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ジェフ・ベゾス氏が人間の寿命を延ばす研究を行う新興企業Altos Labsに出資=MITテクノロジーレビュー——山中伸弥教授が同社の諮問委員会トップに就任予定

ジェフ・ベゾス氏(Photo credit: Daniel Oberhaus, 2019)

アマゾン社の元CEOで、世界一の富豪であるジェフ・ベゾス氏は、人間の寿命を延ばす研究を行っているスタートアップ企業Altos Labsに投資していると、MITテクノロジーレビューが9月4日に掲載した記事で伝えた。

 

概算で2000億ドル(約22兆円)の資産を持つベゾス氏は、Altos Labsに投資を行っている数人の投資家の1人とMITテクノロジーレビューは記している。Altos Labsは、 細胞を若返らせ、寿命を延ばす技術を開発するシリコンバレーのスタートアップ企業。同社の投資家には、イスラエル系ロシア人のテック系大富豪で、300万ドルの賞金を付与しているブレイクスルー賞の創設者であるユーリ・ミルナー氏も名を連ねている。

 

MITテクノロジーレビューによると、Altos Labsは、リプログラミング技術と呼ばれる、成体の特殊な細胞をあらゆる種類の細胞に変化する可能性を持つ幹細胞に戻す方法を研究している。

 

リプログラミング技術は、視力低下、脊髄損傷、脳損傷、そしてその他の加齢による身体の変性を治療する大きな可能性を秘めていると科学者たちは言う。2018年の研究では、ソーク研究所の生化学者であるフアン・カルロス・イズピスア・ベルモンテ氏が、リプログラミング技術を「不老不死の薬」と宣言し、「老化は不可逆的なプロセスではない」と語っている。その翌年、イズピスア・ベルモンテ氏はチャイナで活動するチームの一員として、サルとヒトのハイブリッドであるキメラを作成し、医療倫理学者たちから批判を受けている。

 

そして現在、イズピスア・ベルモンテ氏がAltos Labsに加わることが決まっているとMITテクノロジーレビューは伝えている。他にも、細胞の老化を分子マーカーから検出する方法を開発したカリフォルニア大学の遺伝学者であるスティーブ・ホーバス氏など、著名な科学者がこの新興企業に続々と加わっている。また、2012年にリプログラミングの研究でノーベル賞を受賞した山中伸弥教授が、Altos Labsの諮問委員会(アドバイザリーボード)のトップを務める予定であるとMITテクノロジーレビューは伝えている。

 

ベゾス氏にとって、病気を根絶し、寿命を延ばすことが重要な関心事のようだ。57歳のベゾス氏は、2020年にアマゾンの株主に宛てた書簡の中で、英国の進化生物学者リチャード・ドーキンス氏の以下の言葉を引用している:

死を食い止めること、それは取り組まなければなければならないことだ。・・・もし生物が死を防ぐために積極的に働かなければ、彼らはやがて周囲の環境に溶け込み、自律的な存在として生きることをやめるだろう。それが死ぬということだ。

 

ベゾス氏は、株主宛てのこの書簡を次のように締めくくっている:

決して、決して、決して、宇宙があなたを周囲の環境に溶け込ますことを許さないでください。

 

ベゾス氏の投資企業であるBezos Expeditionsによると、同氏は細胞研究を行う複数の新興企業に出資しており、その投資先にはNautilus Biotechnology社、Sana Biotechnology社、Denali Therapeutics社、Juno Therapeutics社(現在はBristol Myers Squibb社の傘下)などが含まれている。

 

ベゾス氏は、同じくテック系大富豪のピーター・ティール氏とともに、細胞レベルで老化を遅らせる技術を開発している新興企業Unity Biotechnology社にも出資している。

 

宇宙旅行と併せて、「死を食い止める」というプロジェクトは、シリコンバレーで人気がある。2013年、グーグル社は老化を治療するためのR&Dラボ「Calico」を立ち上げた。その1年後には、老化した生物を若返らせたり、生物の寿命を50%延ばしたりする研究者に100万ドルを提供する「パロアルト長寿賞」が発表された。現在では、50カ国の研究者が、約3,000万ドルの賞金が贈られる米国医学アカデミーの「健康長寿」チャレンジに挑戦することができる。

 

ニューヨークにあるアルバート・アインシュタイン医科大学の加齢研究所所長であるニール・バルジライ氏は、今年の延命科学への投資額は45億ドルになると予想しているとニューヨーク・ポスト紙に語っている

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