼が好んで投資先に選ぶのは、小型のバリュー株であるという。そうした株は、インデックス・ファンドにはわずかしか含まれていないか全く含まれていない。

 

ビュリー氏は次の各トピックについて洞察に満ちたコメントをしている。日本株や日本市場についても多く言及している点は注目だ:

 

インデックス・ファンドと価格発見(price discovery)

 

中央銀行とバーゼルIIIは、金融市場から価格発見機能をほぼ排除してしまった。つまり、リスクは、金利における正確な価格決定機能を失ってしまった。そして現在、パッシブ投資は株式市場から価格発見機能を排除してしまっている。

 

人々が特定のセクター、ファクター、インデックス、ETFといったものに投資の興味を抱かせる単純な理論やモデル、そしてそれら戦略を真似した投資信託があるが、これらは株券(証書)、つまり真の価格決定を知るために必要なレベル分析を必要としない。

 

これは、まさに大金融危機以前に合成された資産担保証券CDOで起きたバブルと同じようなものだ。当時、市場における価格設定は、株券ごとのファンダメンタルに関するレベル分析によってではなく、ノーベル賞受賞者が構築したリスク・モデルを元に流れ込んだ巨額の資産によって行われていた。

 

流動性リスク

 

パッシブ運用のインデックス・ファンドに関する知られたくない秘密は、それがオープンエンド型か、クローズド・エンド型か、ETFかに関わらず、それらファンドが模倣する指数に含まれている株式の間で取引される毎日のドル価値の配分だ。例えばラッセル2000種指数において、大多数の株式は、取引量が低く取引価値の低い株式だ。私が数えたところ、1日の取引価値が500万ドル以下の株式は1049社ある。これは半数以上であり、このうちの半数近い456社の株式が1日の取引価値が100万ドル以下である。しかしインデックス化とパッシブ運用により、こうした株式にも何千億ドルもの投資資金がリンク付けされている。S&P500も同じである。この指数には世界最大級の企業の株式が含まれているが、このうちの半数以上である266社の株式は1日の取引金額が1億5000万ドル以下である。

 

これは大金に聞こえるが、世界中の何兆ドルもの資産がこれら株式をインデックス化している。この分野にはより多くの投資家が参入して混雑した状態になっているが、出口は昔と変わらず同じである。これらは、世界の株式市場と債券市場の流動性がますます失われていく中、状況をさらに悪化させている。

 

醜い終わりを迎える

 

この構造化された資産ゲームは、何度も繰り返されてきた。売り込むことが非常に容易で、テクニカルな構造が導入されるにつれ、まるで予言が自己実現するような事態になった。これらの資産運用会社は、インデックスと連動したパッシブ運用商品を低い手数料で売り出した。しかし彼らはバカではない。彼らは手数料を低くした代わりに規模を拡大した。

この事態を悪化させるのは、これら金融派生商品を解消させることが不可能であること、そしてあまりに多くのこれらインデックス・ファンドが日々の取引量や株価に擬似マッチングするために利用されているヘッジされていない売買戦略を、解消することが不可能であるということだ。この基本的な概念は、2008年に起きたマーケット・メルトダウンという結果を引き起こしたものと同じである。しかし、(次に市場が崩壊する)タイムラインがどういったものになるか、私にはわからない。ほとんどのバブル経済がそうであるように、バブル期間が長ければ長いほど、その崩壊は大きなものとなる。

 

日銀という緩衝材

 

皮肉なことに、日本の中央銀行が日本で最大のETFのほとんどを保有しているということは、全世界が既存の定説を覆すパニックに陥った時、これらインデックスに含まれる最大級の株式は比較的保護されることになる可能性がある。というのも、米国、欧州、その他のアジア地域におけるETFやパッシブ運用されているファンドには、日本に類似するような安定化要因が含まれていないためである。

 

日本の割安小型株

 

日本で単純かつ極端に割安の株を見つけるのは難しくない。低い売り上げの倍数、もしくは低いフリー・キャッシュ・フローの倍数だ。多くの事例において、企業は多額の現金を留保しているか、もしくは株価の多くを決定するほどの自社株を保有している。

 

技術や技術部品分野における小型株に、多くのバリュー企業が存在している。遠隔技術やバーチャル技術は継続して成長すると私は強く信じている。半導体、ディスプレー、そしてそれらと関連した産業で世界が逆振れしていることで、関連する日本の中小企業の株価は大きなダメージを受けている。タツモや、日本ピラー工業株式会社などの企業は、技術部品の在庫がなくなり成長が再開するにつれて、同セクターに対して高いβを持つ企業の株はリバウンドすると期待している。

 

日本における現金の内部留保

 

日本政府は、当然、これら企業がゾンビ化した内部留保やその他の現金化可能な資産を活用することを期待している。市場価値が10億ドル以下の全日本企業の約半数が、簿価以下で取引されており、これら企業の「企業価値(EV)/売り上げ比率(EV/Sales ratio)」の中央値は50%以下である。もしこれら企業がガバナンスにもっと真剣に取り組むならば、これら企業は再評価される大きなチャンスが存在している。あまりに多くの企業が、大量の現金を内部留保したり自社株保有し、その上にあぐらをかいてしまっている。時価総額と比べてこれら企業の内部留保や自社株保有率は、地球上のどの市場よりも高い。

 

株主による積極的行動

 

私は積極的な行動を取る株主になろうとは思わない。実際、過去数年アジア株が急落したことで幅広い銘柄がバリュー株となったことに対してのみ、私は再び積極的になっている。私が意図するのは、企業経営者たちに対して資本配分を改善することで得られる利点を理解する手助けをすることで、常に株式の格付けを改善することだ。私は事業の運営にまで口出ししようとは思っていない。

 

水不足に対する投資

 

私はそれらに対する投資を数年前に売却した。最近それらの資産に対して大きな需要がある。私は株式を選定することに100%フォーカスしている。

Photo via Bloomberg

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