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米国が進める「台湾のウクライナ化」——在日米海兵隊トップが、米国は対中戦争に向けて「戦域を整えている」と発言【FT紙インタビュー】

在日アメリカ海兵隊トップのジェームズ・ビアマン中将(右)(Photo courtesy of US Marine Corps)

在日アメリカ海兵隊トップのジェームズ・ビアマン中将は、1月8日(月曜)に掲載されたフィナンシャルタイムズ(FT)紙とのインタビューで異例ともとれる率直な発言を行い、将来的なチャイナとの戦争のために「戦域を整えている(setting the theater)」と語った。

中共指導部は台湾とウクライナの状況は比較にならないと主張しているが、ジェームズ・ビアマン中将は将来の対中戦争はまさに現在のウクライナ戦争と同じ状況であるかのように語り、国防総省はアジアの同盟国との軍事関係を深めることで反チャイナの「戦域・戦区(theater)」を準備していると認めた。

FT紙はインタビュー記事の冒頭で次のように伝えている:

在日米海兵隊最高司令官によると、米国政府とアジアの同盟諸国は、台湾をめぐる戦争などチャイナとの衝突の可能性に備えて、日米両軍は急速に指揮系統を統合し、統合作戦の規模を拡大している。

ビアマン中将は、日米共同・統合運用が過去1年間で「飛躍的に高まった」ことも認めている。

ビアマン中将の発言には、「台湾のウクライナ化」を強調するコメントが随所に見られ、このインタビュー内容が中共当局の怒りを買うのは必至。しかも、この挑発的な発言は第3海兵遠征軍(III Marine Expeditionary Force: III MEF )司令官、ビアマン中将のものである。

ビアマン中将は、台湾防衛の準備について次のように述べている:

なぜ我々はウクライナでこれほどの成功を収めたのか?その大きな理由は、2014年と2015年に起きたロシアによる侵略の後、将来の紛争に備えて我々が真剣に取り組んだからだーーウクライナ人への訓練、物資の事前配置、我々が支援活動や作戦維持を行うことができる拠点の特定などだ」と彼は語った。

我々はこれを”戦域設定(setting the theater)”と呼んでいる。そして、日本やフィリピン、その他の場所でも、そうした戦域を設定している」とも彼は語った。(太字強調はBonaFidr)

FT紙の記者も、ビアマン中将のコメントは、チャイナとの潜在的な対立とウクライナ危機を「異常なまでに露骨に比べている」と指摘している。

そして特に見逃してはいけないのは、米国の国防計画担当者たちが何年も前からウクライナ国内でロシアとの戦争に備えた「物資の事前配置」や戦闘空間の準備に「真剣に取り組んでいた」ことをあっさり認めていることだ。

ジャーナリストのマイケル・トレイシー氏は、皮肉を込めて次のように投稿している:

(訳)「署名され法律として成立したばかりの国防権限法(NDAA)は、アメリカが台湾のウクライナ化を急速に進めていることを明らかにしている。また、チャイナに戦争を仕掛けるために米国があからさまに準備していることも明確にしている。しかし、これ(米国の挑発)に対するいかなる反発行為も、「挑発されていないのに起こされた(*)」と私たちは(メディアから)聞かされることになるのは疑いの余地がない。

(*2022年2月から始まったロシアによるウクライナ侵攻は、「挑発されていない(unprovoked)」にもかかわらずロシアが一方的に行なった侵略行為と西側メディアは一斉に報じている。)

このビアマン中将へのインタビュー記事で他に興味深い点は、チャイナの軍事力を過大評価しないよう米国の同盟国に対して注意を促していることだ。台湾周辺でのチャイナの攻撃的な動きに米軍は注意を払っていると言いつつ、人民解放軍を「10フィート(3メートル)の巨人」と恐れるべきではないとビアマン中将は語っている。

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