米国務省がバイデン氏らによるウクライナ汚職に関する詳細情報を公開
左派・リベラル系の監視グループAmerican Oversightが、トランプ大統領の個人弁護士であるルディ・ジュリアーニ氏の「嘘」を見破ろうと、情報公開法を元にアメリカ国務省(日本の外務省に相当)に情報開示請求を行った。すると、バイデン親子の汚職捜査を担当していたウクライナ政府関係者への聴取で得られた情報が公開されてしまい、本来の目的とは逆に、バイデン親子の汚職に関する詳細情報が公開されてしまうという結果となった。
トランプ大統領の個人弁護士であるルディ・ジュリアーニ氏は、バイデン副大統領の息子ハンター・バイデンとウクライナの天然ガス企業ブリズマとの間で行われていた汚職疑惑の証拠をつかもうと、独自に調査を行っている。ジュリアーニ氏はその調査結果を元に、汚職の証拠はあるとテレビ番組に出演し語っている。それについては本サイトでも報じてきた。
監視グループAmerican Oversightが情報開示請求したところ、国務省は先週金曜、100ページちかい文書を公開したと発表した。 その文書には、ウクライナでの汚職について調査を行ってきたルディ・ジュリアーニ氏の活動についての詳細が記録されており、現職の国務省長官であるマイク・ポンペオ氏やデビン・ニューネス下院議員(カリフォルニア州選出・共和党)と今年初旬に連絡を取っていたことなどが含まれている。
監視グループAmerican Oversightは、ジュリアーニ氏がウクライナの汚職疑惑について調査を行なってきた中で、マイク・ポンペオ国務省長官やその他の人物たちと「複数回連絡を取っていた」ことを「暴露できた」と主張している。
しかし、公開された情報の中に、ウクライナの元検事総長ビクター・ショーキン氏と、その後任者であるユリー・ルトセンコ氏が行なっていた詳細な汚職疑惑の主張を記した聴取記録が含まれていることは完全に無視している。ジョー・バイデン副大統領(当時)は、このショーキン検事総長を解任するようウクライナ政府に圧力をかけたことが既に知られている(バイデン氏自身がそのことを公の場で自慢していた動画が公開されている)。ルトセンコ検事総長は、「前任のショーキン氏は正直だと信じている」と語っている。(バイデン副大統領は、ショーキン氏のことを「解任させられたあのろくでなし」と2018年1月に外交評議会で行われたスピーチで語っている。)
ビクター・ショーキン元検事総長
2019年1月23日、ジュリアーニ氏は、ショーキン氏、イゴール・フルマン氏、レブ・パルナス氏、そしてジョージ・ボイル氏らと電話会談を行った。その会談記録には次のように記されている:
彼(ショーキン氏)は、ウクライナの検事総長の役職に2015年に任命されたが、アメリカ合衆国副大統領のジョセフ・バイデン氏の要請により2016年4月、その職から解任させられた。
彼(ショーキン氏)は、ウクライナの環境および天然資源省の元大臣であるミコラ・ズロチェフスキー氏に対する案件に関わっていた。この案件は、ズロチェフスキー氏が、自身/自社に対してウクライナ国内でガスおよび石油を掘削する許可を与えた結果、立件されていた。ズロチェフスキー氏は、ブリズマ・ホールディングス社の所有者でもある。
ショーキン氏は、ズロチェフスキー氏の名前が含まれている5件の刑事事件をリスト化した文書があると語った。その中で最大の事件は、不法にガスの資源探査許可証を発行したことに関する案件である。以下がこれら刑事事件に含まれている告発内容である:
- ズロチェフスキー氏は資金洗浄を行った
- 収賄により資産を取得した
- ズロチェフスキー氏は、約2300万ドルを許可なくウクライナ国外へ持ち出した
- 大臣の職にあるとき、彼はさらに2件の企業に対してガスの探査許可を発行した
- ズロチェフスキー氏は、ブリズマ・ホールディングス社の傘下にある2社の秘密企業の所有者であり、これら企業に対しても許可証を発行した。これにより、彼は現職の大臣という役職にありながら、利益を得ることを可能にしていた
ショーキン氏は、(ズロチェフスキー氏が)2014年にブリズマ社の取締役として以下の数名を任命していたと語った:
- ハンター・バイデン:ジョセフ・バイデン副大統領の息子
- ジョセフ・ブレード:元CIA職員で反テロ部門に任命された
- アレクサンダー・クワスニエスキー:ポーランドの元大統領
- デボン・アーチャー:クリストファー・ハインツのイェール大学時代のルームメート。クリストファー・ハインツはジョン・ケリー国務省長官の義理の息子(訳者注:クリストファー・ハインツは、トマトケチャップ会社大手ハインツ家の御曹司でもある。)
デボン・アーチャー(左端)とジョー・バイデン(右から2人目)とハンター・バイデン(右端)
Photo via Twitter
ショーキン氏は、これらの人物がズロチェフスキー氏により(ブリズマ社の取締役に)任命されたのは、彼が自分の身を守るためであると語った。
(ショーキン氏は2015年7月当時について詳細を語り、)アメリカのジェフリー・R・ピアット大使が、ショーキン氏に対してこの捜査は「白手袋(つまり組織の上級の人たち)」によって扱われなければいけないと告げた。ショーキン氏によると、この発言は、(彼に)何もするなということを暗示していた。2015年9月頃、ピアット大使はオデッサでスピーチを行い、そこでこれら案件が正しく捜査されておらず、ショーキン氏は腐敗している可能性があると語った。
ショーキン氏はさらに、2016年2月、ウクライナ国内における複数の人物の案件について捜査令状が発令されたと語った。ハンター・バイデンに関する情報について複数の要請が行われたが、何も得られなかった。
ハンター・バイデンは給与、コミッション、そしてそれらとは別に100万ドルを受け取っていると信じられている。
