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国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書は歪曲され人々を誤誘導するもの——環境活動家マイケル・シェレンバーガー氏が指摘

環境活動家マイケル・シェレンバーガー氏(Screenshot via American Thought Leaders)

有名環境活動家であるマイケル・シェレンバーガー氏は、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が8月に発表した最新報告書が、人為的に引き起こされる気候変動から「誰も安全ではない(no one is safe)」と警告したことは、「無責任で誤誘導するもの」と批判している。

 

マイケル・シェレンバーガー氏は、「我々が過去30年間、気候変動について恐怖を煽ってきたこと」について謝罪する意見記事を、昨年フォーブス誌に寄稿している。同氏のこの謝罪記事についてはここで紹介した

 

「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が先月発表した報告書「第6回アセスメント・レポート」は、人為的に引き起こされる気候変動が加速しており、災害を回避するためには人間の行動を根本的に変える必要があると記している。

 

「第6回アセスメント・レポート」の調査結果を受けて、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、この報告書による「警鐘は耳をつんざくものであり、現在の状況は『人類にとってのコードレッド(厳戒警報)』である」と述べている。

 

しかし、NPO組織Environmental Progressの創設者兼会長であり、「アポカリプス・ネバー:なぜ環境問題をことさら騒ぎ立てることは私たち全員を苦しめるのか(Apocalypse Never: Why Environmental Alarmism Hurts Us All)」の著者であるシェレンバーガー氏は、この意見に反対する。

 

8月31日に配信されたエポックタイムズ紙(大紀元)の番組American Thought Leadersに出演したシェレンバーガー氏は、気候変動は「現実のこと」であるが、国連の報告書が記した「誰も安全ではない」というスローガンは一般の人々を「誤誘導するもの」と語っている。

 

以下は番組の予告動画。本編はここで配信されている

 

 

この番組で、シェレンバーガー氏は次のように語っている:

気候変動は現実のものです。世界は温暖化しており、産業革命前と比べて約摂氏1度上昇しています。しかし、他の多くの環境指標では、物事は正しい方向に進んでいます

 

例えば、熱波が最もひどかった時期は1930年代でした。今の10年間は暑い年が続いていますが、依然として熱波の程度が最も大きかったのは1930年代です。平均的な人間にとって、異常気象によって死亡する確率は99%以上減少しています。

 

自然災害による死亡者数は全体で90%減少しています。また、私たちは必要量よりも25%多く食料を生産しています。食料が不足するという推定は行われていません

 

海面上昇は、私たちが非常にうまく適応してきたことであり、今後もうまく適応していくでしょう。オランダは、国土の多くの地域が海面下7メートルにある国です。「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が推定した海面上昇の中央値は約0.5メートルです。

 

私が反対するのは、人間を何か壊れやすい、あるいは超がつくほど脆弱な存在として描くことです。私たちは、少なくとも肉体的なレベルでは、かつてないほど優秀で、かつてないほど脆弱ではなくなっています。特に若い人たちの間で不安や鬱が高まっていると思います。おそらくそれはソーシャルメディアが影響していると思います。しかし、肉体的には人間はかつてないほど安全です

 

しかし、人々が聞く必要があるメッセージは・・・彼らに届いていないメッセージは、気候変動を含め、環境トレンドの大部分は正しい方向に向かっているということだと思います

 

さらに、シェレンバーガー氏は、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した報告書に書かれていることは「無責任」と非難している:

これまでの国連からの発信は無責任なものです。IPCCの報告書が発表された日に彼らが発したスローガンは、「誰も安全ではない」でした・・・これは、私たちがかつてないほど安全であるという点で、大きく誤誘導するものです

 

私たちの周りを見てみてください。私たちにはインフラが整備されています。ユーチューブに行って、1800年や1900年の頃の生活がどのようなものだったかを見てみてください。当時の私たちは、今よりもずっと天候に脆弱でした。

 

シェレンバーガー氏は、IPCCの調査結果に基づいて気候変動の速度を表したフィナンシャル・タイムズ(FT)紙のグラフ(有料記事)人々を誤誘導するテクニックが使われていると指摘し、「グラフの縦軸を十分に高くし、恣意的な期間を選択すれば、何でも恐ろしく見せることができます」と語っている。

 

IPCCの調査結果を元に気候変動の速度を表したFT紙のグラフ:「気候変動は『急加速』」

(Graph courtesy of FT via The Epoch Times/American Thought Leaders)

 

長年の環境保護活動家であるシェレンバーガー氏は、気候変動から人々を守るための他の側面、例えば食料余剰の大幅な増加や驚異的な洪水管理システムなどについて、一般の人々は知らされていないと述べている。

 

また、ヨーロッパでは、歴史的に洪水がよく発生する地域、例えば川岸などに多くの人が住むようになっており、ヨーロッパでより多くの人たちが洪水の被害に遭っているのは、わずかに雨が増えたからというわけではないと語っている:

森林火災、洪水、ハリケーンなど、こうしたあらゆる(自然災害の)問題において、人間が地上で行うこと(例えば川岸などに多くの人が住むようになること)が、風速や降水量、気温の上昇(による影響)を大きく上回っていることがわかります。

 

そしてシェレンバーガー氏は、IPCCがその報告書で評価した自然科学研究は正確であるものの、「気候変動に関する歪曲や悲観論の大部分は、この報告書をまとめるのを協力した人々による意見のサマリー部分に現れている」と指摘している:

つまり、歪曲が起きているのは、実際には広報部分の中なのです。しかし、今回の最新報告書では、実際に彼らが作成した(将来)シナリオにも問題行動がありました

 

(将来)シナリオの約半分は、主流の専門家が可能だと考えているよりもはるかに高いレベルの排出量を想定しています。つまり、より高いレベルの将来の温暖化を想定しています。

 

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