「かつての敵国日本とドイツを併合したようにロシアを乗っ取れ」:ビル・クリントン政権の内部文書が記す——情報公開法で機密解除された同文書を入手したとマーティン・アームストロング氏
アームストロング氏:そこで次に彼らはエリツィンを脅迫し始めました。あのでっちあげられたIMF融資資金のマネロン事件は、この時に仕組まれたものでした。ニューヨーク銀行から(経済開発目的でロシアに送金されるはずの融資資金がジュネーブに)転送されたIMF融資資金です。(ニューヨーク銀行と敵対関係にあった)レパブリック・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨークのエドモンド・サフラは、ベレゾフスキーと結託していた人物です。そして彼(サフラ)が米連邦政府(司法省)に連絡を取り、「オーマイガッ。ニューヨーク銀行が70億ドルを(ジュネーブへ)マネーロンダリングしているぞ!」と通報したのです。そして米連邦政府(司法省)が介入してきました。ですが全てがでっちあげられた事件でした。そして1999年7月、(米連邦政府は)エリツィンが失脚しなければこの全てが明るみに出るぞと彼を脅迫したのです。
彼(エリツィン)がプーチンに白羽の矢を立てたのはこの時です。
76億ドルのIMF融資資金がマネロンされたというでっちあげ事件をネタに、エリツィン大統領を脅迫する関係者たちの相関図をアームストロング氏が手書きで説明
アームストロング氏:当時、何が起こっていたかを理解する必要があります。エリツィンは2つの方向から攻撃を受けていました。1つは(ロシア国内の)強硬派の共産主義勢力です。このニューヨーク銀行とそれに関わる「腐敗」が表面化したことについて、彼らはエリツィンを弾劾する動議を見つけようとしていました。そして彼らはロシアをソ連に戻そうとしていました。一方、彼らとは反対側では、オリガルヒたちがエリツィンを脅迫していました。
当時、誰もプーチンのことを知りませんでした。無名の人物でした。しかし、プーチンはオリガルヒのメンバーでもなければ共産主義者でもありませんでした。そしてエリツィンは彼を(1999年)8月9日に指名しました。(ロシア乗っ取りの)策略のこの段階では、世界は「何が起きてるんだ?」と戸惑っていました。当初は、首相が辞任に追い込まれるというよくあるパターンがまた起きたのか、くらいに思われていました。
策略のこの段階で起きていたことは・・・1998年にロシアで金融危機が起きていました。エドモンド・サフラは、彼の純資産の50%を失ったようでした。彼は保有する銀行をHSBC(香港上海銀行)に売りに出しました。
そして彼はチャンスを見つけ、私の(資産運用会社の)銀行口座から10億ドルを盗みました。それが起きたのは8月27日でした。この日、私は「何が起きてるんだ?」と慌てて電話をしました。(レパブリック・ナショナル・バンク・オブ・ニューヨーク)銀行のトップ、ジョージ・ウェンドラーの返事は、「私はただメッセージを伝えるだけの人間でしかない」というものでした。銀行のトップが、「自分はメッセンジャーにしかすぎない」としか言わないとはどういうことなのでしょうか?彼よりも上にいる人物はエドモンド・サフラしかいません。
そこで、私は「これから飛行機に飛び乗って、ジュネーブにいるサフラに会いに行くと伝えてくれ」とウェンドラーに言いました。すると彼はこう言いました。「あなたはそこに行ってはいけない。彼はそもそもジュネーブにはいない。安全上の理由から、彼はモナコに出発した」と。(私がこの事件に巻き込まれることになったのは)これが全ての始まりでした。
そしてプーチンが任命されたということは、オリガルヒたちはもう駄目だという印だと、私は当然思っていました。サフラはその陰謀に加担していたため、モナコに逃亡したのだと。・・・しかし、内部の者が内側から扉を開け、彼ら(暗殺者たち)が(サフラの潜伏先の建物に)入り込みました。(サフラが2009年8月26日に殺害されたことについて)ドミニク・ダン記者が、雑誌『Vanity Fair』に“Death in Monaco(モナコに死す)”というタイトルの記事を書いています。また、これは報じられていませんが、ドミニク・ダン記者が私にこう教えてくれました。「彼(サフラ)の体には2発の銃弾が撃ち込まれていた」と。