(当時の)ウクライナ大統領であるペトロ・ポロシェンコ氏は、ショーキン氏に対して、ジョー・バイデン氏とハンター・バイデン氏にとって利益とならないため、ブリズマ社を捜査しないよう命じた。ショーキン氏はポロシェンコ大統領の執務室に呼ばれ、ハンター・バイデンが取締役に就任していたブリズマ社とその取締役社長に対して行われている捜査のせいで、ジョー・バイデンが米国からウクライナに対する10億ドルの支援を停止させていると語った。
ショーキン氏は、2016年4月頃、ペトロ・ポロシェンコ氏から彼に電話があり、ジョー・バイデンがウクライナへの支援を停止しているため、ショーキン氏を解任しなければいけないと告げたと語った。バイデン氏は、ポロシェンコ氏に対して、ショーキン氏が腐敗しているため解任される必要があると告げていた。ショーキン氏は2016年4月に解任され、それから1ヶ月半以内にアメリカによる支援が行われた。
また別の点に関して、現在のアメリカ大使であるマリー・L・ヨバノビッチは、ショーキン氏による米国渡航ビザの申請を却下したとショーキン氏は確信している。彼女はバイデン氏に近い人物とショーキン氏は語った。ショーキン氏はまた、ウクライナのシークレット・サービスに勤務するレシェンコという名前の人物が、(トランプ陣営の元選対本部長である)ポール・マナフォート氏に対して(帳簿外の支払いを行なっていたことを記録した)「ブラック帳簿」について情報をリークしたとも語った。この「マナフォートのブラック帳簿」については捏造が行われた可能性があるとショーキン氏は語った。(太字強調は訳者。)
ユリー・ルトセンコ氏(ショーキン氏の後任の検事総長)
ルトセンコ氏は、1月25日にジュリアーニ氏とその同僚らが行ったインタビューの中で、ショーキン氏に対する聞き取り内容からさらに一歩踏み込んだ発言をしている。ルトセンコ氏は、ウクライナには2つの秘密部門があり、これら秘密部門はアメリカの(駐ウクライナ)大使によって保護されていると語った。
ルトセンコ氏は、特別反汚職検事局(Specialized Anticorruption Prosecutor’s Office: SAP)」と呼ばれる部門があると説明した。その配下に、市長以上の公職にある人物たちが関わる汚職案件を捜査するウクライナ反汚職局(Anti-Corruption Bureau of Ukraine: NABU)がある。彼は、現在のアメリカ大使は、特別反汚職検事局(SAP)とウクライナ反汚職局(NABU)を保護していると語り、(略)彼の組織は、特別反汚職検事局(SAP)にもウクライナ反汚職局(NABU)に対しても全く権限がなく、彼らが現在行っている捜査について質問することすらできないと語った。
参考として、ウクライナ反汚職局(NABU)は、「ウクライナ特命のジョージ・ケント国務次官補代理によって」2014年10月に設立された。
ジョージ・ケント国務次官補代理(左)
バイデン親子とブリズマ社
(ルトセンコ氏は、)ショーキン氏が捜査対象としていた(上述)のと同じ案件について捜査を開始したと語った。そして彼は、ハンター・バイデンがブリズマ社から報酬として数百万ドルを受け取っていると確信している。ブリズマ社の口座から数百万ドルが送金されたことを示す、ラトビアからの文書を彼は提出した。その記録は、以下の通り2つの企業および4人の個人が約1600万ドルを受領していたことを示している:
企業:
- Wirelogic Technology: $14,665,982
- Digitex: $ 1,900,000
個人:
- アレクサンダー・クワスネウスキー: $1,150,000
- アラン・アプター: $ 302,887
- デボン・アーチャー:ラトビアにより金額が公表されていない
- ハンター・バイデン:ラトビアにより金額が公表されていない
ルトセンコ氏は、コンサルティング費用として、90万ドルがローズモント・セネカ・パートナーズLLCにも支払われたと語った。ハンター・バイデンは、デボン・アーチャーと共にローズモント・セネカ・パートナーズLLCのパートナーである。この支払いは、2015年1月〜12月の間に行われた。ルトセンコ氏によると、90万ドルの請求書は、ジョー・バイデンによって行われたロビーイングに対するサービスに対して発行されたものである。
ジュリアーニ氏は、先週末の土曜、次のツイートを行っている:
TRUTH ALERT:
The statement I’ve made several times of having an insurance policy, if thrown under bus, is sarcastic & relates to the files in my safe about the Biden Family’s 4 decade monetizing of his office.
If I disappear, it will appear immediately along with my RICO chart.
— Rudy W. Giuliani (@RudyGiuliani) November 23, 2019
【訳】真実についてのアラート:
もし私がバスにひかれる場合を考えて、私は保険をかけていると何度か発言した。それは嫌味(皮肉)で言ったのと同時に、それはバイデン一家が40年間にわたって私腹を肥やすために公職を濫用してきたことに関するファイルが私の金庫に入っていることにも関係している。
もし私が失踪した場合、それは私が保管している「威力脅迫および腐敗組織に関する連邦法(RICO法)」の記録と共にすぐさま公開されるだろう。
国務省が公開した文書はここに掲載されている。
Photo via Twitter
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