イタリア証券取引委員会が空売りを禁止:イタリア市場での株価暴落はクリスティーン・ラガード総裁の責任と非難
イタリアの元首相であるマッテオ・サルヴィーニ氏が、イタリア株に対する空売りの禁止を提唱してから4日後、イタリア証券取引委員会(CONSOB)は3月13日金から、ミラノ証券取引所に上場されている85名柄に対して一時的に空売りを禁止すると発表した。
サルヴィーニ氏は、ジョージ・ソロス氏がイタリア株への空売りを仕掛けて巨額の富を築いたと訴え、空売り禁止の必要性を叫んでいた。
イタリア証券取引所のラファエル・ジェルサルミCEOは、ちょうど2日前、コロナウィルスの感染拡大に対する市場の反応に対処するため、空売りを禁止することはその意味があると語っていた。ただし、特定のセクターに対して、欧州市場全体もしくはより広いレベルで空売り禁止が適用される場合に意味があると語っていた。
「特にリスクにさらされているセクターがある場合、規制当局が介入することは意味がある」とジェルサルミCEOはIl Sole 24 Oreとのインタビューで答えている。
しかしこのジェルサルミCEOの発言から2日後、イタリアの株式市場は20%暴落しており、空売りを禁止するための細かな条件など考える余裕はなくなっていた。
一方、イタリアの経済開発相、ステファノ・パトゥアネッリ氏が、インタビューの中で衝撃的な発言を行った。欧州中央銀行のクリスティーン・ラガード総裁が行った記者発表での発言のせいで、イタリア史上最悪の株式市場の暴落が起きたと発言したのだ。
パトゥアネッリ経済開発相は、ラガード総裁が行った、欧州中央銀行は「スプレッドを縮めるために存在しているのではない」という発言は間違いであったと希望しているとも語った。明らかに中央銀行を「スプレッドを縮める」ために利用してきたイタリア人ならではの本音が出た格好だ。イタリアのリスク資産を下支えすると明言することを拒否する者は、彼らにとって国賊になる。
しかしこれはイタリアだけではない。木曜午後、スペインの規制当局者もまた、基準値以上の下落をした69名柄について1日限定の空売り禁止措置を行った。
これら規制当局は、市場が危機の最中にあるタイミングで空売りを禁止することは2つのことを引き起こすということを理解できていない。1)それは清算期間をより長引かせ、さらに苦痛を伴うものにしてしまうということ。そして2)全てが終わってしまった後、それはさらに深刻な株価の下落を招く結果になるということである。米国では、2008年9月の金融危機のときに米証券取引委員会(SEC)がまさにこれと同じことを実施したが、結局、株式市場はさらに売りが進んで30%も暴落し、最終的に666の底値を打つまで下落したという苦い教訓を学んでいる。これと同じ試練がふたたび試されている。
【追加情報】ロンドン証券取引所は、金曜、同取引所に上場されているイタリアとスペインの銘柄に対して空売りを行うことを禁止すると発表した。
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