全米で広がるBLM抗議活動に寄付すると間接的に民主党のバイデン大統領候補に寄付される|カリフォルニア大学バークレー校の歴史学部教授が匿名で大学と民主党を非難する公開書簡を発表
最も厄介なことは、我々の学部が、民主党全国委員会(DNC)、そしてより広義の意味で民主党の利益に完全に取り込まれてしまっている様子だということだ。私が何を意味しているか説明するために、カリフォルニア大学バークレー校が最近送信したグループ・メールの中で積極的にPRした組織「BLM(黒人の命は大切)」に寄付することにした場合、何が起きるかを紹介しよう。公式のBLMのウェブサイトに寄付をすると、それは全て慈善団体ActBlue Charitiesにすぐさま転送される。この慈善組織は、主に民主党の候補者たちのために選挙資金を供給することに関係している。現在、BLMに寄付することは、ジョー・バイデンの2020年選挙キャンペーンに間接的に寄付することになっている。黒人同士の暴力や警察が黒人に対して行う暴力の発生率が全米で最悪の都市は、圧倒的に民主党が運営しているという事実を考えると、これはグロテスクだ。ミネアポリス市自体、過去50年以上にわたって民主党の政治家たちが完全に牛耳ってきた。同市では「制度化されたレイシズム」が、連綿とした民主党の運営陣たちによって構築されてきた。
民主党指導者たちによる黒人コミュニティーへの偉そうな上から目線や横柄な態度——これらはバイデンが黒人種について発表するほぼ全ての声明に体現されている——これらは、悲惨な状態、恨み、貧困、その結果伴う「怒りをエネルギー源にした政治(grievance politics)」を永遠に続く状態にするのはほぼ確実である。これらは同時に、アメリカにおける政治的な対話を、そして黒人の人生を根こそぎ壊滅状態にしている。しかしそれでもなお、BLMの抗議活動に寄付することは、(ミネアポリス市の)フレイ市長のように、自分たちの街を暴力がはびこる場所へと退化させた男たちの選挙キャンペーンに資金提供することにもなっている。必要とされる警察改革のための誠実な活動を、そして我ら歴史学部をこのように政党によって占拠させてしまうのはグロテスクだ。さらに最悪なのは、学界において異論を唱える場所が実質的にまったくないということである。私はこの政党(民主党)のために奉仕することを拒絶する。あなた方もそうするべきだ。
人類の搾取に関与している大手企業が、BLM抗議活動と歩調を合わせて完全に連携していることは、我々にとって警告フラッグとみなすべきだ。しかしこうした悪事を証明する証拠は気付かれず、意図的に無視され、もしくは逆に祝福されている。我々は、最上位の富裕層たちにとって「役に立つバカ(useful idiots)」である。(アマゾン創業者の)ジェフ・ベゾスや、その他の実際に存在している現代の奴隷商人たちの悪事の片棒を担いでいる。スターバックスは、そのコーヒー農園で文字通り黒人奴隷を使っているにもかかわらず、BLM抗議活動を支援している。SONYは、これまた文字通りコバルトの採掘に黒人奴隷(その多くは子供たち)を使役しているにもかかわらず、BLM抗議活動を支援している。そして、我々もまた、明らかに彼らと同じである。反論する声や意見が不在ということは、この狂った事態を可能にしている。まさに「光あれ(Fiat lux)」だ。
「人種詐欺師(race hustlers)」としか呼べないような大規模な選挙後援者も存在している。彼らは、あらゆる人種に存在している詐欺師であり、政権での役職、慈善団体での役職、学術界での役職や昇進、もしくは個人的な政治ビジネスを射止めるために、人種対立に火を付けることで得をする人たちである。
我々の学部が真実に責任を果たすことから遠ざかっているようであることを考えると、我々は、自分たちのことを、戯言を売り込むセールスマンという烙印を押すための教育訓練機関としてみなすことになる。彼ら(BLMの抗議参加者たち)の活動は、我々の国で融和的に人種が共存するといういかなる希望をも蝕み、破壊しており、我々の政治的な生き方そして組織に所属した生き方というものを植民地化しようとしている。彼らの意見の多くは、皮肉でなく差別主義的である。
もしマーチン・ルーサー・キング牧師が、今日、我々の大学キャンパスで演説を行ったならば、彼は『アンクル・トム(白人に迎合する黒人)』と呼ばれるだろう。現代史において唯一、真の意味で民族的に多様な社会として成功したものの一つを、積極的にそして意図的に破壊しようとしている指導者たちを我々は育成しつつある。民族的国粋主義国家であり、移民人口が皆無であり出生地主義の概念すらない、人種的に狂信的愛国主義の政治形態である中華人民共和国は、ますます米国に代わる世界的な政治主体として台頭しつつある:これは賢明なことだろうか?我々は本当に正しいことを行っているのだろうか?
