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WeWorkの社債に大量の空売りが発生:社債価格が過去最低を記録

WeWork office

WeWorkの社債に空売りを仕掛けることが、ウォール街で今最も人気の「投資先」となっている。2025年に償還を迎えるWeWorkの社債は、ここ数週間で同社の企業バリュエーションが急落するにつれてその価格が下落している。企業バリュエーションの急落を受けて、同社はIPOの申請も撤回している

 

WeWorkのCEOニューマン氏が辞任し(ただし会長職には留まっている)、同社の企業統治の体制を立て直そうとしている、それでも同社社債に対する空売りが止まらない。これにより、WeWorkの社債の利回りは過去最高をつけ、逆に社債の価格は過去最低をつけた。

 

ファイナンシャル・タイムズ(FT)紙が引用したIHS Markitのデータによると、発行済みのWeWork社債6億6900万ドル分のうち、6700万ドル以上(約10%)が、空売りを行なっている売り手に貸し出されている。

 

 

今週初め、WeWorkの2025年社債の価格は1ドル当たり85セント以下へと下がり過去最低を記録した。しかし木曜朝の時点で、価格はやや持ち直し、85セントをわずかに上回っている。同社がIPOの計画書を8月に発表した際、同社社債は1ドル当たり105セントをつけていたが、そこから価格は急落している。

 

WeWorkは急速に運転資金が減少しており、早ければ来年にも破産保護を申請する必要性が現実味を帯びてきている。これだけ多くのトレーダーや投資家が、簡単にリターンを得られる投資先としてWeWorkに逆張りを行なっているのも驚きではない。

 

「(WeWork社債の空売りに)投資資金を積み上げる取引は道理にかなっている。あらゆる投資家心理、あらゆるニュースの見出しが悪化している。失敗したユニコーンを大いに楽しむ段階にきている」とDiamond Hill Capital Managementのポートフォリオ・マネジャー、ジョン・マクレイン氏は語る。(太字強調は訳者)

 

同社社債は償還期限までに12%の利回りを提供している。これはクレディ・スイスがCCC格付けを行なっている高利回り債インデックスの平均利回りからわずかに低いレベルだ。今週火曜、フィッチ・レーティングスは、WeWorkの与信格付けを2段階下げ、CCC+の格付けを行なっており、将来性もネガティブと評価している。フィッチの定義によると、CCCという格付けは倒産が「現実的な可能性(a real possibility)」を伴った「相当な与信リスク(substantial credit risk)」があることを示している。同社の複数のアナリストは、第3四半期末の段階で、WeWorkには15億ドルの現金が残っていると見積もっている。

 

WeWorkは2010年に設立されて以来、VCから調達した約120億ドルの資金をほぼ使い果たしている。そのため、IPOを実施することでさらに30億ドルの資金を調達し、またJPモルガンが主導する銀行共同体から60億ドルの負債による資金調達を見込んでいた。しかし、負債による資金調達は、無事にIPOが達成できた場合という条件がついていた。WeWorkの最大の出資者であるSoftBankが、強く説得してWeWorkのIPOを撤回させたと報じられている。

 

WeWorkのバランスシートを強化するため、同社は、コスト削減、社内事業の売却、幹部や一般社員を含めた人員削減を手当たり次第行なっている。また、同社は新たな不動産契約件数を大幅削減しているほか、契約規模もかなり縮小化しようと交渉を試みている。

 

WeWorkには追加資金(キャッシュ)が喫緊に必要となっているのは誰の目にも明らかだ。同社の存続は、どれだけ追加資金を短期間で調達できるかにかかっている。

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