FBマーク・ザッカーバーグ氏による社内会議の音声記録が漏洩:大統領候補者ウォーレン議員とTwitterを中傷し米政府との対決姿勢を鮮明化
Facebookの社内会議を録音した音声記録が漏洩した。その中で、同社CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、民主党から大統領選挙に立候補しているウォーレン議員とTwitterを中傷し、さらにシリコンバレーの大手IT企業を解体しようとする米政府との対決を社員たちに鼓舞した。
リークされた社内会議の音声データを文字起こしした文書(英語)がここで閲覧できる。
社内会議に出席した社員に対して、ザッカーバーグ氏は、2020年の大統領選挙の立候補者たちがFacebookを解体する政策を掲げていることについて言及したほか、同社が計画している仮想通貨Libraに対して世界各国の規制当局が強い抵抗を示していることについての質問にも回答した。さらにヨーロッパ各国の政府で証言することが何度も求められているにも関わらずそれらを全て断っている理由について説明した。
The Vergeが、この7月にFacebook社内で行われた複数の会議で録音された2時間分の音声データを入手した。同紙によると、ザッカーバーグ氏は、「彼が普通、公の場でコメントするときに使うような言葉遣いよりも率直な」表現を使ったと報じている。
以下はThe Vergeが報じた録音音声の一部を翻訳したもの:
Facebookが解体される可能性について:
エリザベス・ウォーレンのように、企業を解体することこそが正しい解決方法だと考える人たちがいる・・・もし彼女が大統領に当選すれば、我々は法的課題に直面することになるのは確実だが、我々はその法的困難に打ち勝つのも確実だ。たとえ戦いに勝ったとしても、我々にとっては“suck(泥水をすするような)”ことになるだろうか?そうなるだろう。私は、自分たちの国の政府と大規模な訴訟を行いたいとは思っていない・・・しかし考えてみて欲しい。最終的にもし誰かが誰かの存在を脅かすのなら、取っ組み合いになって戦うしかない。
実際の音声はここで聞くことができる:
ウォーレン議員は、火曜、ザッカーバーグの流出した音声に対して、次のツイートを発信している:
What would really “suck” is if we don’t fix a corrupt system that lets giant companies like Facebook engage in illegal anticompetitive practices, stomp on consumer privacy rights, and repeatedly fumble their responsibility to protect our democracy. https://t.co/rI0v55KKAi
— Elizabeth Warren (@ewarren) October 1, 2019
【訳】実際に“suck(泥水をすするような)”ことになるというのは、Facebookのような大企業が不法な反競争的ビジネスを行ない、消費者のプライバシー権を踏みにじり、私たちの民主主義を守るために彼らに課せられた責任を何度も怠ることを許している腐敗した制度を、私たちが解決しないという状況のことを言うのだ。
巨大なIT企業が「問題を解決」できる
「それがFacebookだろうと、Googleだろうと、Amazonだろうと、こうした企業を単に解体することは問題を解決することにはならない。それは、選挙介入が起きる可能性を低下させることにはならない。むしろ、それが起きる可能性をさらに高めることになる。なぜなら、こうした企業が連携し協力することができなくなるからだ。
しかしTwitterは問題解決できないと考える理由
だから、Twitterは我々のように良い仕事ができない。内容的には彼らも我々と同じ種類の問題に直面している。しかし、彼らは投資を行うことができない。我々が安全性に投資している金額は、彼らの企業の総売り上げよりも巨額だ。(笑い)
Twitter社のコミュニケーション部門トップのブランドン・ボルマン氏は、この発言にツイッターで反応している:
It's not about money, it's about getting the work done and solving problems for the people we serve. Mark clearly thinks differently. Keeping people safe and secure is in our shared interest as an industry and we ALL have more to do. https://t.co/Wtg58QBSvk
— Brandon (@bborrman) October 1, 2019
【訳】それは金額ではない。我々がサービス提供している人々に対して責任を全うし問題解決するということに尽きる。マーク(ザッカーバーグ)は、明らかにそれとは違う考え方をしている。人々の安全を守りセキュアにするということは、業界全体の共通の利益であり、我々全員、行わなければいけないことがまだまだある。
諸外国の政府に対して証言を行うことを拒否していることについて:
私は世界中で行われる聴聞会に参加するつもりはない。多くの異なる人々はそうしたいと考えている。昨年ケンブリッジ・アナリティか社の問題が表面化した際、私は米国内の公聴会には参加した。EUでも公聴会に参加した。ただ単に、私に証言して欲しいと考えている全ての国の公聴会に参加することは意味がないと考えている。
仮想通貨Libraの問題を抱えた展開について:
世間の反応は、いつも少し大げさになる傾向があると思う。しかし、重要なのは世界の規制当局と個別に関係を築くことである。それはより中身のあることであり、それほど大げさなことにはならないと考えている。これら(規制当局者との)打ち合わせは、PRのために行われているわけではなく、多くの議論が交わされ詳細に議論している。
TikTokとの競争について:
我々はLassoと呼ばれる独立したアプリを開発中である。メキシコのような国々の市場に適したものにしようとしている・・・我々は、TikTokがすでに人気となっている国で競争する前に、まずTikTokがまだ人気ではない国々にそれを投入できないかを検討している。
ザッカーバーグ氏は、今回リークした自身の音声データについて、Facebookに次のように投稿した:
私は毎週、Facebookで社員が私にどんな質問でも問えるQ&Aを実施している。そこで、私はあらゆる種類のプロジェクトや課題について私の考えをオープンに共有している。数ヶ月前に行ったQ&Aの一つの記録がオンラインで公開されてしまったことについて、それは外部向けではなく社内向けに対して行われたものであったが、すでに一般公開されてしまっているので、もし興味がある人は読むことができる。社会的責任やIT企業を解体すること、Libra、ニューラル・コンピューティングのインターフェースなど様々なトピックについて、そして長期にわたって正しい行いをするということについて私が考えていることを率直に社員に語っている。
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