【オピニオン】インフレ、戦争、または財産没収を通して「システム」はいずれ再起動する
ワン・リバー・アセットマネジメントCIO、エリック・ピーターズ筆|2021年4月4日掲載
(太字強調はBonaFidr)
お金の意味を探る2016年の逸話を、久々に思い返してみた。米ドルが主要なデジタル資産(ビットコイン等)に対して50%以上も下落し、S&P500が史上最高値で取引を終えた今年第1四半期が終了した今、この逸話を振り返ってみる価値がある。
「人々は、自分たちの時間を『勘定できる単位』に交換するために働いている。私たちはそれをお金と呼んでいるが、それは時間を保存することができる発明だ」と彼は言った。
ほとんどの人たちは、ほぼ何も蓄えがない。そのため、お金を受け取ったらすぐに生活必需品を購入する——食料、住居、医療などだ。
「お金を貯めることができる人は、必然的に不動産や株式、債券などを購入することになるが、これらはすべて時間を貯めるための代替手段だ」。
グーグルの1株には、平均的なアメリカ人の70時間分の労働が保存されている。または、平均的なヘッジファンドの弁護士がコピー&ペースト作業によって文書を作成する2時間分の労働が保存されているとも言える。
「ビル・ゲイツは、10億人の軍隊を20年間維持できるだけの時間を蓄えている」。
所得格差が大きくなるにつれ、保存された時間はより少数者の手に蓄えられるようになっている。
「裕福な人々は自分たちの時間を金融資産に換えるため、他の人と比べると相対的に過剰な時間を蓄えることができる。しかし、一般の労働者は、単に時間をドルに交換し、それを食料に交換する方法を考えているだけだ」。
中央銀行は、まったく別の問題に直面している。
彼らは、時間を貯めた人々に、時間を保存する巧妙な発明品(=お金)以外のものにそれを交換してもらう必要がある。
しかし彼らはそのことにほとんど失敗している。
そのため現在では、時間を保存するもの(=金融資産)はすべて非常に高価となり、ほとんど運用益がないか、あるいはマイナスのリターンしかなく、経済活動のペースは落ちている。
「今、私たちが直面している問題は、単純に言って貯められた時間が多すぎるということだ。別の言い方をすれば、世界にはあまりにも多くの資本があり、それがあまりにも少ない数の人たちの手にあるということだ」。
この「システム」を再起動するためには、資本を貯めている人たちを入れ替えるか、資本そのものが破壊される必要がある。このシステムの再起動は、単に時間を保存するのでなく、人々に彼らの貯めた時間を再構築するよう促す。
「インフレ、戦争、または財産没収、そして再分配を通して、どこかの時点でこの不均衡は是正され、システムが再起動するということは、自然の真理である」。
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