投資銀行ゴールドマンサックスに何が起こっているのか?——シニア幹部がまた一人、沈む船から脱出
泣く子も黙る投資銀行の雄ゴールドマンサックスから、ここ数日、トップ幹部たちが次々と突然辞任するニュースが報じられている。そして3月2日(火曜)、また新たに3人目となるシニア幹部が辞任すると報じられた。
2月28日(日曜)、ゴールドマンサックスのリテール銀行部門「Marcus」のトップ、オマー・イスマイル氏が突然辞任し、ウォルマートに転職するとウォールストリートジャーナル紙が報じた。(イスマイル氏の部下で右腕の一人であるデービッド・スターク氏も、イスマイル氏と共にウォルマートに転職すると報じられている。)
3月1日(月曜)、ゴールドマンサックスで80億ドルの資産を運用する資産管理部門で共同責任者を務めていたエリック・レイン氏が、突然辞任し、ヘッジファンド大手Tiger GlobalのCOO兼プレジデントとして就任するとブルームバーグ通信が報じた。
そして3月2日(火曜)、ゴールドマンサックスの法務顧問を務めるカレン・セイモア氏が、突然辞任すると報じられた。
セイモア法務顧問は、世界最悪の汚職事件とも言われるマレーシアの政府系投資会社1MDB事件にゴールドマンサックスが関与していた件で、昨年、同銀行がマレーシア政府から犯罪捜査の対象になっていたのを解決するのに重要な役割を果たした。
この事件を2020年8月19日、ブルームバーグ通信は次のように報じていた:
ゴールドマン、1MDB問題の決着でマレーシアと最終合意
米ゴールドマン・サックス・グループとマレーシアは、政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)を巡る資金不正流用の問題を39億ドル(約4100億円)の支払いで決着させる合意書に署名した。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。
ゴールドマンは18日に合意が正式なものになったのに伴い、10日以内に現金25億ドルをマレーシアに支払う必要がある。情報の非公開を理由に関係者が匿名で語った。・・・
セイモア氏の名前が全米で一躍有名になったのは、2004年、彼女がニューヨーク南部地区連邦検事局に務めていた際、カリスマ主婦として有名なマーサ・スチュアートに対して司法妨害の罪で有罪判決を勝ち取ったことだろう。
ゴールドマンサックスの最新の決算発表は、株高に後押しを受けて目覚ましいものだったが、その表面的には輝かしい数字の下で、実際にはどのような嵐が渦巻いているのだろうかとアメリカの金融界隈でささやかれ始めている。
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