世界最大の超大国は米国か中国か?:ピュー研究所が各国に世論調査を実施
アメリカはいまだに世界最大の超大国なのか?この質問に対して、すでに「否(No)」と回答する人たちがいる。中国が既に米国を抜き、世界最大の超大国であると答える人たちが多い国や地域が、米世論調査団体のピュー研究所 (ピュー・リサーチ・センター)による世論調査で明らかとなった。
GDPという経済指標から言うと、米国はいまだに世界最大の経済大国であるが、急成長する中国が米国の地位をますます脅かしており、既に中国が米国と同等かそれ以上の「力」をつけていると考える国や地域が増えてきている。
ピュー研究所による委託で実施された最新の世論調査では、多数派の国々が米国は依然として世界最大の経済超大国であると回答している。しかし、世界のますます多くの新興国が、中国への依存度を強めている。
米国内では、当然、自国である米国が世界ナンバー・ワンの超大国であると回答した人たちが多数派となっている。しかし、支持する政党により回答には偏りが見られ、米民主党を支持する人たちの間では、中国を世界ナンバー・ワンと考えている傾向がより強い結果となっている。
以下はピュー研究所の世論調査結果を地図上に表したものである。緑色の国は、米国よりも中国を世界の経済大国であると回答した人が多数派を占めた地域である。アメリカの隣国であるカナダや、「ファイブ・アイズ」の一角であるオーストラリア、さらには主要西欧諸国のイギリス、ドイツ、フランスが緑色となっている。
新興国の国民の間では、経済的に台頭する中国に対して肯定的に受け止めてはいるが、中国の高まる軍事力についてはより多くの人々が不安を感じていることがこの世論調査で明らかとなっている。
特に中国と国境を接するような隣国が中国に対して抱く感情が興味深い。こうした隣国の国民は、中国の高まる経済力と軍事力の両方に対して、より否定的であることがこの世論調査で明らかとなっている。
この世論調査を総括すると、中国の経済的な影響力は、アメリカ経済の影響力と同等、もしくはそれよりもわずかに肯定的に受け止められている。しかし、各国の国民が抱いている印象という点においては、アメリカが依然として世界最大の経済大国であり軍事大国であることに変わりはないという結果となっている。
南米全体、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国、そしてアジア太平洋地域において、より多くの人たちがアメリカを世界最大の経済大国であると見ている。こうした国々のほとんどが、このようにアメリカという国を認識しているため、彼らが中国よりもアメリカとの経済関係を重視しているのは当然と言える。
そして、以下のグラフは、米国を「最重要同盟国(top ally)」と回答した国民が多い国を順位付けしたものである。イスラエルは82%が米国を「最重要同盟国」と回答し、韓国も71%がそのように回答している。そして日本は調査対象国の中で第4位という結果であり、63%が米国を「最重要同盟国」であると回答している。一方、中国のことを「最重要同盟国」と回答した日本人は1%であった。
このピュー研究所の世論調査は、34カ国の3万8426人に対して、今年5月〜10月に実施された。
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