雑誌「ランセット」に掲載された有名科学者たちによる「武漢ウイルスの起源は自然発生」とする声明は、NPOのエコヘルス・アライアンスが準備していた|武漢ウイルス研究所に米政府の研究資金を迂回提供していた組織
サイナス・スリアナラヤナン筆|USRTK.org|2020年11月18日掲載
27人の有名な公衆衛生科学者たちが、「COVID-19(武漢ウイルス)は自然発生ではないと言うことは陰謀論である」と批判する声明を執筆し、それが雑誌「ランセット」に掲載されていた。しかしU.S. Right to Know(米国の知る権利)という組織が入手したeメールから、この声明がNPOのエコヘルス・アライアンスの職員たちによって用意されていたことが明らかとなった。エコヘルス・アライアンス(EcoHealth Alliance)は、何百万ドルものアメリカ国民の税金を(研究助成金として)受け取り、武漢ウイルス研究所で勤務する科学者たちが行なっているコロナウイルスを遺伝子操作するプロジェクトに出資していたNPO組織。(ボナファイダー編集部:エコヘルス・アライアンスについては以前ここで詳しく報じた。)
記録の公開請求により入手したeメールは、エコヘルス・アライアンスのプレジデントであるピーター・ダザク(Peter Daszak)氏が、この「ランセット」に掲載された声明文の下書きを作成していたことや、同氏が、この声明は「一つの組織や個人が発表したものであることが見つからないようにし」、むしろ「単に一流の科学者たちが発表した書簡」と認識されるようにする意図があったことを明らかにしている。
ダザク氏は、彼が「政治的な声明と見えてしまうことを避ける」ことを望むと記していた。
この科学者たちによる書簡は、2月18日に雑誌「ランセット」に掲載された。
これは、この感染症が新たなコロナウイルスによって引き起こされており、それをCOVID-19と名付けるとWHOが発表した1週間後のことである。
この27人の執筆者たちは、「COVID-19の起源が自然発生ではないと提言する陰謀論を強く非難」しており、複数の国々を出身地とするこれらの科学者は、「このコロナウイルスは自然を発生源にしていると圧倒的に結論づけられる」と記している。この書簡は、ウイルスが実験室を発生源とする理論を否定する科学的な参考文献を一切記載していない。
1人の科学者、リンダ・サイフ氏は、eメールの中で次のような提言を行なっていた:「nCOV(武漢ウイルス)がなぜ実験室で生成されたウイルスではなく、自然発生したものであるかを支援する1、2件の声明文を追加することは役に立つ?このような主張(実験室で生成されたウイルスであるとする主張)には科学的に反証することが重要であるように思える!」。
ダザク氏は、「私たちは一般的な声明にとどめておくべきだと思う」と返信していた。
武漢ウイルス(SARS-CoV-2)の発生源である可能性があることから、武漢ウイルス研究所へ調査を求める要求が高まっており、そのことがエコヘルス・アライアンスへ向けられる目もますます厳しいものにしている。
武漢ウイルス(SARS-CoV-2)が実験室を発生源としている可能性について問う質問を、「対処する必要があるいかれた理論」と印象付けることに、エコヘルス・アライアンスの職員たちが初期の役割を果たしていたことを、これらeメールは示している。実際にダザク氏は、英国のガーディアン紙に対して「対処する必要があるいかれた理論」と語っていた。
雑誌「ランセット」に掲載されたこの声明の中で、「エコヘルス・アライアンス」という単語は一度しか登場しない。しかし共同執筆者であるダザク氏に協力したその他の数人の共同執筆者たちは、彼らがこの組織と直接的なつながりがあるにもかかわらず、その利害衝突については公開されていなかった。リタ・コルウェルとジェームズ・ヒューズは、エコヘルス・アライアンスの理事会メンバーとなっている。ウィリアム・カレシュは同組織の保健政策担当の執行副社長であり、そしてヒューム・フィールドは(同組織の)科学および政策アドバイザーである。
この声明の中で執筆者たちはまた、「今回の大流行に関して、迅速で開かれた、そして透明性あるデータの共有が、現在、その発生源に関する噂やデマ情報によって脅威にさらされている」と訴えていた。しかし現在でも、武漢ウイルス(SARS-CoV-2)の発生源についてはほとんど解明されていない。そしてWHO およびランセットCOVID-19委員会が行なっているこの発生源に関する調査は、秘密で覆い隠されており、利害衝突のぬかるみにはまっている。
ピーター・ダザク、リタ・コルウェル、そして「ランセット」の編集長であるリチャード・ホートンに対して本記事に対するコメントを求めたが、回答は得られなかった。
(ボナファイダー編集部:「ランセット」の編集長リチャード・ホートン氏は、今年、「大手製薬会社が医学研究論文に犯罪的な圧力をかけている」と嘆くコメントを「英国王立国際問題研究所(通商チャタムハウス)」で行なっている。それについてはここで報じている。)
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