当時、私はプーチンが彼を殺害させたと思いました。そして報道機関が報じた内容をそのまま信じていました。しかしそれは事実ではありませんでした。これら暗殺のほとんどはプーチンとは関係ありません。ボリス・ベレゾフスキーが、彼のことを密告しようとする人物を次から次へと暗殺していたのです。ベレゾフスキーは、彼が「自殺」したことになっている日の3、4日前にプーチンに手紙を書いています。彼に許しを懇願する内容です。こうしたことから、(サフラ殺害を)プーチンのせいにすることはできません。
そしてベレゾフスキーはうつ状態となったため自殺したことになっています。しかし彼のボディーガードがカミングアウトし、「自殺は完全にナンセンスだ。MI6が彼を殺害した」と語っています。
つまり、(西側の)諜報機関が彼を殺害し、サフラを殺害した。というのも、彼ら(ベレゾフスキーとサフラ)は、(私が入手した)これら文書に書かれていることを暴露させてしまう存在だからです。彼らはロシアを乗っ取ろうとした。最初は(この陰謀への加担を誘う米国政府への)招待を通して、そして次にエリツィンへの脅迫を通して。しかし全てが崩壊しました。以上です。
司会者:あなたのこれまでの作業(真実の告発)を追いかけている人々にとって、これら文書を読むと、全てのことにますます合点がいくと思います。いわゆる「ロシアとの戦争」で彼らがなぜそのような行動を取るのか、NATOがこれにどのように関わっているか、などです。私はあなたのブログをサブスク登録していますが、皆さんにもそうするようお勧めします。ArmstrongEconomics.comです。
あなたの本質を見抜く力は格別です。この機密情報の内容を踏まえると、あなたがなぜそういう立場を取るのか、全て合点がいきます。大変興味深いことです。私にとってパズルのピースがつながって見えるようになっています。
これ(ロシア乗っ取り計画)は非常に高度な計略です。アメリカの連邦裁判所が行なった隠蔽工作についてもお話しされていますが、こんなことを隠蔽するなどというのは過激な手段です。あなたは投獄されました。そこで拷問された・・・(以下省略)。
■ 金融市場から戦争の勃発まで正確に予言する「ソクラテス」
アームストロング氏が独自開発した予測モデル「ソクラテス」は、1987年の米国株大暴落「ブラックマンデー」を1年前に正確に予言したほか、1989年12月に日本のバブル市場が絶頂に達することを正確に予言していた。さらにアームストロング氏は、英国のマーガレット・サッチャー首相(当時)から金融政策の助言を求められたり、ドイツのコール首相(当時)からもユーロ導入の助言を求められたという。現在も、ワシントンDCの関係者から、バイデン政権への政策アドバイザーにならないかとの打診があることを明かしている。さらに2024年大統領選挙でトランプ側のアドバイザーにならないかとの引き合いもあるが断っているという。その理由は、「ワシントンの泥沼を浄化すると言いながら、結局、任命する閣僚たちは泥沼の住人たちで彼らは全員がトランプを裏切ったじゃないか」とアームストロング氏は語っている。
また、「ソクラテス」は、市場予測だけでなく、戦争が起きるタイミングまで的中させることが評判となり、1980年代にアームストロング氏は世界的に名声を博すことになった。そしてアジア、中でもバブル経済に湧いていた日本で評判となったアームストロング氏は、多くの投資家を顧客に抱えるようになる。エドモンド・サフラが盗んだ10億ドルは、当時、アームストロング氏が運営していた資産運用会社の運用資金であり、その多くが日本人の投資家が預けた資金だった。
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