最後に一点、我々の大学と学部は、ジョージ・フロイドを祝福し褒め称える複数の声明を発表している。フロイドは複数の重罪を犯した犯罪者であり、かつて妊娠した黒人女性に銃を突きつけたことがあった。彼は、他の男たちと集団でこの女性宅に侵入し、彼女の妊娠した腹部に銃を突きつけた。彼は、自らのコミュニティーにいる女性たちを恐怖で怯えさせた。彼は複数の子供たちの父親でもあったが、自らの子供たちを捨てた。子供たちの養育支援や世話を一切行わず、人間として最も基本的な試練の一つである良識に欠けていた。彼は麻薬中毒者であり、時に麻薬の売人だった。そして正直で勤勉な彼の隣人たちを食い物にする詐欺師でもあった。
しかしそれでもなお、カリフォルニア大学理事会、そしてカリフォルニア大学バークレー校の歴史学部に所属する歴史学者たちは、この暴力的な犯罪者のことを祝福しており、彼の名前を実質的に聖人のレベルにまで高めている。女性たちを痛めつけた男を。黒人女性たちを痛めつけた男を。カリフォルニア大学バークレー校の歴史学部、アメリカのビジネス界、ほとんどの主流メディアの報道機関、そしてアメリカで最も裕福で最も特権階級層にあり、世論を形成できる権力を握っているエリート層たちによる完全な協力関係によって、彼(ジョージ・フロイド)は文化的英雄となり、金色の棺桶に収められ埋葬され、彼の家族は贈り物と祝辞のシャワーを浴びせた。アメリカ人たちは、この凶暴で虐待的、そして女性蔑視を行っていた男にひざまずくよう社会的プレッシャーを受けている。今の世代の黒人男性たちは、ジョージ・フロイドと自らを同一視するよう強要されている。
私はこの学部のことを恥ずかしく思う。私はあなた方のことを恥ずかしく思うとも言おう。しかし、もしかしたらあなた方も私に同意しており、私と同じようにただ単に真実を語ることで受ける反発を恐れているだけかもしれない。自らの役職から解雇されないようそれを維持するためにひざまずかなければいけないという状況で、ひざまずくとは何を意味するのか知るのは困難だ。
これまでに私が行ってきた上記の議論の説得力に影響を与えるとは思わないが、念のため、私は有色人種であるということを記しておく。私の家族は、フロイドのような複数の男たちに個人的に犠牲になったことがある。民主党が我々の人種に対して行ってきた上から目線の壊滅行為に私たちは気がついている。我々(黒人)は、STEM(科学・技術・工学・数学)を習得するには知能が足りないという屈辱的な思い込み、我々は人生で成功するために特別な支援が必要で必要要件を下げる必要があるという思い込みに対して、我々は熟知している。そして、私は、自分とはおそらく人種が異なり、そして私のことを人間以下と面と向かって呼ぶような、ファシストであることを公言している者たちと折り合いを付ける方が、むしろ簡単なのではないかと思う時がある。
(黒人に対して)絶えず付きまとう低い期待度という柔らかな偏見、そして私と同じ人種の人間が直面する(社会経済的な)窮状への解決策は、我々自身の努力ではなく、むしろ白人たちの善意にのみ依拠しているという永遠の主張は、心理的に悲惨なものである。アメリカにおいて、(黒人たちの)仲間だと言い張る人たちから、このような方法で体系的にやる気がくじかれてしまっている人種グループは存在しない。現在の黒人の子供たちの全世代は、物乞いし泣き叫ぶことによってのみ、罪の意識に苛まれた白人たちから施しを受けることができると教育されている。
これほど、彼たちの将来を壊滅的なものにするメッセージはないーー特に、もし白人たちが罪の意識を失くしてしまった場合や、もしくはアメリカに白人がいなくなってしまった場合に。もしこのようなことが日系アメリカ人やユダヤ系アメリカ人、または中華系アメリカ人に行われたとしたら、チャイナタウンやジャパンタウンは、確実に現在のバルチモア市やイースト・セントルイス市で最も治安が悪い地区と変わらない場所になるだろう。カリフォルニア大学バークレー校の歴史学部は、今、黒人種に関する、壊滅的で侮辱する間違った考えの推進者として、必要不可欠な組織となっている。
このメッセージの裏側にある失望を感じ取ってもらえることを希望する。私はBLM抗議活動を支持しない。私は、民主党による、怒りを政治に利用しようとする計略を支持しない。また、民主党が我ら学部を無競争に占拠していることを支持しない。私は、バイデンが最近行った憂慮すべきインタビュー(*)で、民主党に投票することと黒人であることは同一であると主張したように、私の人種を引き込もうとする民主党を支持しない。私は、ジョージ・フロイドを死にいたらしめたやり方を非難し、警察により大きな説明責任と警察改革を要求するあなた方に参画する。しかし、私はジョージ・フロイドが暴力的な女性差別者ではなかったと偽るつもりはない。野蛮な男が予想通り野蛮な終わりを迎えたことを偽るつもりはない。
私は歴史の実際(the practice of history)についても擁護したいと思う。クレオ(**)は、政治家や企業にこびへつらう下働きの下女ではない。私たちと同様、彼女は奴隷ではなく自由の身だ。
以上。
(*)バイデン元副大統領は、黒人の人気ラジオ番組司会者に対して、「私に投票しなければ、君は黒人ではない」と発言した。
(**)映画『ROMA/ローマ』の主人公で、裕福な家庭に住み込みの家政婦として働くクレオ(Cleodegaria “Cleo” Gutiérrez)のことか?
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